アイヌの伝統楽器ムックリ②
北海道アイヌにおいて、楽器はムックリ一つで
そこに僕は研究対象としてのロマンを感じている
しかし、アイヌの楽器というと触れておかなければならないのが「トンコリ」である
アイヌにはトンコリもあるんだぞ!
という声が聞こえてきそうだが
(と、言うよりもいつもそこは突っ込まれる)
トンコリは樺太アイヌの楽器である
北側から南下して北海道にも入った
前置きしておくと、アイヌには北海道アイヌ、千島アイヌ、樺太アイヌとアイヌの中でも分類がある
北海道アイヌと千島アイヌはかなり近いが、樺太アイヌについては少し遠い気がしている
これは、僕個人の感想
樺太とは、今のロシアのサハリンのこと
トンコリはヨーロッパからロシアを経由して樺太に来た楽器だと考えている
なので、北海道アイヌの中で自然発生的に生まれたのはムックリだけというのが今のところ僕の考えだ
北海道アイヌは、イヌイットやツングース系民族などとも交易を行なっていたので、ムックリもどこかから入ってきたものかもしれない。
ムックリは世界中に見られる口琴という楽器の一つで、日本本土でも江戸時代に鉄製の口琴が「ビヨンド」という名前で流行ったという記録がある。
それを差し引いても、トンコリについてはアイヌ全体の楽器として定義してしまうことは僕としては反抗したい
トンコリについては、明らかに北海道アイヌの生活からは出てこない作りになっている
トンコリを考察すれば、アイヌの生活から生まれた楽器ではないことが伺えるのではないか?
画像引用元
https://www.yunphoto.net/jp/photobase/yp6668.html
弦楽器はその起源をアフリカに持ち、ヨーロッパを経由して世界に分布する
大雑把だが、まずはそれから考えてもロシア、もしくはモンゴルあたりを経由して樺太に入ったと考える
次にトンコリの機能性に着目する
他国に見られる弦楽器と同じく、音程を調整する
調弦部があるが、僕としてはここに1番違和感を感じる
あまりにもシステマチックなこの作りは、アイヌの生活に一致しない
そして、楽器としての機能性ももちろんながら、弦が5本張ってあり音程があるという点において違和感がある
アイヌは文字を持たない民族である
僕はたったその一点において、音程という窮屈なシステムに縛られたこの楽器が彼らの中から出てきたものとは思えないのだ
もちろん、いくらでも見解の余地はある
トンコリはトンコリで深掘りできるわけだが
残念ながら僕にはトンコリにムックリほどの興味がないのでこのあたりにしておく
トンコリとムックリの比較については改めて書きたい
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