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北京政府が発表した「メタバース革新発展計画」をまとめてみた。

こんにちはOKUDAです。

2022年8月23日、メタバース領域における注目のニュースが世界中に発信されました。

北京市通州区人民政府 公式発表より画像引用

北京市通州区人民政府は2022年8月23日、「北京の都市副都心におけるメタバースの革新的な発展のための行動計画」と名付けられたメタバース革新発展計画を発表しました。

今回発表されたメタバース革新発展計画がどのような内容なのかを、具体的に細分化して書いていこうと思います。


1,そもそもメタバースって何?

最近、よく「メタバース」という言葉を聞きませんか?

フェイスブックやインスタグラムを提供するフェイスブック社が、企業名をMeta(メタ)社に変更するとともに、同社の事業計画としてメタバースを大々的に進めていくことが発表され、日本でも「メタバース」という言葉をよく目にするようになりました。

実際、メタバースは、今後の私たちの世界において必要な存在になるのか。立ち返ると、どのような技術であるのかが分からないまま、メタバースという言葉だけが先行しています。まず初めに、メタバースとはどのようなものかを簡単にご紹介していきます。


1-1,メタバースは「超(meta)」と「宇宙(universe)」の融合

実は、メタバース(metaverse)とは、「超(meta)」と「宇宙(universe)」を掛け合わせた造語なのです。1992年に「スノウ・クラッシュ」という小説の中で初めて登場した言葉です。

ここ数年、メタバースを取り入れたサービスや、それに伴う3DCGなどの技術が急激に発展したことでユーザーを惹きつけるコンテンツへと成長しました。現在は、ウェブ上の仮想空間をはじめ、VRゴーグルなどのデバイスを活用した「3D仮想空間」の形態をメタバースとして指すケースが多いです。

実際にメタバースとして有名なサービスは、以下の通りです。

■ Horizon Workrooms

Horizon Workrooms(ホライズン・ワークルーム)は、FacebookのVR会議アプリです。Google Meetやzoomなど、リモート会議ツールが普及した現在、Meta(旧Facebook)が開発した会議アプリです。ヘッドマウントディスプレイを装着し、VR空間に入ると、アバターの姿でミーティングが可能です。


■ Fortnite

Fortnite(フォートナイト)は、米大手企業Epic Games(エピック・ゲームズ)が提供しているバトルロイヤルゲームです。最大100人のプレーヤーが集まり、最後のひとりになるまで対戦するゲームであり、日本でもなかりの人気を誇っています。PCやNintendo SwitchやPlayStationなどのゲーム機をはじめ、アプリからゲームをプレイすることで、ゲームプレイやコミュニケーションとしても活用されています。

■ The Sandbox

The Sandbox(サンドボックス)は、ブロックチェーン技術を基盤としたゲームで、プラットフォーム内のデータがブロックチェーン上で管理されています。ユーザーはPCから仮想空間に入り、キャラクターを操作してプレイできます。アドベンチャーゲームのような目指すべきゴールはありませんが、ゲーム内で作成したキャラクターやアイテムはNFTとして売買できます。


2,メタバース革新発展計画の目的

北京市通州区人民政府の発表では、2022年-2024年の3年間に渡り、「文化」「観光」コンテンツを中心としたメタバースアプリケーション実証地域となる予定と説明。またメタバースの技術革新と応用能力を大幅に向上させ、100社以上のメタバースエコノミーチェーン企業を育成・紹介し、30以上の「メタバース+」典型的な応用シナリオを完成させ、多くのメタバース関連標準を推進し、「1+N」を推進します。

※ 「1+N」とは?
中国において、カーボンニュートラルに向けた「1+N」という政策体制の整備が加速されている。「1」はトップレベルでの指導意見を指し、「N」は各産業や各分野ごとの政策措置を指す。この「1+N」政策体制を具現化するための、「10大行動」も明らかにされた。中国はカーボンニュートラルに向け、確実に前進している。

日経BP 総合研究所よりソース引用


産業空間システムの初期形成やメタバースと文化・観光・商業・都市サービスなどの各分野と、バーチャル・リアル統合モデルの効果的形成、消費の高度化推進と新ビジネスモデルの創造、実証主導、技術主導、文化・観光特色、企業集積のメタバース産業生態の基本形成などである。メタ・ユニバースが主導する副都心のデジタル経済ベンチマーク都市モデルが具体化しつつあると説明されています。

こちらの少し回りくどい文章を要約すると、、

メタバースの技術革新と応用能力を成長させながら、企業を育成とメタバースを活用した応用計画を完成させていく。またメタバースはカーボンニュートラルとしても活用できる。

統合とアプリケーション革新の3つの方向性はとしては、以下の方向性で統合とアプリケーション革新を行なっていく。

"メタバース+文化・観光"
"メタバース+ビジネス"
"メタバース+都市サービス"


2-1,メタバース革新における主なタスク

発表されたメタバース革新におけるイノベーションでは、細かく16のタスクに分類し、各リソースを導入して強力な基盤エンパワーメントのアクションを実行していくことも説明されています。


  1. リソースの収集

  2. 主要技術研究を組織

  3. イノベーション促進のプラットフォーム構築

  4. デジタル インフラストラクチャを統合

  5. メタ・ユニバース・ニッチ・チェーンの育成

  6. デジタル コンテン&エコシステムの作成

  7. デジタル資産取引サービスの開発

  8. セキュリティ システムを構築

  9. メタバース+文化・観光の革新的な開発

  10. メタ・ユニバース+都市景観

  11. メタ・ユニバース+消費者

  12. メタ・ユニバース+教育

  13. 「1+N」の産業用ベアリングスペースを構築

  14. 産業投資・金融サービスのプラットフォーム構築

  15. メタバース・インダストリー・アライアンス」の設立について

  16. メタバースのブランディング強化


主にこれらのタスクは、メタバースを構築する以前の情報収集から、実構築。さらには構築後の環境整備と、実際のメタバース産業(市場)へ国民やユーザーを誘致することが目的とされており、日本政府が2022年6月7日、「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針2022)」を閣議決定した内容よりも、確実性を含んでいます。

流れとしては、最初の1〜4までの段階を「革新的な団体からリソースを輸入し、強力な基盤強化アクションを実施」。5〜8までの段階を「デジタルコンテンツ資産の収集と連鎖構築アクションの統合の実施」。9〜12までの段階を「ベンチマークとトラクションアクションを実施するために、多くのアプリケーションシナリオを立ち上げる」。最後の13〜16までの段階を「産業開発プラットフォームの構築とネスティング・誘致活動の実施」と分類しています。


さらにはこれらのタスクを実施するまでの「組織と簡単な実施方法」まで記載されています。

  1. 組織のリーダーシップの強化
    都市タスク作業チームの形成、トップレベルの計画および重要なタスクの実施に対する指導を強化し、積極的に市区メタバースの作業レイアウトを取り入れることを目指す。(→計画段階)

  2. 革新的な作動メカニズム
    メタバース産業資源の導入を軸に、プロジェクトソーティング、シーンソーティング、シーンリリース、投資サービスなどの業務を行う。(→実稼働段階)

  3. 財政支援を増やす
    財政支援を増やし、メタバース技術の研究開発と実証応用プロジェクトに実力主義で資金支援を行い、メタバース応用イノベーションセンターに駐在する企業には基準に従って家賃補助を行う。(→マーケティング段階)

  4. タレントサポートの最適化
    人材・チームの導入支援。メタバース関連の人材チームに対し、その成果変革プロジェクトを実力主義で支援。メタバース企業のニーズに応じて、人材紹介や子どもの就学を支援する。(→拡大・拡充段階)

  5. 広報・指導の強化
    有名機関・団体にメタバース関連の政策、行動、仕事の進捗状況の広報を強化し、メタバース技術の応用の典型例を宣伝し、メタバースの発展に寄与する世論の雰囲気を作り出します。 (→メタバースの浸透・一般化)


中国は2021年5月まで、メタバースと関連強い仮想通貨やブロックチェーンにおいて世界的な立場を保っていました。しかし5月、国務院が仮想通貨マイニングと取引の制限を求める過去の仮想通貨政策を強化したことから、世界最大を誇っていたマイング市場は縮小しています。また仮想通貨の利用も実質禁止されています(CBDCが要因)。

そのため、メタバースと相性の良い仮想通貨やNFTを活用した拡大はされないことが予想されますが、政府として発表されたメタバース革新が、今後の世界的なWeb3分野において、どのような立場になるかは非常用に注目される内容です。

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