JーROCK側とのメールのやりとりを全文公開します。
尾米タケルです。
座員の雨宮が商業演劇の舞台公演を手伝って一か月近くタダ働きした末に小道具代を2万円以上負担させられた話。
の続きでございます。
この記事だけでもことの顛末をおおまかに理解していただけますが、お時間ご興味ございます方、稽古期間・本番をとおして現場がどのような状況だったか、上の記事もご一読いただけますとうれしく思います。
JーROCK側とのメールのやりとり
まず雨宮が立て替え分のリストを送ったところ、K氏よりLINEでこのような返信。
くどいですが小道具の担当者はK氏です。これはすべて稽古・本番を通して使っていた物。
雨宮がひとつひとつ何に使ったかを説明し、領収書とともに送りました。
それに対してK氏からの返信。
これらのやりとりが事実である証拠として、K氏と雨宮のLINEのやりとりのスクリーンショットも載せておきます。
K氏が確認してなくて、購入いただいていると言っているものを見てみましょう。
・スクリーン拡大鏡
▶こちらは一番難航した手作りプロジェクターのレンズとして使用。完成が見えず、本番も差し迫っており、K氏に伝えずに購入しました。(何故そうせざるを得なかったかは前記事をご覧ください)
・ボール
▶初日打ち合わせ時に雨宮が作成した小道具購入リスト(下に画像あり)に記載しています。その後も何度も確認。返事がなかったので購入。
・針金や画用紙はこちらが準備したものでの対応は不可能でしたでしょうか。
▶不可能でした。飛ばなかったので、材料を追加購入し、色々テストしました。僕が「かなりの試行錯誤が必要だ」と言っていたことを、毎日の稽古場での悪戦苦闘を、どう受け取っていたのでしょうか?そもそもが、K氏に新たな材料での作成をお願いしていたのですが。(前記事参照)
・スーファミを郵送することは聞いてなかったので申し訳ございませんが郵送費のお支払いは出来かねます。
▶スーファミは元々雨宮の知人に郵送で借りるということになっていましたが、「(雨宮)家にも変色したのがありました。これがクリーニングできれいになればこれ使います」(スーファミが発売されたばかりという設定だったので)ということになっていましたが、クリーニングを試みるもきれいにはならず、それどころかがんばりすぎて半ばドロドロに……。ということで本番直前に郵送してもらいました。
・黒幕に関して、稽古時に無料でお貸しいただけるというお話でお伺いしていたので、こちらも予算に組んでおらずで、申し訳ございませんがお支払い出来かねます。
▶これは少し細かく説明させてください。本番も差し迫った6月7日、劇場との最終打ち合わせでシャボン玉を使用するにあたり、もし袖幕を汚してしまった場合、弁償(何十万)してもらうことになると言われ、僕・K氏・舞台監督のIさん・雨宮の4人でどうしたものかと相談していたところ、雨宮が「知人に貸してもらえるかもしれません」と電話をかけ「無料で貸してくれると言っています」と言いました。(舞監さんが「なに?だれ?どういうコネクション?」とめっちゃくいついてました。)
しかも巨大な幕を6本、車で稽古場まで持って来ていただけることに。
その際、K氏が「本当に無料でいいんですか?」と言いましたが、
僕も雨宮もそれはあまりに甘えすぎなので、
「お気持ちで1万円でもお渡ししましょう」と言い、
K氏も「それはもう」と同意しました。
直前まで数十万のリスクの中で強行するか(もちろん袖や客席にはつかないようにと最初から色々手を打っていました)数万円で袖幕だけレンタルするか、シャボン玉をお蔵入りにするか、と話していたので、この問題が1万円で解決するのはまさに奇跡的でした。(雨宮はここでも舞台を救っているんです)
K氏の中ではこの会話もなかったことになっているようですが、先日電話で舞台監督のIさんに、この会話とK氏の発言・同意があったことを確認しております。
見ていただいてわかるように、K氏が「聞いていない」というもののほとんどは、K氏が覚えていないものです。
正直なところ、僕としてはこれは伝えたとか、伝えていないとか、そんなことはどうでもよくて、そんなもの関係なく雨宮に小道具代を負担しろってどういう神経してるんだっていうのが本音です。
いや、本音はもう少しだけ汚い言葉になりますが。
「ここまで立て替えていただいてすみません、ありがとうございました」とか、「え、こんなに立て替えていただいてたんですか!?すみませーん!仮払いお渡ししておくべきでした!!」とか、あってもよさそうなもんです。
ちなみに尾米の小道具もかなり貸してますし、座員のしょうへいも美術で使うガラス瓶二十数本を全部ラベルはがしてきれいに磨いてバイクで稽古場に持って来てくれました。それらに関しても終演後もなんの礼も言われてません。制作さんは終演後もお忙しいでしょうから伝え忘れることもあるでしょう。でも、感謝の気持ちがあったら今回みたいなことにはなってないわけで。
8月10日、上のK氏からのメールを受けて、僕はK氏と電話でさんざん話しました。その内容についても以下と重複するのでここでは省きますが、電話を終えた後、K氏から、CC(内容が同じメールを複数の相手に送信するための機能)にRという人物を入れてメールが送られてきました。
以下、メールのやりとりも読みやすさを考慮して原文をすべてコピペしたものを、個人名などを伏せる形で掲載します。(あからさまな誤字脱字のみ修正しております)
必要を感じれば、スクリーンショットに変更します。
僕は、このメールの意味がよくわかりませんでした。
僕はK氏との電話で最後の最後に
「Kさんの裁量ではどうすることもできないんですよね?なら僕が話したことをすべて上の人に伝えてください。そのうえで最終的な精算の額を提示してください。それでも雨宮に負担させると言うのなら僕は到底受け入れられないし、泣き寝入りするつもりもありません。あと、今後、僕たちみたいな目に合う人が出ないように、JーROCKの名前を出して、今回のことをすべて公表します」
と言っていたので、あちらから何か話があるのかな、と思い、ひとまず待ってみました。
そもそも、Rって誰?どういう立場の人?って話です。K氏の上司なんだろうけど、まず、紹介してよ、と。
メールで話し合うことになった経緯・何について話すのか・R氏とは何者なのか、そういうことが一切書かれていないので、何て返事を返せばよいのかもわかりませんでした。
しかし、待てども続きのメールはこず。
これはこちらから何か話せってことか?と思い、LINEでK氏に確認。
電話で話した内容をいまいちど、メールで話してくれ、Rは部長ですとのこと。
いや、さんっざん話したことまた話すの!?しかもメールで!?
時間かかるーーーーー!!
なんでもらって当たり前のもんもらうのにこんな時間取られなあかんねん!!!
という想いが大半。
残りは、この時はまだ、JーROCKに舞台制作の現場の状況を改善してほしいと思っていました。
そして、ホントにわれながらとんだ勘違いでお恥ずかしいのですが、この話し合いの場がセッティングされたのはK氏のSOSなのかな?などとも思いました。
(稽古期間中、K氏のあまりの仕事量に「大丈夫ですか?」と声をかけると、K氏はいつも「大丈夫です。いつものことなので」と言いました。そのたびに僕は「そんなのに慣れちゃダメですって!おかしいんですから!僕が社長と話しましょうか!?」と冗談交じりに言っていたので。)
無理な予算組みからくる負担が個人にのしかかっているということ。
それが結局舞台に関わるすべての人間に影響を与えていること。
K氏の労働環境もあまりにひど過ぎるということ。
そういうことを話せる機会にもなる。
そんな思いもありつつも、ひとまず、僕もバタバタしていたのであいさつのみ、メールをしました。
これは丸二日、返信なし。
なに?あっちでは俺がメールで話させてくれって言うたことになってんの?
気を取り直して。
これにはわりとすぐにR氏からの返信がありました。
因みに、これは今回の件についてJーROCK側が用意した話し合いの場です。
その場で僕はJーROCKさんとしての見解を尋ねました。ですので、以下の部長のR氏・社員のK氏の見解、対応がJーROCKという会社としての見解であり、対応であると僕は考えます。
そうそうたる経歴の持ち主であるらしい、R氏。
しかしこのメールひとつでR氏はなにひとつ理解していないことがわかりました。
これに対してR氏の返信。
この労力の格差はなんでしょうか?
まずそこから是正してほしいです。
僕の問いかけは一切スルーして、「捕まえたー-!!」とばかりの食いつきようです。
この時点で僕はこの話し合いの場に意味を見出せなくなりつつありました。
まるで書類と会話しているような気分でした。
どうにか、スタートラインに立とうとします。
しかし、R氏からのメールはスタートラインに立つどころか、謎の急展開から、エンディングに突入しようとし始めます。
科学ショーの件の意味も僕にはよくわかりませんし、
「色々気苦労」ってなんでしょうか?こっちは気苦労ですむなら万々歳なんですが。
「私も冒頭で申し上げたように」R氏は最初に作成したメールを送り損じているのでしょうか?
また、R氏はメールのやりとりを通してずっとK氏の名字を誤字っておりました。
誤字、というか、そう認識しているのでしょう。
K氏はこれをどのような思いで読んでいたんでしょうか。
以下、僕の返信。
読んでいただいてわかるように、JーROCK側とのやり取りのメールの中ではいちいち証拠を上げて「これは伝えました」のようなやりとりはしていません。
これは裁判ではなく、人としての道理の問題だと思ったからです。
会社は組織だからといってそれを踏み外していいわけがありません。
これに対する返信が、こちら。
なんとR氏からの返信はありませんでした。先のメールでクランクアップだったようです。花束わたしそびれました。
本当に、何のためにセッティングされた場なのか。何のためにわざわざ登場してきたのか、僕には全く理解できません。
「こちらでお話を」と自ら場を設けておいて、こっちの話には一切耳を傾けず、問いかけにはひとつも答えず。「今後は第三者を通して書面で」と一方的に話を打ち切る。
もう、皆さまの感じるままにお任せしたいと思いますが、僕はこの人たちは本当に救えないと思いました。それでも一点気になるのはK氏の「私はジェイロック社員の1人として、舞台をやらせていただいている身です」という発言。会社とK氏との関係が透けて見えるようでやはり心配になります。
僕が返信したメールです。
このメールの後、ひとまず僕の演出料についてのみ、8月31日の振込期日で請求書を送りました。
JーROCKからは一切何の返信もなく、演出料も今現在振り込まれておりません。
ですので、前記事のタイトルは
座員の雨宮が商業演劇の舞台公演を手伝って一か月近くタダ働きした末に小道具代を2万円以上負担させられた話。
となっていますが誤りです。
実際は
座員の雨宮がJーROCKの舞台公演を手伝って一か月タダ働きさせられたあげく小道具代の立替分50,326円を丸々負担させられ、それに異をとなえた座長の尾米タケルも演出料をまるまる踏み倒された話。
です。
最後に
上にも書いた通り、「JーROCKの名前を出して、今回のことをすべて公表します」とJーROCKには伝えてあります。
ですのでこれらすべてのやりとりは、
JーROCKという会社として、社会になんら恥ずべきところのない発言であり、対応である。
ということでしょう。
お前みたいなノラ犬がいくら吠えたところで、こっちは痛くも痒くもないんだよ。
ということかもしれません。
これは今後僕たちと同じような目に合う人が出ないようにする為の注意喚起ですので、僕が名誉棄損で訴えられることはありません。
ですのでみなさま、もしよろしければ!躊躇は無用です!どうかこの件をじゃんじゃん広めてください。
(ちなみにJーROCK側から「そんなことしないでくれ」とは『聞いていない』ので公表しました。問題なし。)
100%僕たちに賛同していただかなくても構いません。僕たちが考え違いしている部分もあることでしょう。どうぞ指摘してください。
僕が書いてきたことが「ウソか本当かわからないじゃないか」という方は「これって本当にあったの?」と拡散してください。
また、ここまで読んで、「JーROCKの言っていることの方がまともだ!」「なんてすばらしい会社なんだ!」と思われた方がいらっしゃったら、そのような見解からでも構いません。「頭のおかしな演出家がいちゃもんつけてる!」「尾米タケルは要注意人物だ!!」と拡散してください。
ただ、雨宮や関係者への個人攻撃はやめてください。ご批判はすべて僕の方にお願いします。K氏・R氏への個人攻撃も、お控えくださいますようお願いいたします。(尾米も雨宮もあらゆる暴力に反対です)
また、前章でも書きましたが、他にもこのような現場があるかと思います。
演劇界のみならず、広く社会において、組織の利益のために個人が犠牲を払うというような状況が一刻も早く、無くなりますことを。自戒も込めて。
長い長い長い文章を読んでいただき、ありがとうございました。
尾米タケル
おまけ
皆さまお疲れさまでした。
とりあえず一通り事の顛末を書き終えたわけですが。
ここまで読んでいただくと稽古場の雰囲気はかなり殺伐としていたのではないかと思われるかもしれませんが、決してそんなことはなく。
若きキャストたちとの稽古は楽しかったですし、雨宮が加入後は科学ショーの準備も楽しみながらやっておりました。(とんでもない重圧はありましたが)
また、K氏との関係も決して険悪なものではなく、友好的なものだったと僕は思っております。仕事の面での不満は多々ありつつも、K氏はなんだか憎めない(雨宮に言わせると「かわいい」)人で、ダンス未経験のキャストのために、振りをすべて覚えて(K氏はダンス経験者)毎日稽古終わりにレッスンしたりというような面もありました。(その時のK氏がたいへん楽しそうで微笑ましく。)また、雨宮が部屋を追い出されそうだという話をした際には、「私の部屋でよかったら使ってください」というようなことも言ってくれました。
稽古場でもっとも長い時間を過ごした三人なので、その中で少なからず通じるものがはぐくまれていたと、思っております。
ま、それはそれとして。
「人に楽しんでもらうものを作る」ことに心血を注いでいる身としては、ここまで、いやー、あまりに楽しくない、疲れる内容。
そこで息抜きの意味も含めまして、また、ここまでのやりとりの補足資料として、科学ショーがどういったものだったか。その内容と膨大な試行錯誤のごく一部、をここに記載します。これはあくまでおまけですので、興味のある方だけ、ご覧ください。
幻の科学ショーの内容と膨大な試行錯誤のごく一部の記録
科学ショーはテーマソングが流れる中、無言で進行します。
○光る棒人間
闇の中、光る棒人間が現れ、踊る。
蛍光スティック(ケミカルライト)を黒い服に人型に貼り付けます。
こんなの。
テスト動画。
この日は稽古場にJーROCKの若手社員のTちゃんがおりました。Tちゃんは科学ショーをとても楽しんでくれました。この時めちゃめちゃ楽しんでくれた棒人間を、本番中は日々、死にそうな顔で作っておりました。。Tちゃんありがとう。
○風船ジャンプ
風船をテープで貼り付け大きな輪っかを作り、ブロアー(舞台監督さんのもの)で下から風を送ると、風船の輪が回転しながら宙に浮きます。その輪を皆でジャンプでくぐる。
風船も安定させるのが意外と大変でした。最初ガムテープを輪っかにして貼り付けたら、テープのたわみで風船がグニャグニャと曲がり安定せず。貼り付け方法やら、風船の個数、空気の入れ具合、飛べる高さに安定させる方法など、かなり試行錯誤しました。テープがしっかり粘着するのに一日かかり、二日も経つと風船が萎んでまたグニャグニャする。何度か使うと風船にねじれが出てくる。公演の時は毎日本番終了後に翌日分を作って帰っておりました。(スタッフが全員帰って劇場の人に締め出されそうになった日もありました)あと作ってからの移動がめちゃくちゃ大変なのと、単純に作るのに時間がかかる。
翔平が瓶を持って来てくれた日。いちいちリアクションしてくれるのでうれしくなってできてるもの一通り見せた。この時点でわたくし、風船のコントロールが異常にうまくなっています。(人が飛ぶと風圧で風船が乱れるというのは、最後まで解決できませんでした。。)
○巨大空気砲
言わずも知れた、です。(材料は段ボールとガムテープ。スモークは照明さんが持ち込み)
○手作りプロジェクターでオイルタイマーの光を投影
【段ボール・スマホ拡大鏡・懐中電灯(取り立てて必要ではないが尾米で買い取り)】で作ったプロジェクターの中にオイルタイマー(液体の砂時計のようなもので、油の中に色のついた水が入っており、さかさまにすると着色された水玉が下に落ちるというもの)を入れ、水玉の光を舞台に投影する。
これが一番大変でした。本当に実現できないかもしれない、というところまで追い込まれました。
以下、試行錯誤の記録の一部。
光源・オイルタイマー・投影対象の距離が難しく、投影対象とオイルタイマーの距離が遠いと色が出ず、近いと大きく映らない。光源を変えてみたり色々試しましたがどうにもうまくいかず。
プロジェクターの仕組みを調べたりしているうちに、手作りプロジェクターの動画を発見!しかも材料は段ボールとガムテープにレンズは100均の虫眼鏡!(動画ではスマホの画面をそのまま投影してました)さっそく試作!
きれい!!でも小さい!!
この時小屋入り10日前。
もうどうしていいかわからず、テクニカルのグループLINEにも動画を投げました。
超巨大虫眼鏡があればいいのか?でもそんなもの絶対高い。
尾米で所有してるプロジェクターのレンズをはずして使うか?
取れない。
プロジェクターの前にオイルタイマー置いたらどうなるんだ?
同日の動画。
色々別の問題が。
やはり、強い光源と、大きな集光レンズ。これがあればなんとかなりそう。
でも、レンズも光も全然わからないし、入手できない。
ということで、いつも尾米の照明をやってくれている矢野に電話。
「今から機材持って稽古場行くよ」
持つべきものは矢野ーーーー!!
矢野がソースフォーなる機材を持って稽古場に来てくれました。
(この時のタクシー代は僕の自腹です。小屋入り10日前。背に腹は代えられませんでした)
これは割ときれいに出ました。
でもかなり大がかり。科学ショーは曲に合わせて演者だけで物の出しはけ含めて次々に展開するのと、やはり高校生でも製作可能な手作り感は欲しい。
ひとまず、「できない」は回避できたので、これをキープしてもうひと踏ん張り。
毎日帰宅するとオイルタイマーの投影手段を考えていました。
ん?なんか、本用のでっかいルーペみたいなんあった気がする。とamazonで調べてみると、1000円前後でありました。いけるか?むりか?でもこれでいけたら!
早速雨宮に電話。
雨宮も「スマホ拡大鏡っていうのがあって、いける気がするんですけど」ここでやっとスマホ拡大鏡にたどり着きます。
「今買えば明日稽古場に届きます!」
「買ってくれー!」(これに関しては、もう本当にK氏に確認しておりません。)
翌日稽古終わりに早速試すと、「い、いける―!しかもきれい!」レンズ・オイルタイマー・光源の細かな調整などはまだまだ必要でしたが、手作りプロジェクターはなんとか目途がつきました。
○人間花火
円形に切った黒布に真ん中まで切れ目を入れる。蛍光スティック・蛍光テープなどを貼り付けて花火のように飾り、物陰からジャンプして空中でばっと両手を外側から振り上げることで、打ち上げ花火のようにみせる。
実験。基本人がいないので、僕がやって雨宮が撮影。
科学というか、仮装大賞みたいになってきましたが。
ストーリー上、打ち上げ花火はやらせてやりたかったのです。
○フライングバタフライ
ヒロインのモトコがカンちゃんからプレゼントされた本を開くと、本の中から大量のフライングバタフライ(針金と紙、ゴムで作った蝶々)が飛び出す。
こんなのです。
これは雨宮がかなりがんばってましたが、最終的には既製品を購入しました。ただ、既製品も「飛ばない」などのレビューがあったので、購入は躊躇していました。本番では既製品のゴムを換えるなど、雨宮が色々調整したものを使っていました。本番、特に終盤での開いた本から羽ばたく蝶々たちは、見事なものだったと思います。映像がないのが残念。
○シャボン玉
黄色いプラスチックのチェーンをシャボン玉液につけ、虹を描くようにふるとチェーンの輪一つ一つから大量のシャボン玉がでる。
これはシャボン玉液を考えねばなりませんでした。チェーンでシャボン玉を作るには粘度が必要ですが、割れないシャボン玉はいつまでも漂い続け、袖幕や客席を汚しかねず、恐ろしい弁償問題に。シャボン玉ができ、ある程度は漂い、なおかつ袖や客席までは飛ばないように。舞台監督さんとかなり思案しました。
K氏もなんとかシャボン玉が実現できるようにと、劇場と交渉してくれました。
担当キャストもかなり神経をつかったと思います。
フライングバタフライが本から飛び出すとともにシャボン玉。皆がシャボン玉を眺めながら暗転。というような内容。
また、劇の途中、
「皆で科学実験のようなことをしはじめる」
というシーンがあったので、そこでは
○どん兵衛の空き容器に下からドライヤーを当てて宙に浮かせる。
○カンちゃんが試作中のフライングバタフライを飛ばす。
○ポリ袋気球
薄手のポリ袋の口を真ん中数センチ残してテープで貼り、口からドライヤーで熱風をため、手を放すとゆっくりと宙に浮きあがります。
というのをやりました。
科学ショーは経済的・技術的に高校生に実現可能なもので、視覚的に楽しめるもの、を念頭につくりました。(演出意図とは別に予算面にも僕なりに精一杯配慮したつもりです)
以上幻の科学ショーの内容と膨大な試行錯誤のごく一部の記録でした。
お付き合いいただきありがとうございました。
尾米タケル
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