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【感想】水滸伝 濁流の章(十)

読んだ本:水滸伝 濁流の章(十)
作者:北方謙三

【シリーズのネタバレ注意】
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この記事の作者は以下の本を読んでいます。
よって予期しないネタバレをするかもしれませんがご了承ください。
北方水滸伝・楊令伝・岳飛伝・チンギス紀を読了済み。
(楊家将・血涙・史記シリーズも読んでます)
15年ほど前に水滸伝読了後、最近になって続編を読破。その後水滸伝を読み直し中。ふと感想を書きたくなってこのシリーズを開始。
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【全編を通して】
死が間近にあるからこそ、生きることに真剣な、真面目な、なにかとそれぞれが感じていることを描かれている。全編を通してたくさんの男がそれぞれの生き方を貫いて生ききっている様を描かれている作品です。それを通して何か感じるものがあるからこそ読んでしまうのだろうな。

【本編】
ここで施恩が死んでしまってたのか。15年ほど前とは言え大体の人物はおぼろげながら記憶にあったんですが、施恩はこんなやついたっけ?となるくらい印象が薄かった人物でした。多分初登場から数巻で死んじゃったのかな。しかも史進遊撃隊の将校ですよ。なかなかのポジションだったのに印象に残ってなかったのはちょっと驚きです。

穆春も死んじゃいましたね。穆兄弟は結構エピソード濃く描かれているので重要人物かと思いきや、戦になるとあっさり逝ってしまうという。梁山泊に入るまでの葛藤から入った途端にモブ気味になっていたので致し方なし。108人もいるから仕方ないっす。

呼延灼が入山しましたね。直前に初めて梁山泊軍に敗北を与えた張本人ですが、高俅の欲張りに翻弄されて入山を余儀なくされてしまいました。明確に裏切るという形ではなく、バカのおかげで入らざるを得なくなるというのは人格者の入山らしいなぁと思いました。よくこんな展開思いつくなぁ。もうちょっと高俅もやらかしていいんすよ。のちの海陵王なんかは殺さない方が価値があると言われるくらいアホだったんだから。

あとは史進の描写がある度に若いなぁって思う。この頃はまだ自分より強いやつがゴロゴロしているもんなぁ。シリーズ後編の孤独さも味があっていいけど、一部将にすぎないこの頃があってこそだもんな。

徐寧のくだりも面白かった。賽唐猊は史実にあったんだろうけど、禁軍師範として賄賂で腐った連中相手に煙たがられていていつかは濡れ衣という名の災害で身を亡ぼす運命しかなかったのにうまいこと利用されて入山したのは。徐寧はなんで代々伝わるお宝があったんだろ?先祖が宋建国の英雄だったとか?いずれにしても禁軍師範は強者ぞろいだから強いんだろうな。

武松と李逵のコンビもいい仕事しますねぇ。目をつけている人物の近くにそおっと入っていて交流を深めていつの間にか入山への先導しているというね。こういう役回りはなんというか名前が思いつかない独特なものだよ。純真または強い悲しみを乗り越えて得た境地がなせる技だよ。二人とも梁山泊に籠っていてもやることないから適役だよね。しいて言えば諜報なんかな?それでもちょっと違うような。人の気持ちの奥深くまで描かれている作品だからこそ輝く役回りだと思う。

感想書く間に数巻読み進めてしまって若干記憶が曖昧なんで、書くのが難しかった。次は間を置かずに書きたいですね。



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