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娘の気持ち2-2(小説『天国へ届け、この歌を』より)

翌朝、私も病院についていった。

検査入院だけだと思っていたけど、そのまま入院することになった。

三人で別室に入って、色々と説明を聞いた。

何処か頼りない若いお医者さんが、細々と説明を受けたけれど、お父さんをこんな人に任せて大丈夫かなと思ってしまう。

悲観的な話ばかり。

どうして、もっと希望を持てる話をしてくれないの。

お父さんは、何も罪を犯していないのに、突然逮捕されて、法廷で有罪判決を受けた被告人のような顔をしている。

信じられないというように空を見上げて、大きなため息をついた。

若いお医者さんは、その様子を上目遣いに見て唇を噛みしめる。目を閉じる。暫くしてから何かを追い払うかのように、顔を上げて説明を再開する。

お母さんは、お父さんの顔をわざと見ないようにして、熱心に若いお医者さんの説明を聞いている。その口から、少しでも明るい日差しの入ってくるような言葉が出ないか待っている。

ずっと耐えている。でもそれは、何時まで経っても出なかった。

私達は何枚もの承諾書にサインをさせられた。

私は、これが現実でないような気がした。

悪い夢を見ているような気がしていた。

お父さんが検査着に着替えただけなのに、何日も入院している患者のように見えるのは何故。

お母さんの目じりの皺が気になる。

ファンデーションから薄っすらと浮き上がって見えるシミが気になる。お母さんが、急に年を取ったように見えた。

何かが、少しずつ崩れ始めた。

未来が、少しずつ黒く塗りつぶされてゆく。

現実が、少しずつ色あせてゆく。

私は、何処に行けばいいの。
   

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