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有料メルマガライブラリから(385)「バランス・シートを読むための簡単な知識(5)」

 有料メルマガ・石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」の過去配信ライブラリ「銘柄研究」「コラム」のうち、コラムの一部を掲載いたします。
 自立した投資家、石川臨太郎のコンテンツをお楽しみ下さい。
 なお、内容は執筆当時の背景に基づいており、現在の状況と必ずしも一致しないことを予めご了承下さい。


=コラム「バランス・シートを読むための簡単な知識(5)」
 (有料メルマガ第349回・2015/9/29配信号)

※2015年9月現在の内容です。留意してお読み下さい。


【前略】


■財務分析は一期だけを見て判断しないで数期分を並べて見ることが効果的です。■


 資産の割安株投資なら、一期だけを見て割安かどうかを判断することが可能です。

 しかしこの企業が割安なだけでなく、成長もしていくかどうか。
 持っている資産を食い潰してジリ貧になって、落ちぶれて行く企業かどうか。

 そんなことを判断するためには少なくとも3期くらいのバランス・シートを並べて、企業のバランス・シートがどのように変化しているかを、じっくり眺めて分析することも自分のポートフォリオの中核銘柄にする企業については行ってみることも有効だと考えています。


 全ての投資銘柄に関して、実行するのは大変すぎますが、自分のポーフトフォリオの中核銘柄に関しては、これくらいの努力はしても良いと感じています。


<流動資産の現金・預金の変化を見てどう分析して、どのような判断をするのか>

 〇現・預金が増えているか減っているか。つまり残高の変化をみて、特に大きく増減していたら、その変動の原因を調べてみる必要があるでしょう。

  例えば工場新設などの設備投資を自己資金で行えば、一気に現・預金が減ってしまうこともあります。その工場新設が必要なのか、無謀なのか。
  そんなことを考えることも投資のヒントになります。
  工場だったら成長に寄与するけれど、見栄を張って本社を豪華に建設した途端にジリ貧になる、新興企業もありますから、注意をする必要があるかもしれません。

  決算短信の現金残高が大幅に減少している場合、バランス・シートの他の項目を見て例えば借入金や一年以内の償還社債などの流動負債がかなり減っているならば、借金の返済や社債の償還資金の手当てに現金を当てたことがわかりますから、それほど神経質になる必要はないかもしれません。
  特に長期の定期預金にシフトしたなら「配当をもっと増やせよ」という私のような投資家以外には問題ないと思います。

 〇現・預金が少なすぎると、短期の支払の能力に不安が出る。

  はじめに学んだ、流動比率及び当座比率を思い出してください。支払に不安がある会社はとっても心配な会社です。

  グレアムが力説するように、投資家から見れば現金は一番信用できる資産です。もちろん当事者の企業にとっても、一番使い勝手の高い資産でもあります。

  設備投資や研究開発を借金で行えば、金利というコストが発生します。しかし自己資金で行えば金利というコストは発生しません。
  つまり現・預金が豊富にあれば、大胆な設備投資、研究開発など経営判断の自由度は高まるわけです。M&Aなども仕掛けやすくなります。


<中身のない現・預金の大きさに騙されないことも大事です>

 現金がたくさんあるというだけで安心してはいけません。
 なぜなら支払手形など短期で支払いを控えている負債が同程度あればその現金・預金はそのために直ぐ使用されて、企業が他に使えないからです。
 つまり前に学んだ当座比率などの指標を検討しないと支払い能力が高いのか、安心なキャッシュリッチ企業なのかは分からないのです。

 〇流動比率及び当座比率を計算しておきましょう。

  支払能力を表す2つの指標について代表的なのは流動比率と当座比率です。

  ・この比率を求める式は以下の通りです。

   流動比率: 流動資産/流動負債×100

   当座比率: 当座資産/流動負債×100

  復習になりますが、流動比率は一般的に200%以上が理想的とされています。あくまでも理想です。
  これは、支払能力を慎重に見積もった場合の一般的な値です。
  流動資産の中には在庫などのように売れなくてお金にならないもの(=腐った資産)が紛れ込んでいる場合も良くあります。だから流動資産を実際に換金しようとしたとき、帳簿価額の半分になったとしても流動負債を完済できるとういう考えに基づいているわけです。

  経済環境が悪化してきたときに、投資対象として安心できるのは現・預金や投資有価証券などの金融資産を大量に保有している企業です。


 食品スーパーなど、仕入を手形で行い、販売は現金で行うことが多い企業は、手持ちの現金が少なくても、毎日キャッシュが入ってくるので、資金繰り的に考えて問題は少ないかもしれません。しかし、あまりにも現・預金が少ない企業は、やはり問題があると考えています。小切手や手形の決済ができなければ不渡り倒産してしまいます。

 業種によって余裕のある流動比率や当座比率は変わってくることも覚えておいて良い知識だと思っています。


 私は業種に関係なく現・預金など金融資産が大きな企業に魅力を感じています。


経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎


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 石井鐵工所(6362)研究銘柄レポート+コラムの構成です。
 コラムでは電業社機械製作所(6365)、三社電機製作所(6882)、かわでん(6648)、CAC Holdings(4725)などについて言及しています。
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  こちらから ⇒ http://bit.ly/rin20150929


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