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『天国へ届け、この歌を』スマホ版

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#スキしてみて

短編小説『落日の憂鬱』

久々 に浴衣を着て、角帯を締めた自分の姿を鏡で見る。 我ながら年を取ったなと思う。 スー…

大河内健志
11か月前
34

短編小説『ビルの隙間の打ち上げ花火』

やっと、小川の土手に着いた。 風景が一変した。 空が広がった。 日の名残りは、入道雲を紫…

大河内健志
11か月前
64

短編小説『眠れない夜』

綺麗な満月だ。 眠れないので、カーテンを少し開けて、ずっと見ている。 左手に繋がれた点滴の…

51

短編小説『嫉妬より、もっと奥にあるもの』

改札口は、東口と西口があって、どちらから降りてくるのか分からない。 吐き出されるように降…

41

短編小説『心にナイフが突き刺さる』

香田美月が、このマンションに来たという痕跡を全て消し去った。 土曜日、単身赴任をしている…

37

短編小説『月明かりに照らされて』

カーテンの隙間から、月明かりが差している。 その殺菌灯のような薄紫の淡い光は、美月の右の…

37

短編小説『荒れ狂う大地の中のオンナとオトコ』

「何と呼んだら良いですか?貴島さん」 オトーサンが突然消えた。 ワタシは抱きしめられた。 そして、唇を塞がれた。 ワタシは、繭のような柔らかいものに全身を包まれたたように感じた。 オトーサンは、鎧を身にまとい、剣を手に持った。 そこには、オトーサンは、いなくなり一人の兵士がいた。 脈絡もなしに放課後の教室で、高校生の時に一緒にバンドを組んでいたヤマギシ君と二人きりになった時を思い出した。 ごつごつしている中にも、弾けるような筋肉に覆われた腕。 甘酸っぱい汗の

短編小説『最後に打ち上げられた花火』

オトーサンが自分の娘のことを思い出していることに嫉妬した。 遠くに行ってしまうような気が…

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短編小説『遠くを見つめる瞳に嫉妬する』

花火って、すごく綺麗。 こんな風にビルの間から、遠くの花火を見ることって素敵。 次々に打…

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短編小説『彼女の瞳に輝く花火』

息も切らせず上がっていた花火は、一時間近くも経つとさすがに連発と闇の間隔が、長くなってき…

46

短編小説『ビルの隙間の打ち上げ花火』

やっと、小川の土手に着いた。 風景が一変した。 空が広がった。 日の名残りは、入道雲を紫…

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短編小説『声に出さない歌を聞いてくれる人』

二人並んで歩いている。 しばらくの間、 お互いに黙ったままでいる。 声には出さないけれど…

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短編小説『悲しくなるほど、美しい』

暫く歩いて住宅街を抜けると、小さな町工場や倉庫が立ち並ぶ、殺風景なところに出た。 そこを…

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短編小説『私は、ひとりぼっち』

本当はオトーサンの後ろを歩きたかった。 オトーサンの背中を見ながら歩きたかった。 その方が、心の中でオトーサンに語りかけることが出来るから。 私は、一人で考えながら歩くのが好き。 歩きながら物思いにふける。 過去を振り返ったり、詩が浮かんできたりする。 今はオトーサンの背中を見ながら、色んなことを考えながら歩きたかった。 そして、それを全部オトーサンの背中に語りかけたかった。 オトーサンの背中は、それらをみんな受け止めてくれるような気がしたから。 でも、オト