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大口個人投資家の投資戦略

 新NISAが開始されたこともあり今年1-3月の株式相場が堅調に推移してきた中で気になるのは運用資産額が1億円以上となってきた大口個人投資家の動向です。

 大口資産家の定義は定かではありませんが仮に純粋に長期にわたり使うことのない金融資産総額が1億円以上とするとこのところの株価指数の上昇でその数は急速に拡大した可能性があります。
 新NISA開始でメリットを受けるのは何も小口の積み立てNISAに取り組む株式投資を始めたばかりの投資家だけではなく、実質的には大口投資家にこそメリットをもたらしたとも言える株高です。

 ベテラン投資家から若手投資家まで大口投資家の投資戦略は様々かと思われますが、基本的には短期投資家ではなく中長期投資家として存在している度合いが高いと推察されます。
 億の近道でも山本潤さんが長期投資を行う際のポイントについてレクチャーされたりしていますが、その内容は意義深いものであることは間違いありません。
 中にはタレント活動から投資家に転身されてアナウンスメント効果によって更に市場にインパクトをもたらしているケースもあります。

 昨年は米国の著名投資家、バフェットさんが日本株へのポジティブ発言、大手商社株への投資発言で市場にインパクトを与えて、その後は東証による低PBR是正要請などもあって全体相場が上昇の道筋を辿ってきたということもあります。
 この道筋の延長線上の結果として本年3月の日経平均4万円台乗せがもたらされたということになります。

 この流れは3月22日のピークから若干、調整の中に入って参りましたが、その中身を吟味すると様々なことが読み解けます。

 上げたら下げるのが相場の常。調整相場を横目にその中で大口投資家の皆さんはどのように投資戦略をお持ちなのでしょうか。
 本誌「億の近道」の読者の中にも大口投資家が数多くお見えかと思いますが、ぜひ皆さんの基本的な投資戦略をこちらにお寄せ頂きましたら幸いです。

 日経平均やTOPIXなど全体相場を表す指数は確かに上昇してきたものの、すべての銘柄が上昇している訳ではなく、銘柄に偏りが見られるのがこのところの特徴です。
 技術立国、日本の強みが企業にも反映され、グローバル市場で活躍する企業群への評価が高まってきた。それも昨年から話題になり始めた生成AIとそれに必要な最先端の半導体に絡む企業が主役を務め、その結果として指数だけが独り歩きしたとも言えそうですが、個別に見ていくと決して全面高にはなっておらず、個別銘柄については相場の循環の中で強い銘柄と全く見向きもされない銘柄との二極化が続いている点をどう見るべきかということになります。

 大口投資家の投資戦略として一昨年後半から注目されたのは配当利回りでした。また、昨年は低PBR是正がテーマとなり、それが今も続いていると言えます。

 本来株価上昇にとっては収益の向上、利益成長に関心が寄せられる筈ですが、これまではデフレ経済の下で先行きの企業成長が見通せない中で投資家はやや守りのスタンスで臨んできました。
 これは企業にも言えることで内部留保を行い、その余裕部分から配当を行い、事業基盤を守りのスタンスで構築してきたという流れが続いてきました。
 それが一変し始めたのが生成AIによる社会的な変化で、その変化を先取りした企業行動となります。

 日本企業は米国企業のようなダイナミックな変化ができないのですが、ここに来てその流れにいち早く乗ろうと積極的な設備投資計画を打ち出した企業も出てきましたので市場はそうした先行投資を敢行して成長する企業への高評価を開始したとも言えます。
 成長性を加味したPERという指標に注目がされるとなるとここからは長期に株価低迷してきた大胆に成長を指向する中小型&グロース銘柄となります。

 一部の大口投資家は株価が低迷状態にある銘柄にも虎視眈々と拾い集める作業を行っているものと推察されます。

 相場の潮流がいつ変化するかはなかなか読めないのですが短期で今の潮流に乗る運用を一旦、止めて冷静に中長期スタンスで投資ができる銘柄にも目を向けて頂く必要があるのかと思われます。


(炎)


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