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日経平均株価の行方 ~相次ぐ底割れ銘柄群をどう見るのか~

 新NISAで市場が盛り上がり、海外投資家も日本株に注目した結果、円安トレンドの下で輸出企業や半導体関連銘柄を先導役にして長期株高が続いてきましたが、ここに来て様々な要因で調整ムードが漂ってきました。

 日経平均は7月の高値4万2426円から8月安値3万1156円まで短期で26.6%の調整を見せ、その後9月2日まで反転上昇の動きを見せてきましたが、その後は再び調整の動き。
 本日の日経平均の安値は9時45分の3万5247円でした。2日についた高値3万9080円からは9.8%の調整となりました。

 株式相場は一定のリズムで上げ下げの変動を続けており、現在は調整、つまり下げトレンドの中にあることになります。市場に関与するトレンドフォロー型の投資家にとっては、ここは慎重にならざるを得ませんので下げトレンドの中で様子見が続くことになりますが、個別銘柄の中にはこの調整によって投資価値を高めた銘柄もあり、この下げをチャンスと見て勇気をもって投資される皆さんもお見えだと思われます。
 勇気があるというのは8月の短期調整を念頭に入れたものですが、これとともに市場にある専門家と称する皆さんの相場見通しの中に日経平均2万4000円や2万5000円なる見通しもあるためですが、こうした見通しの下で投資するにはかなりの勇気が必要となる訳です。

 今回の株式相場の調整は米NVIDIA株の上昇に影響を受けた日本の半導体関連銘柄(東京エレク、レーザーテック、ディスコ、アドバンテストなど)の株価上昇が日経平均を押し上げてきたという背景があります。これがNVIDIA株の大幅な調整とともに泡と消え、これらが大きく調整するとともに日経平均株価を昨年末水準にまで押し下げてしまったということになります。

 昨年末の日経平均は3万3464円でしたが、現在はそれよりもまだ上の位置にありますが8月のクラッシュ時の安値はこれを下回った訳です。昨年末を100とすれば8月5日の安値は93.1となります。この安値は昨年10月安値水準となったとも言えます。
 個別銘柄を見ても日経平均が安値をつけた際に大きく売られましたが、その後全体相場が戻ってきた中でまた8月5日安値を下回った銘柄(半導体関連)も出てきました。

 相次ぐ底割れ銘柄が市場の中でネガティブに見られている限りは全体相場が浮上するのも難しいが、反対にこうした底割れ銘柄が反転すると指数も大きく反転上昇すると考えておく必要があります。

 日経平均2万4000円から5000円を唱える専門家の皆さんは恐らく為替相場の位置を見てこうした見通しを出しているものと思われます。
 今後の米国金利下げと日銀による利上げによる日米金利差縮小による円安終焉で為替相場は今後130円どころまで、円高に向うという前提での見通しです。
 23年1月の為替相場は130円(ドルの安値127.2円)で、この頃の日経平均は2万5600円から2万7500円でしたのでこうした見通しが出ても不思議ではありません。また、日経平均は日銀によるETFの買いが2万5000円以下で実施されたことによって上昇したとも考えられますし、その後の東証の指導や有名外国人投資家による日本株への強気発言が契機になった上昇が23年1-3月にあったことも株価上昇につながったとも言えます。

 こうした過去の経緯を踏まえての警鐘がこの調整時期になされるのは理にかなっています。年初からの株高は新NISAの開始によるところが大きいとも言え、こうした潮流に対して売り向かうことは難しかったとも言えます。

 日経平均もTOPIXも同様な動きが見られますが、いずれも株価の上昇も23年1-3月からになります。22年はまだコロナ禍でインバウンド需要も停滞していたかと思いますが、その年の3月から見られた急激な円安が輸出企業の業績を押し上げてその翌年の3月期からの業績を大幅に向上させたことが23年からの株価の上昇に拍車をかけたとも言えます。
 つまり為替相場が円安となってトヨタなどの輸出企業の業績を押し上げたことによる株価上昇が本年3月まで続き、その余韻が7月まで見られ日経平均が4万2426円の高値を見ることになったということになります。日経平均はなおも5万円、10万円にもなるという説が唱えられてはいますが、現状の調整も現実の出来事です。

 市場には総裁選で積極財政派、消極財政派どちらの立場の方が総裁に選ばれるかに関心が集まりつつありますが、株式相場には積極財政派が得られることが好影響をもたらすことは言うまでもありません。
 ネガティブな要因を消化しながら調整相場はいずれ終焉します。ここは冷静に今後の相場展開を眺めていくことにしましょう。


(炎)


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