蘭奢待はどんな匂い?
銘香(めいこう)の中でも一番有名なのは、正倉院にある蘭奢待(らんじゃたい)ですが、一番気になるのはやはり、「一体どんな香りなのか?」というところだと思います。
Googleの検索のサジェスト(検索キーワードを入力したときに下に出てくる候補)にも”蘭奢待”と打つと、”匂い””値段”と出てきたり、様々なサイトで「蘭奢待は伽羅なのか?」と疑問に思っている人が多かったりと、気になるところが多くありました。
「六十一種名香」と言う有名な香木の一覧のなかに蘭奢待も出てくるのですが、その中では蘭奢待の木所は伽羅であるとされています。
また、同じく正倉院に収められている紅塵(こうじん)も伽羅とされています。
伽羅を含む沈香と言われるものは、香道の流派や香木を扱う会社によって定義が変わります。
例えば、沈香を分類する名称として佐曽羅(さそら)というものがありますが、香道の流派によっては沈香以外の白檀なども佐曽羅として扱うことがあるのです。
米田該典の 「全淺香、黄熟香の科学調査」(宮内庁による依頼調査)では、昔は伽羅として扱われていたものでも現在、伽羅と呼ばれるものの成分が含まれないものも多くあると書かれています。
そして、この化学調査の中では蘭奢待(黄熟香)や紅塵(全桟香)は沈香の成分が含まれており、ラオスからベトナムにかけての山中で取れるものと近似しているとのことでした。しかし、現代の伽羅であると言う見解は書かれていませんでした。
山田眞裕の「香木三昧」には御家流の寸聞多羅(すもたら)で使用される黄熟香だと、見た目の特徴や経験値から推測されています。
過去の文献からいえることは、
・過去の文献からはよい香りがすると言われていること
・今の時代の伽羅と呼ばれるものではないと言うこと
・沈香の一種であると予想されること
です。
実際に蘭奢待を切り取り、焚いて聞いて見なければわからないと言うのが答えであり、時の権力者達が引き付けられる蘭奢待は値段を付けることのできない価値のあるものだと思います。
蘭奢待の香りを知ることは難しいですが、伽羅の香りが気になった方は、実際に伽羅を聞いて見ることをお勧めします。
伽羅の香りは、沈香の香りを表現する五味すべて含まれていると言います。
一番いいのは伽羅を直接焚くことですが、お手軽に香りを楽しむのであればピュアに伽羅の香りを感じることができる誠寿堂さんのお線香の「延寿」がおすすめです。
伽羅は高価で手が出しにくいけれど香りが気になる方は香木の香りをイメージした長川仁三郎商店さんの「霧の香 かのきみ」の香りを聞かれるのが良いと思います。
”かのきみ”は伽羅の香りのように言葉では表現できない何度も聞きなくなる素晴らしい香りです。もし蘭奢待から”かのきみ”のような引き付けられる香りがしていたら自分も蘭奢待を手に入れたいと思う位にお勧めです。「霧の香 かのきみ」はスプレータイプのお香でルームフラグレンスとして、室内などで使用できます。
オススメの香り
参考文献
・米田該典 (2000)「正倉院紀要 第22号 全浅香、黄熟香の科学調査」宮内庁
・山田 眞裕(2019)「香木三昧 大自然の叡智にあそぶ」淡交社
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