お母さんじゃなくて

2004年4月

私は祖母に慣れた。敵じゃない認識が持てたようだ。

心をすっかり許した。これには祖母も喜んでいる様子だった。孫の取り合い合戦で祖父に勝ったのだから。祖父より孫に好かれる優越感が、あんなに穏やかな祖母にもあったのだろう。


ばあちゃんっ子になった。幼稚園の参観日にも母でなく祖母が来た。

お母さんがよかった、と思うことはあった。でもさほど気にしていなかった。

「なんでお母さんじゃなくておばあちゃんなの?」
ともだちに聞かれた。

「分からない。」
「お母さん来ないのかわいそうだね」
「おばあちゃん嫌なの?」

聞き返して終わった。

担任の先生が祖母と写真を撮ってくれようとして呼んでくれたからだ。私は、ともだちとの「お母さんvsおばあちゃん」論争に決着をつけれていなかったのに。


祖母の隣に立った。
古い魔女の匂いがした。ともだちのお母さんよりも、私のおばあちゃんの方が強いんだと思い込んだ。祖母は私が作った折り紙のメダルを首からぶら下げていた。

金色にすればよかったと少し後悔した。

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