片道切符
今年3月の更新日を前に、不動産屋から更新手続きの書類が送られてきた。
迷っている。
ここに留まるべきか、離れるべきか。
とどまりたいと思う理由はあまりない。
大切な友人が近くにいる。
それくらいな気がする。
物音が馬鹿にうるさい壁のうすさも気にならないといえば嘘になるけど慣れてしまった。
いや、そんなことはないな。
やっぱり気にはなっていると思う。
ここにはあまり街とのつながりが感じられない。
ここに来る前にいた場所は、地元と言える場所がひとつも見つからなかったわたしのホームになってくれた。
「地元どこ?」って聞かれたらたぶんあの街の名前を口にするだろう。
大学通り、図書館、第三公園、Georges、コープ、ジャズバー、ビストロ、ネイルサロン、ベーグル屋さん。
もちろん他にもたくさん。
あの街にはたくさんわたしが溶け込んでいる。
そんなふうに思う。
離れたから余計近く感じるんだろうか?
美化している部分もあるのかもしれない。
でもわたしはあの街が好きだ。
そして今、この街にはそういう感情があまり持てずにいる。
幸せじゃないわけじゃない。
信頼する仲間がいて、オンラインにも大切な人達がたくさんできて。
ここでの暮らしももうすぐ2年になる。
行きつけのスーパーもよく行く少し先のちょっとだけにぎやかな街も知ってる。
ここはここでわたしなりに暮らしを組み立ててきたんだと思う。
でも、今やっぱり迷っている。
変わりたい、変えたい。
土地の力を借りて、大きな外的要因の力を借りて変わってみたいなとおもっている。
変わることはどこだってできるなんてことはわかっている。
分かっているつもりだけどまだ、今はサインしない事にする。
2月の提出期限までねばってみようかな。
どこか行きたい場所、行ける場所がみつかるかもしれない。
決めてしまえば動けることは自分がよく知っている。
今はどんなに面倒だって思っていてもたぶんやれる。
根拠のない自信はある。
だからもう少しだけ時間をください。
ここではないどこかへいける可能性をもうすこしだけ。
また、おめにかかれますように。
2020.12.22 kaotan
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