#池波正太郎
怪人二十面相と小林少年が見た戸山ヶ原 ③小林少年が見た戸山ヶ原
「窓の外は荒れはてた庭になっていて草や木がしげり、そのずっと向こうにいけがきがあって、いけがきの外は道路もない広っぱです。その広っぱへ、子どもでも遊びに来るのを待って、救いをもとめれば、もとめられるのですが、そこまで声がとどくかどうかも、うたがわしいほどです。
それに、そんな大きなさけび声をたてたのでは、広っぱの人に聞こえるよりも先に、二十面相に聞かれてしまいます。いけない、いけない、そんな危
「窓の外は荒れはてた庭になっていて草や木がしげり、そのずっと向こうにいけがきがあって、いけがきの外は道路もない広っぱです。その広っぱへ、子どもでも遊びに来るのを待って、救いをもとめれば、もとめられるのですが、そこまで声がとどくかどうかも、うたがわしいほどです。
それに、そんな大きなさけび声をたてたのでは、広っぱの人に聞こえるよりも先に、二十面相に聞かれてしまいます。いけない、いけない、そんな危