スローな香り袋「kofu」
こんにちは、麻布 香雅堂 代表の山田悠介と申します。「オープン・フェア・スロー」をキーワードにお香の世界に関わっており、noteでは「お香と100年生きてみる」という連載タイトルで文章を書いてます。今回は、わたしたちがあつかう香り袋の中でも、少しだけかわった背景をもつアイテムの背景をご紹介させていただきます。
香雅堂では、お客様からのご依頼でオリジナルのお香をつくることがあります。最近の例ですと、ホテルのレセプションで焚くスティックタイプのお香をつくったり(リゾートホテル ふふ奈良さん)、テキスタイル作家の方の作品の中にいれるブレンド香=かおり袋の中身をつくったり(textile n+Rさん)といったかんじです。
その過程で、ご依頼主と香りを確認したり、意見交換をする為にサンプルを数種類つくるのですが、製品化されない香りが必ずある程度はでてきます。種類としても量としても。香り自体は良いのだけれど、コンセプトにあてはまらなかったサンプルたちが、余ってしまうということですね。このままではもったいないなあ…
ブレンド香、サンプル製作の様子
ちょっと似た存在として、蚤の市等で二束三文で売られている着物があります。中には保存状態が良く、テキスタイルという切り口で見れば高品質なものも多くあります。このままではもったいないなあ…
そんなふたつの「もったいない」を掛け合わせてつくられたのが、この「スローな香り袋 kofu」。中身の香りは製品化されなかったサンプルたち、テキスタイルは新古品の着物たち。ふたつの素材がランダムに組み合わさった、ひとつとして同じもののないアイテムです。
スローな香り袋 kofu <小> タイトル画像は<大>
そんな性質上 現状では販売が難しいので、香雅堂から感謝の気持ちを伝えるときのプレゼントとして主に活躍しています。何かの機会にみなさまのお手元にお届けできることを祈っております。
………と書いているうちに着物の季刊誌『七緒』さんから、つかわれなくなったお着物から香り袋をつくる企画へのお誘いをいただきました。とてもどんぴしゃで少し驚いています。もしよろしければ詳しくはこちらのURLよりご覧くださいませ!
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【連載】お香と100年、生きてみる
オープン・フェア・スローをキーワードに活動する香木・香道具店「麻布 香雅堂」の代表・山田悠介が書くnote。謎に包まれた和の香りの世界のことを、様々な切り口から紹介させていただきます。既にお香が好きな方に、潜在的にお香を必要としている方に、この連載を通じて少しずつご興味をお持ちいただけたら嬉しいです。
【プロフィール】山田悠介
香雅堂代表。1986年、東京の麻布十番に生まれる。「悠さんのランドセルは香りでわかる」と言われる様に和の香りと共に育ち、約10年前から香雅堂に関わる。テニスを中心としたスポーツ・村上春樹さんをこよなく愛する、2児の父。家業・家庭・自分の時間、細く長くバランスよく、中庸に100年生きることを目指しています。