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大河内健志
2020年7月8日 11:29
望月弥太郎が、こいつらによって無残に切り刻まれたのだ。望月はもう帰ってこないのだ。あの望月はいない。もう夜明けが近いというのに、彼は永遠の夜に閉ざされたままだ。藤堂平助の眉間の醜い傷は、望月の恨みだ。あろうことか、いま望月が私に恨みを晴らして下さいと哀願している。龍馬の目には、知らず知らずに涙が溢れてきた。零れ落ちた涙が、心の傷からにじみ出た血液のように畳を濡らしてゆく