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ジュニアNISA復活させませんか?

 億近読者のみなさんこんにちは。金融教育の専門家遠藤です。

 2023年12月をもってジュニアNISAは終了しました。なくなって改めて思いますが、ジュニアNISAは復活した方がいいと思いませんか?

 元々のジュニアNISAの制度を見ると投資の本質とは逆の仕組みになっていることがわかります。
 非課税期間は5年、本人が成人になるまでは資金化できない、というルールがありました。私はFPという職業をやっているので、投資のアドバイスの際にお客様にはこう言っています。

「投資は長期で考えてください。」
「流動性の高い商品で投資をしてください。仕組債はだめです。」

 5年の運用が前提、流動性が確保されていない、というジュニアNISAは欠陥だらけだったので終了するのは無理もありませんでした。
 ただ終了することが決まってから、本人が成人になるまでは5年を超えても非課税投資が継続できることになりました。また、成人より手前で資金化することも可能になりました。

 この制度なら、十分に魅力的だと思いました。
 しかし、当該ジュニアNISAの制度は、2023年12月をもって終了となりました。


 ジュニアNISAを復活させてくれ、とまでは言いません。
 NISAの対象年齢を0歳からに引き下げてもらいたいなと思います。
 もちろん未成年者は親権者とともに投資判断をすることが前提のルールで問題ありません。現在、未成年者向けの課税口座はそのようなルールになっています。

 未成年の時から非課税投資ができると、人生の豊かさは何倍にも膨らませることができます。

 例えば、子供が0歳の時に300万円分の米国株のインデックスファンドを購入したとします。過去の米国株のインデックスを見ると、30年程度で約10倍になっていることがわかります。
 これは1994年から2024年までという話だけではありません。20世紀を遡ってみても、米国株のインデックスは約30年投資で、5倍から10倍ぐらいに膨らむのがパターンとなっています。ご自身でお確かめください。

 為替のことを抜きにして考えれば、子供が0歳の時に、子供名義で投資してあげた300万は、その子が30歳になる時には1,500万円から3000万円ぐらいになっている可能性があります。
 もちろん絶対ではありません。日本株のバブルの崩壊の後の30年のように悲惨な状態になることも考えられます。
 ただ、過去のアメリカの株式市場の強さを考えれば、「5倍から10倍ぐらいは米国株なら普通に起きること」のような気もします。

 この1500万円から3000万円は、その子がマイホームを買う時の頭金に入れてもいいですし、さらにそこから30年投資して10倍に増やして、1億5000万円から3億円という資産を60歳までに築くための元手としても構いません。

 300万円は少ない金額ではありませんが、日本人が普通に頑張って働いていれば十分に貯めることのできる金額です。

 親の口座で300万円を3000万円にしてから子供に渡そうとすると、莫大な贈与税がかかってしまいます。だから多くの高齢者は下の世代に資産を渡したくても、もったいなくて渡せません。

 ジュニアNISAという子供名義で投資ができる口座だからこそ、税を抜かれることなくしっかりと子供にお金を残すことができます。
 一応言っておきますと300万円でも贈与税はかかってしまいますので、毎年基礎控除の範囲の金額で数年に分けて贈与をするのが税制を考えた上でのセオリーとなります。

 子供が大きくなるにつれジュニアNISAの資産も膨らんでいく。子供の成長と資産の成長を両方見守ることができるのがジュニアNISAです。

 NISAを0歳からにする。子供が生まれたらすぐに子供名義の口座で長期投資をスタートする。子供達は大人になってから、親が植えてくれた数百万円という種が数千万円という木になるのを実感し、自分の子供にも同じことを引き継いでいく。

 このような資産移転の連鎖が起きれば日本はどんどん豊かになっていくでしょう。
 国は資産のあるところ、収入の高いところから税金を取ろうとしますが、ジュニアNISAの資産からは取ろうとしないようです。種のうちに贈与が完了し、育てた資産は非課税というなんともやさしい制度がジュニアNISAです。


 良い制度はなくなる。不思議です。


(遠藤)


[遠藤 功二氏 プロフィール]

 日本FP協会認定CFP
 1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
 MBA(経営学修士)

大学時代に借金に追われた経験からFPの資格を取得し、金融機関に就職。
証券会社と外資系銀行で延べ1,000人以上の顧客を資産運用アドバイザーとして担当した経験上、日本には金融教育が足りていないことを確信する。
自己責任が求められる社会で、子供たちが自立して生きていけるよう、お金の教育講座を実施している。子育て世代の親たちと子供たちに、金融の知識を届けるため教育特化のFPとして奔走中。

子育て世代のための金融教育サービスFP君
web:https://fpkun.com
メッセージ:koji.endo@fpkun.com


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)

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