「アラバスター」は役に立つのか
手塚治虫すごいっ!
最近知りました。図書館で「アドルフに告ぐ」を読んで喰らってしまった。
ヒトラーがユダヤ人だった!という出だしに、陰謀論だなぁ。とポリポリと読み始めたが濃厚なドラマ展開に、あれよ、あれよ、だった。
登場人物それぞれ、紋切型の正義を盲信したり、悪用したり、引き裂かれてしまったりと、上質な偶像劇だった。
「火の鳥」も読んで、ぶったまげた。
あまり漫画を読まないので、アテにならない感想だけど、「火の鳥」ほど、ダイナミックで、モラルも超越している漫画を知らない。
印象深いのは、「望郷編」の自分の子孫と近親相姦を繰り返す、主人公。そんなのアリですか・・・。の衝撃だ。
火の鳥で、一番好きなエピソードは「鳳凰編」。
あまりにも正しくない主人公の野蛮で自己中心的な生涯を通じて、ラストもラストにえらく心を乱されてしまった。
わたしはなんであれ、正しくない主人公が好きなのだ。
アラバスター
正しくない主人公といえば、アラバスターも相当だった。主人公は半透明人間、俗世を恨んだ人類の美意識を襲うテロリスト。
迎え撃つ、FBI捜査官もナルシストのうえに正しくない、どころか最悪の性犯罪者だ。
結末を言うつもりは無いが、1から10まで救われない話だった。
わたしが買ったのは、講談社の「手塚治虫文庫全集」というシリーズだが、手塚治虫があとがきにて、本作を「失敗」「駄作」と書いていたので、驚いちゃった。本にしたくなかった。とまで書かれていた。
そうかなー?わたしはとっても夢中になったけどなー。
作者自身がそんなこというのも、珍しく感じる。
ターミネーター ニューフェイトじゃないんだからさ。
わたしはターミネーター ニューフェイトも大好きなんだから。