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水滸伝 炳乎の章(十二)

読んだ本:水滸伝 炳乎の章(十二)
作者:北方謙三

【シリーズのネタバレ注意】
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この記事の作者は以下の本を読んでいます。
よって予期しないネタバレをするかもしれませんがご了承ください。
北方水滸伝・楊令伝・岳飛伝・チンギス紀を読了済み。
(楊家将・血涙・史記シリーズも読んでます)
15年ほど前に水滸伝読了後、最近になって続編を読破。その後水滸伝を読み直し中。ふと感想を書きたくなってこのシリーズを開始。
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【本編】
策超が入山して、子午山の様子を史進、林冲に伝えている場面はほっこりしますね。王母に心を見透かされている史進、楊令の成長を訪ねる林冲、男女の愛以外の情愛も繊細に描写している部分が好き。そして強い漢はその情愛も正直に受け入れられる感性の豊かさを持っているんだね。策超は自分が強いとはなんだ?という心境にまで至って、梁山泊内でもTOP3に入るくらいの強さなんだろうな。

一仕事終えた史文恭が目立って次の仕事に支障が出るからと言って右腕を切り落とすというプロ意識を見せた。暗殺に命を懸けているのは伊達じゃない。ここまで自分を動かすのはなんだろうか?誇りなのか?いずれにしても現代にはいないカッコよさを感じます。

体術の達人の燕青が史進、林冲、策超相手に体術を教えて、その代わりに槍を教わってましたね。この頃はまだ燕青の体術はおまけ程度の描写だったんだけど、豪傑に教えらえるほどの腕前だったということに驚いた。どこで覚えたんだ。梁山泊の豪傑以上の人物はそんなに存在しないだろう。でも、究めし者同士の交流は楽しいんだろうな。自分に近い人たちと話すのは気が合うし楽しいもんね。

牢屋から脱獄した薫平もあんまり記憶がないキャラだったんだよな。こんな奴いたんだってなった。しかも将軍クラスの人物だったから驚き。数巻で退場するんかな?ま、今後の活躍に期待です。

盧俊義がついに補足されて青連寺に拷問されてしまいました。これはなんとなく覚えていたんだけど、青連寺も確実に目星をつけていたわけじゃなかったんだ。まあ、一人の頭の中だけにしか入ってないものを掴むのは無理よね。よくやったというべきか。
拷問の描写も毎度毎度すごいと思う。どうやって描くんだろうか。資料か何かあるのかな。にしては心理的な描写も細かく書かれているから読者としても苦しさが伝わってくる。
燕青も二日も死域に入って人ならざる力で北京大名府から担ぎ出してきたのも覚えてた。実際の距離はどのくらいなんだろうか?九州横断くらいあるんかな ?一度死域から生還すると人が変わるみたいな描写があるけど、現実で一回入ってみたい。鍛えてない人が死域に入ると戻れずに死ぬパターンも多いらしいけど。悟りの心境と同じなのかもしれないだろうなとこの頃思う。あとは臨死体験が近いのかな。すでにいろんな形があるけど、人間生きるには精神面での成長もやり続けることが大事じゃないんかなと思う。金を稼ぐという意味では散々言われているけどね。

最後の関勝のくだりが一番印象に残りました。本人が行くかどうか決めてすらないのに周りが勝手に入山するから準備をし始めるのが、おもろいなぁって。どうせあんた行くことになるんだからさっさと準備するよって。強い信頼関係が感じられてほっこりしました。こういう交友関係も素敵だな。


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