できることとできないこと
"おくり化粧師にできることってなんだろう"
と 、よく考えます。
お亡くなりになった方に対して、お着せ替えやお化粧をほどこすこと。
これが基本の仕事です。
簡潔に書き記してしまうと2行におさまってしまうのですが、現場で求められていることと自分にできることを考えると、ときどきやりきれない気持ちになります。
たとえば、遺影写真と現在のお姿のちがい。
ご家族の印象と施行者の処置のくいちがい。
髪型、口元、色味。
挙げればきりがありませんが、
まったくもとどおりに、ご生前のように整えることはとてもむずかしいです。
「いままででいちばんきれいだ」
とおっしゃっていただけることもあれば、
「ちょっとちがうんだけどなぁ」
「え、全然別人みたい」
となってしまうこともあります。
そのほとんどはその日はじめてお会いする故人さまなので、遺影写真があればそれをもとにご遺族さまにご印象を伺いながら、綿をつかってお顔の表情を整えていきます。
ここでどこまでご要望にそえるか。
ほんっとにむずかしい。
あらためてそのことを実感する現場がありました。
なにができるのか、できないのか。
せめて"やらなければよかった"とだけはならないようにしたいものですが、それはこちらの範疇にないことかもしれません。
あと、"仕方ないよね"も個人的にはすごくふがいなさを感じます。
自ら口にしてしまうことも時にあるんですけどね。
とか言って理想論ばかりを語ったところで現実は変わらないからやるしかないんだよな。
と言うのも本当だろうけど、対することをおろそかにせず丁寧に接していくことを心掛けます。
また、お目にかかれますように。
おくり化粧師 Kao Tan
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