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JーROCK側とのメールのやりとりを全文公開します。

尾米タケルです。

座員の雨宮が商業演劇の舞台公演を手伝って一か月近くタダ働きした末に小道具代を2万円以上負担させられた話。

の続きでございます。

この記事だけでもことの顛末をおおまかに理解していただけますが、お時間ご興味ございます方、稽古期間・本番をとおして現場がどのような状況だったか、上の記事もご一読いただけますとうれしく思います。

JーROCK側とのメールのやりとり

まず雨宮が立て替え分のリストを送ったところ、K氏よりLINEでこのような返信。

お世話になっております。
ご連絡遅くなりまして、申し訳ございません。
いただいたデータを確認させていただいたのですが、
こちらで把握してなくて、予算に入ってないものが結構あります。
・スクリーン拡大鏡
・科学ショー材料というのは主にどんなものたちでしたか?
・フライングバタフライ材(主にどんなものでしたか)
・風船テープは両面ですか?
・スーファミは郵送されたんですね?
・暗幕の金額も予算に組んでおらずですみません。
一度、領収書コピーかスキャンデータでお送りいただくか
弊社に郵送お願い出来ますでしょうか。

くどいですが小道具の担当者はK氏です。これはすべて稽古・本番を通して使っていた物。
雨宮がひとつひとつ何に使ったかを説明し、領収書とともに送りました。

それに対してK氏からの返信。

お疲れさまです。
領収書お送りいただき、ありがとうございます。
基本的にこちらが確認して、購入いただいたもの以外の予算は組んでおらず、お支払いすることが出来ません。
確認してなくて、購入いただいているもの
主に
・スクリーン拡大鏡
・ボール
・針金や画用紙はこちらが準備したものでの対応は不可能でしたでしょうか。
・スーファミを郵送することは聞いてなかったので申し訳ございませんが郵送費のお支払いは出来かねます。
・黒幕に関して、稽古時に無料でお貸しいただけるというお話でお伺いしていたので、こちらも予算に組んでおらずで、申し訳ございませんがお支払い出来かねます。
上記と合わせていただいた立替分データの中から
¥22,059
はお支払いさせていただければと思います。
お忙しいところ、恐れ入りますが
ご確認いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。

これらのやりとりが事実である証拠として、K氏と雨宮のLINEのやりとりのスクリーンショットも載せておきます。

K氏が確認してなくて、購入いただいていると言っているものを見てみましょう。

・スクリーン拡大鏡
こちらは一番難航した手作りプロジェクターのレンズとして使用。完成が見えず、本番も差し迫っており、K氏に伝えずに購入しました。(何故そうせざるを得なかったかは前記事をご覧ください)

・ボール
▶初日打ち合わせ時に雨宮が作成した小道具購入リスト(下に画像あり)に記載しています。その後も何度も確認。返事がなかったので購入。

・針金や画用紙はこちらが準備したものでの対応は不可能でしたでしょうか。
不可能でした。飛ばなかったので、材料を追加購入し、色々テストしました。僕が「かなりの試行錯誤が必要だ」と言っていたことを、毎日の稽古場での悪戦苦闘を、どう受け取っていたのでしょうか?そもそもが、K氏に新たな材料での作成をお願いしていたのですが。(前記事参照)

・スーファミを郵送することは聞いてなかったので申し訳ございませんが郵送費のお支払いは出来かねます。
スーファミは元々雨宮の知人に郵送で借りるということになっていましたが、「(雨宮)家にも変色したのがありました。これがクリーニングできれいになればこれ使います」(スーファミが発売されたばかりという設定だったので)ということになっていましたが、クリーニングを試みるもきれいにはならず、それどころかがんばりすぎて半ばドロドロに……。ということで本番直前に郵送してもらいました。

雨宮が最初に作成したリストの一部

・黒幕に関して、稽古時に無料でお貸しいただけるというお話でお伺いしていたので、こちらも予算に組んでおらずで、申し訳ございませんがお支払い出来かねます。
これは少し細かく説明させてください。本番も差し迫った6月7日、劇場との最終打ち合わせでシャボン玉を使用するにあたり、もし袖幕を汚してしまった場合、弁償(何十万)してもらうことになると言われ、僕・K氏・舞台監督のIさん・雨宮の4人でどうしたものかと相談していたところ、雨宮が「知人に貸してもらえるかもしれません」と電話をかけ「無料で貸してくれると言っています」と言いました。(舞監さんが「なに?だれ?どういうコネクション?」とめっちゃくいついてました。)
しかも巨大な幕を6本、車で稽古場まで持って来ていただけることに。
その際、K氏が「本当に無料でいいんですか?」と言いましたが、
僕も雨宮もそれはあまりに甘えすぎなので、
「お気持ちで1万円でもお渡ししましょう」と言い、
K氏も「それはもう」と同意しました。
直前まで数十万のリスクの中で強行するか(もちろん袖や客席にはつかないようにと最初から色々手を打っていました)数万円で袖幕だけレンタルするか、シャボン玉をお蔵入りにするか、と話していたので、この問題が1万円で解決するのはまさに奇跡的でした。(雨宮はここでも舞台を救っているんです)
K氏の中ではこの会話もなかったことになっているようですが、先日電話で舞台監督のIさんに、この会話とK氏の発言・同意があったことを確認しております。

見ていただいてわかるように、K氏が「聞いていない」というもののほとんどは、K氏が覚えていないものです。

正直なところ、僕としてはこれは伝えたとか、伝えていないとか、そんなことはどうでもよくて、そんなもの関係なく雨宮に小道具代を負担しろってどういう神経してるんだっていうのが本音です。

いや、本音はもう少しだけ汚い言葉になりますが。

「ここまで立て替えていただいてすみません、ありがとうございました」とか、「え、こんなに立て替えていただいてたんですか!?すみませーん!仮払いお渡ししておくべきでした!!」とか、あってもよさそうなもんです。

ちなみに尾米の小道具もかなり貸してますし、座員のしょうへいも美術で使うガラス瓶二十数本を全部ラベルはがしてきれいに磨いてバイクで稽古場に持って来てくれました。それらに関しても終演後もなんの礼も言われてません。制作さんは終演後もお忙しいでしょうから伝え忘れることもあるでしょう。でも、感謝の気持ちがあったら今回みたいなことにはなってないわけで。

8月10日、上のK氏からのメールを受けて、僕はK氏と電話でさんざん話しました。その内容についても以下と重複するのでここでは省きますが、電話を終えた後、K氏から、CC(内容が同じメールを複数の相手に送信するための機能)にRという人物を入れてメールが送られてきました。

以下、メールのやりとりも読みやすさを考慮して原文をすべてコピペしたものを、個人名などを伏せる形で掲載します。(あからさまな誤字脱字のみ修正しております)

必要を感じれば、スクリーンショットに変更します。

尾米さま
お世話になっております。
ジェイロックKです。
CCに入れさせていただきました。
お忙しいところ、恐れ入りますが
こちらでお話させていただければと思います。
よろしくお願いいたします。

僕は、このメールの意味がよくわかりませんでした。

僕はK氏との電話で最後の最後に

「Kさんの裁量ではどうすることもできないんですよね?なら僕が話したことをすべて上の人に伝えてください。そのうえで最終的な精算の額を提示してください。それでも雨宮に負担させると言うのなら僕は到底受け入れられないし、泣き寝入りするつもりもありません。あと、今後、僕たちみたいな目に合う人が出ないように、JーROCKの名前を出して、今回のことをすべて公表します」

と言っていたので、あちらから何か話があるのかな、と思い、ひとまず待ってみました。

そもそも、Rって誰?どういう立場の人?って話です。K氏の上司なんだろうけど、まず、紹介してよ、と。

メールで話し合うことになった経緯・何について話すのか・R氏とは何者なのか、そういうことが一切書かれていないので、何て返事を返せばよいのかもわかりませんでした。
しかし、待てども続きのメールはこず。

これはこちらから何か話せってことか?と思い、LINEでK氏に確認。

電話で話した内容をいまいちど、メールで話してくれ、Rは部長ですとのこと。

いや、さんっざん話したことまた話すの!?しかもメールで!?
時間かかるーーーーー!!

なんでもらって当たり前のもんもらうのにこんな時間取られなあかんねん!!!

という想いが大半。

残りは、この時はまだ、JーROCKに舞台制作の現場の状況を改善してほしいと思っていました。

そして、ホントにわれながらとんだ勘違いでお恥ずかしいのですが、この話し合いの場がセッティングされたのはK氏のSOSなのかな?などとも思いました。

(稽古期間中、K氏のあまりの仕事量に「大丈夫ですか?」と声をかけると、K氏はいつも「大丈夫です。いつものことなので」と言いました。そのたびに僕は「そんなのに慣れちゃダメですって!おかしいんですから!僕が社長と話しましょうか!?」と冗談交じりに言っていたので。)

無理な予算組みからくる負担が個人にのしかかっているということ。
それが結局舞台に関わるすべての人間に影響を与えていること。
K氏の労働環境もあまりにひど過ぎるということ。

そういうことを話せる機会にもなる。

そんな思いもありつつも、ひとまず、僕もバタバタしていたのであいさつのみ、メールをしました。

Rさま
はじめまして。「■■■■■■」演出を担当しました、尾米タケルと申します。
この度はご多忙な中、お話の機会をいただきましてありがとうございます。
取り急ぎ、ご挨拶のみ、失礼いたします。
尾米タケル

これは丸二日、返信なし。

なに?あっちでは俺がメールで話させてくれって言うたことになってんの?

気を取り直して。

Rさま
お世話になっております。
本題ですが、小道具・材料費の立替分の精算について、雨宮から¥50,326を領収書とともに請求させていただきましたところ、
Kさんの方から¥22,059分のみ、お支払いしますという連絡をいただきました。
そのことに関して、先日Kさんとお電話させていただきまして、僕の思うことはお話しさせていただきましたが、
Kさんの方から、このメールであらためてお話を、ということですので繰り返しになりますが、
御社主催の舞台「■■■■■■」のために購入した小道具や材料を、雨宮個人が負担しなければならないのはおかしいと思うのですが、
いかがでしょうか?
そもそも雨宮は「■■■■■■」とは無関係の人間です。
それを現場に必要な人員が足りておらず、このままでは本番の幕があがらないということで急遽、現場に入ってもらった人間です。
その辺りも含めまして、
J-ROCKさんとしての見解をお聞かせいただきたく思います。よろしくお願い致します。
尾米

これにはわりとすぐにR氏からの返信がありました。

因みに、これは今回の件についてJーROCK側が用意した話し合いの場です。

その場で僕はJーROCKさんとしての見解を尋ねました。ですので、以下の部長のR氏・社員のK氏の見解、対応JーROCKという会社としての見解であり、対応であると僕は考えます。

尾米さま
お世話になります。稽古から本番まで、現場での細かなやり取りまでは分かりませんし、言った言わないの話になると思うので
私の見解と考えだけお伝えさせて頂きます。
まずは、率直な感想ですが、
私は舞台では小劇場から明治座やACTなどホール規模までの舞台、ミュージカルの制作をやってきました。
音楽はLIVEハウスからアリーナ、ドームもライブ制作をやっております。
基本的には主催社が利益を目的として、逆算し、予算建てをし
各社に予算を当てながらスタッフィングし、興行を作っていきます。
その中で、興行終了後に、我々から各業者さんへ金額の調整をお願いすることはあっても
受注者側からオーバーの金額を言われることはありませんでした。
当然、やりながら予算の見直しを迫られる場面があることもあるでしょう。
ただし、前述したように主催者の目的が利益にある以上は、
予算の見直しの段階で可否を判断するのも、主催と制作だと思っております。
予算が厳しそうでもオーダーした予算の中で解決し、お受け頂くのがこの業界の通常の仕事の仕方だと思いますし、
それが出来ないようであればお受けにならないのが普通だと思いますが、
どのようにお考えですか?
宜しくお願い致します。

そうそうたる経歴の持ち主であるらしい、R氏。

しかしこのメールひとつでR氏はなにひとつ理解していないことがわかりました。

Rさま
ご返信ありがとうございます。
Rさんがこれまで数々の舞台の制作をしてこられたとのこと、うかがえて安心いたしました。
Rさんのおっしゃること、よく分かります。
ただ、この場合は、やはり現場の状況をご理解いただきたいのですが、
我々はいくらの予算で小道具の調達・製作をお願いします、というオーダーは受けておりません。
まず僕がオファーをいただいたのは、舞台の演出です。
演出料として25万円ということでオファーをお受けしました。
そもそも小道具の製作や演出に必要な道具の実験や試行錯誤、それらは演出家の仕事でしょうか?
Rさんは予算を組む際、そこに必要な人員と予算を確保しませんか?
Rさんのお考えをお聞かせいただきたいのがひとつ。
そして、Rさんのお考えがどうであれ、僕はそこに人員が必要だったと考えます。
何度目かの打ち合わせで稽古場付きの演出部・道具のスタッフがいないという事実を知った際、
Kさんに「小道具などはどうするのですか?」と伺いましたところ「わたしがやります」というお答えでした。
雨宮はオーダーを受けて小道具スタッフとして現場に入ったのではありません。
「■■■■■■」の現場において、小道具の製作・調達はKさんの担当であり、
雨宮はKさんの仕事を手伝うために現場に入ったのです。
最後に小道具の予算のお話ですが、
雨宮が現場に来て最初にKさんとお話させていただいた際に、
こちらから「小道具に使える予算を教えていただいて、
それをオーバーしそうになったらその際に相談させてほしい」というお話をさせていただきました。
しかし、Kさんから予算は教えていただけませんでした。
そのような中でどのように「予算が厳しそうでもオーダーした予算の中で解決」すればよかったのでしょうか?
これらの状況を踏まえていただいた上でのご回答、よろしくお願い致します。
尾米タケル

これに対してR氏の返信。

お世話さまです。
色々確認は必要かもしれませんが、
弊社Kの方から明確な予算の提示がなかったかもしれませんが、確認もなくご自身でご判断をされて進行されたという認識で間違いないでしょうか?

この労力の格差はなんでしょうか?

まずそこから是正してほしいです。

僕の問いかけは一切スルーして、「捕まえたー-!!」とばかりの食いつきようです。

この時点で僕はこの話し合いの場に意味を見出せなくなりつつありました。
まるで書類と会話しているような気分でした。

Rさま
Rさんのおっしゃりたいことは重々わかるのですが、
要約の中に「現場の状況の中で」というのを入れていただきたく存じます。
それを理解していただきたく、Rさんにも時間を割いていただいておりますし、私も時間を割いて繰り返し説明させていただいております。
お忙しい中恐縮ではございますが、さきほどのメールに対するRさんのご見解も聞かせていただけますよう、何卒よろしくお願い致します。
尾米

どうにか、スタートラインに立とうとします。

尾米さま
何度も申し訳ございません。
私も冒頭で申し上げたように、現場で起きたことはKに話は聞いております。
例の科学ショーの件も聞いております。
実は私もゲネ見に行きましたが、
科学ショーのくだりの必要性があまり分からず、Kに予算など含め演出家の方と話した範囲で実行してる旨聞いておりましたので受け入れました。
こちらも申し上げた通り、言った言わないの話になりますと、色々と気苦労もあると思いますので、今一度ご検討頂けますと幸いです。
ご検討というのは、弊社も赤字を少しでも抑えるために尾米さまのみならず、他社さまにもご相談させて頂いてる部分もあり、このあたりをご理解、ご協力頂けますと幸いです。
恐れ入りますが、何卒宜しくお願い致します。

しかし、R氏からのメールはスタートラインに立つどころか、謎の急展開から、エンディングに突入しようとし始めます。

科学ショーの件の意味も僕にはよくわかりませんし、

「色々気苦労」ってなんでしょうか?こっちは気苦労ですむなら万々歳なんですが。

「私も冒頭で申し上げたように」R氏は最初に作成したメールを送り損じているのでしょうか?

また、R氏はメールのやりとりを通してずっとK氏の名字を誤字っておりました。
誤字、というか、そう認識しているのでしょう。

K氏はこれをどのような思いで読んでいたんでしょうか。

以下、僕の返信。

Rさま
ご返信ありがとうございます。
まずはじめにひとつ訂正させてください。
「現場の状況のなかで、確認もなく自身で判断をして進行した」ではなく、
「現場の状況のなかで、確認もなく自身で判断をして進行せざるを得なかった」
です。
そしてその状況を作っていたのは制作であり、主催である御社です。
雨宮合流当初、こちらも一点一点小道具や材料購入に関してKさんに確認をとっておりました。
科学実験ショーの検証、その準備も間に合っていない中、これでは雨宮を入れた意味がないと思いつつも、
少しでもKさんの負担が軽くなるならと、購入が必要な小道具をリスト化し、追加はラインや口頭で確認をとっておりました。
しかし、数日お返事をいただけない、こちらが数日おきに三度四度催促をするというような状況が続きました。
これらは小道具についてだけではなく、衣装や効果音、スタッフとの打ち合わせなどすべてにおいてです。
Rさんも制作者であれば、演出が一つの舞台の中でどれだけの量の確認事項が必要か、ご理解いただけると思いますが、
それら一つ一つについて、三度も四度も催促しなければならない状況がどのようなものだったか想像していただくのは難しくないかと思います。
本番が迫る中、科学実験ショーがどうやればうまくいくか、材料や作り方、これがダメならあれをやってみようあれがダメならどうしよう、と門外漢が正解もわからぬまま試行錯誤しなければならない状況でです。
はっきりと断言できますが、御社が提示した手続きを踏んでいては絶対に本番には間に合いませんでした。
そして雨宮が購入したものはすべて御社主催の舞台「■■■■■■」を成立させるために必要だったものです。
これらの点について、客観性がないとおっしゃるのであれば、演出助手のY君にでも、舞台監督のIさんにでも確認していただいて結構です。
仮に、これら必要な小道具について、こちらが購入許可を求めていたとしたら、そのときはどうなっていたのでしょうか?
予算を出ているので小道具作りも実験ももうやめてくれ、となっていたのでしょうか?
また「聞いていない」とおっしゃいますが、手続きとしてはそうかもしれませんが、これら購入した小道具類は、Kさんのいらっしゃる稽古場で製作し、実験し、稽古でも使用しておりました。
それらはすべて本番までの間に、Kさんの目にふれていたはずです。
そして繰り返しになりますが、雨宮は小道具のオーダーを受けた業者ではありません。
Kさん担当の仕事をお手伝いしていたのです。
そのあたりどのようにお考えですか?
そしてここは声を大にして言いたいのですが、僕はKさんを責めたいわけではありません。
Kさんの仕事があまりに多すぎます。努力でどうにかなるレベルじゃありません。
むしろKさんは凄いと思います。
あの規模の舞台で、制作が一人、というだけでも信じがたかったですが、その上衣装・小道具・効果音の準備・映像素材の製作……等々。
それはひとつひとつの仕事が正確性を欠いたり、レスポンスに時間がかかるのも当然だと思います。
よくやるな、と思う反面、過労死したり、倒れたりしてしまわないかと心配でした。
Kさんはいつも「大丈夫です。いつものことなので」とおっしゃっていましたが、
「いつものことならなおさら心配じゃないか」と思いました。
社外の者が社内のことに口をはさむな、とおっしゃるかもしれませんが、社外の者だからこそ、言わせていただきます。
ああいった状況が結局は舞台に関わる全てのスタッフ・キャスト、そして作品を観に来るお客さんに影響するからです。
あのような体制で舞台制作を続けるといつか大きな事故が起こるのではないかと心配でなりません。
そのあたり、Rさんはどのようにお考えですか?
長くなりましてすみません。しかし今回のこともここに根源があると思うのです。
そして、Rさんにいただきましたメールに関して、
まず、「言った言わないの話」という部分についてですが、
僕のここまでのメールの中でKさんが「そんなことは言っていない」「そんな事実はなかった」とおっしゃっている部分があるのなら、
具体的に教えてください。
また、「科学ショーのくだりの必要性があまり分からず、Kに予算など含め演出家の方と話した範囲で実行してる旨聞いておりましたので受け入れました。」
との発言の意味をはかりかねますが、もし、科学ショーを「僕が演出としてやりたかったこと」だと思っていらっしゃるのでしたら、僕が演出のオファーを受けて打ち合わせに参加した時点で、企画・プロットともにできており科学実験ショーをやることは決まっておりましたし、僕は具体的な予算を一切聞いておりませんので、予算を勘案してシーンの削除を考えるというようなこともありませんでした。また、そもそもそのような立場ではないと思っています。
そして「弊社も赤字を少しでも抑えるために尾米さまのみならず、他社さまにもご相談させて頂いてる部分もあり、このあたりをご理解、ご協力頂けますと幸いです。」とのことですが、
まず、こちらは初耳です。
我々が今回の精算に関してJ-ROCKさんからいただいた連絡は、雨宮が請求した小道具の立替えについて、
「こちらで聞いていないものに関してはお支払いできません」という旨のものです。
最初にそのような連絡を御社からいただいていれば、僕も考えさせていただいたと思います。
ですがそれはあくまで僕の演出料についてです。
(もちろんその場合はどのような状況か、詳しく聞かせていただいたうえで、それならば、と思えればです。
僕も約二か月、まるまる「■■■■■■」に費やし、現在生活が崩壊しておりますので(哀))
数々の舞台の制作をしてこられたRさんに伺います。
そもそも舞台の赤字の責はどこにあり、誰が負うべきものでしょうか?
僕は舞台を救済するために現場に入った雨宮では絶対ないと思いますし、そのようなことは到底受け入れられないのですが。
企業として舞台を主催するJ-ROCKさんの常識に照らし合わせると、僕のいっていることはおかしいでしょうか?
長々と申し訳ありません。
Rさんのご見解、お聞かせいただきたく存じます。
尾米

読んでいただいてわかるように、JーROCK側とのやり取りのメールの中ではいちいち証拠を上げて「これは伝えました」のようなやりとりはしていません。

これは裁判ではなく、人としての道理の問題だと思ったからです。
会社は組織だからといってそれを踏み外していいわけがありません。

これに対する返信が、こちら。

尾米さま
お世話になっております。
ジェイロックのKです。
横から失礼いたします。
細かく返信をいただき、ありがとうございます。
こちらからもお伝えしたいのが
まず、私はジェイロック社員の1人として、
舞台をやらせていただいている身です。
これは何度も申し上げましたが
会社として、最初に予算を組んで券売状況などをみながら、調整が必要になる部分ももちろん出てきます。
小道具を私がやるといったのは
これらのことを含めてなるべく予算をかけないようにやりたいからです。
稽古場で必要と言われて、
数日返事がなかったなどというものも
もちろん、おっしゃる通り、他の作業で遅くなった部分もあるかもしれませんが、
少し考えて本当に必要か判断する時間もこちらには必要だからです。
実際に、演出から購入するように言われて一切使わなかったものもあります。
また、科学ショーをやることは決まっていたかもしれませんが、
こちらは脚本家が決めたことで
それを演出するのが演出家だと思っておりましたが、こちらの認識が間違っていましたらすみません。
また、科学ショーの内容は
稽古中にデータでも案をいただきましたように、
そちらで決めていただいたものだと認識しております。
そして、稽古中、準備した小道具など、私の目に触れていたとおっしゃいますが
私の目に触れていれば何でも購入していいということでしょうか。
こちらは、必要なものは私に連絡をして確認してから購入の有無をお伝えするという流れにしていたはずです。
これを無視されては、舞台は赤字になります。
稽古から本番まで約1ヶ月ご一緒させていただきましたが、
こちらの意向が理解していただけなかったことは誠に残念です。
請求書は下記でいただけますと幸いです。
弊社、Rにも伝えましたがご納得頂けない場合は今後は第三者を通して書面でのやり取りとさせて頂けますと幸いです。
=====================================
① 宛名:株式会社ジェイロック
案件名:舞台「■■■■■■」
2022/6/15〜19 会場:六行会ホール
内容:演出料として
¥250,000+税 合計¥275,000
② 宛名:株式会社ジェイロック
案件名:舞台「■■■■■■」
2022/6/15〜19 会場:六行会ホール
内容:小道具制作費
¥30,054+税 合計¥33,059
2部に分けて、作成お願いいたします。
②には雨宮さんの人件費も含ませていただいております。
====================================
恐れ入りますが、ご確認の程、よろしくお願いいたします。

なんとR氏からの返信はありませんでした。先のメールでクランクアップだったようです。花束わたしそびれました。

本当に、何のためにセッティングされた場なのか。何のためにわざわざ登場してきたのか、僕には全く理解できません。

「こちらでお話を」と自ら場を設けておいて、こっちの話には一切耳を傾けず、問いかけにはひとつも答えず。「今後は第三者を通して書面で」と一方的に話を打ち切る。

もう、皆さまの感じるままにお任せしたいと思いますが、僕はこの人たちは本当に救えないと思いました。それでも一点気になるのはK氏の「私はジェイロック社員の1人として、舞台をやらせていただいている身です」という発言。会社とK氏との関係が透けて見えるようでやはり心配になります。

僕が返信したメールです。

Kさま・Rさま
すみません、送ったつもりのメールが送信できておりませんでした。
まずはRさまにお返事いただけなかったこと、そして当事者同士の話し合いで解決できなかったこと、まことに残念です。
『実際に、演出から購入するように言われて一切使わなかったものもあります。』とのことですが、創作において日々試行錯誤していくなかで、そういうものも出てくると思いますが、これは具体的に何をさしているでしょうか?
『また、科学ショーをやることは決まっていたかもしれませんが、
こちらは脚本家が決めたことで
それを演出するのが演出家だと思っておりましたが、こちらの認識が間違っていましたらすみません。』
何も間違っていないと思います。僕はそのようにいたしました。
『また、科学ショーの内容は
稽古中にデータでも案をいただきましたように、
そちらで決めていただいたものだと認識しております。』
その通りです。
『稽古中、準備した小道具など、私の目に触れていたとおっしゃいますが
私の目に触れていれば何でも購入していいということでしょうか。』
そういう意味ではありません。取り決め通りに仕事を進めるには、双方の努力が必要なのではないですか?という意味です。
そこまで小道具の請求がシビアなのであれば、このような事態になる前に、Kさんの目についた時点で、
許可を得ずに購入した小道具や備品は、経費として認められなくなる旨のお話があってもよかったのではないですか?
という意味です。
日々増えていく小道具をKさんはどこかから湧いて出た物、と思っていたのですか?
僕は何度もKさんに「このままでは本番間に合いませんよ」というお話をさせていただきました。
当初、取り決め通りに確認を取っていた僕たちがそれをできなくなった理由を今一度、お考えください。
最後に、雨宮の請求額¥33,059ですが、これは小道具の立替分と人件費ということですよね?
小道具は小道具費として予算を組んでいるのではないのですか?
立替は立替分として精算、人件費は人件費として請求ではないのですか?
まず、立替分の精算がいくらで、人件費がいくらなのか、その内訳を教えてください。
そして、本番初日でお役御免ということになっていた雨宮に、最後まで現場に残ってもらうことにした際のお話はどうなったのでしょうか?
今後のやりとりについて、第三者を通してということですが、その方から連絡をいただけるのでしょうか?
それともこちらから連絡すればよいのでしょうか?
であればその方の連絡先を教えていただきたいと思います。
尾米タケル

このメールの後、ひとまず僕の演出料についてのみ、8月31日の振込期日で請求書を送りました。

JーROCKからは一切何の返信もなく、演出料も今現在振り込まれておりません。

ですので、前記事のタイトルは

座員の雨宮が商業演劇の舞台公演を手伝って一か月近くタダ働きした末に小道具代を2万円以上負担させられた話。

となっていますが誤りです。

実際は

座員の雨宮がJーROCKの舞台公演を手伝って一か月タダ働きさせられたあげく小道具代の立替分50,326円を丸々負担させられ、それに異をとなえた座長の尾米タケルも演出料をまるまる踏み倒された話。

です。

最後に

上にも書いた通り、「JーROCKの名前を出して、今回のことをすべて公表します」とJーROCKには伝えてあります。

ですのでこれらすべてのやりとりは、

JーROCKという会社として、社会になんら恥ずべきところのない発言であり、対応である。

ということでしょう。

お前みたいなノラ犬がいくら吠えたところで、こっちは痛くも痒くもないんだよ。

ということかもしれません。

これは今後僕たちと同じような目に合う人が出ないようにする為の注意喚起ですので、僕が名誉棄損で訴えられることはありません。

ですのでみなさま、もしよろしければ!躊躇は無用です!どうかこの件をじゃんじゃん広めてください。

(ちなみにJーROCK側から「そんなことしないでくれ」とは『聞いていない』ので公表しました。問題なし。)

100%僕たちに賛同していただかなくても構いません。僕たちが考え違いしている部分もあることでしょう。どうぞ指摘してください。

僕が書いてきたことが「ウソか本当かわからないじゃないか」という方は「これって本当にあったの?」と拡散してください。

また、ここまで読んで、「JーROCKの言っていることの方がまともだ!」「なんてすばらしい会社なんだ!」と思われた方がいらっしゃったら、そのような見解からでも構いません。「頭のおかしな演出家がいちゃもんつけてる!」「尾米タケルは要注意人物だ!!」と拡散してください。

ただ、雨宮や関係者への個人攻撃はやめてください。ご批判はすべて僕の方にお願いします。K氏・R氏への個人攻撃も、お控えくださいますようお願いいたします。(尾米も雨宮もあらゆる暴力に反対です)

また、前章でも書きましたが、他にもこのような現場があるかと思います。

演劇界のみならず、広く社会において、組織の利益のために個人が犠牲を払うというような状況が一刻も早く、無くなりますことを。自戒も込めて。

長い長い長い文章を読んでいただき、ありがとうございました。

尾米タケル


おまけ

皆さまお疲れさまでした。

とりあえず一通り事の顛末を書き終えたわけですが。

ここまで読んでいただくと稽古場の雰囲気はかなり殺伐としていたのではないかと思われるかもしれませんが、決してそんなことはなく。

若きキャストたちとの稽古は楽しかったですし、雨宮が加入後は科学ショーの準備も楽しみながらやっておりました。(とんでもない重圧はありましたが)

また、K氏との関係も決して険悪なものではなく、友好的なものだったと僕は思っております。仕事の面での不満は多々ありつつも、K氏はなんだか憎めない(雨宮に言わせると「かわいい」)人で、ダンス未経験のキャストのために、振りをすべて覚えて(K氏はダンス経験者)毎日稽古終わりにレッスンしたりというような面もありました。(その時のK氏がたいへん楽しそうで微笑ましく。)また、雨宮が部屋を追い出されそうだという話をした際には、「私の部屋でよかったら使ってください」というようなことも言ってくれました。

稽古場でもっとも長い時間を過ごした三人なので、その中で少なからず通じるものがはぐくまれていたと、思っております。

ま、それはそれとして。

「人に楽しんでもらうものを作る」ことに心血を注いでいる身としては、ここまで、いやー、あまりに楽しくない、疲れる内容。
そこで息抜きの意味も含めまして、また、ここまでのやりとりの補足資料として、科学ショーがどういったものだったか。その内容と膨大な試行錯誤のごく一部、をここに記載します。これはあくまでおまけですので、興味のある方だけ、ご覧ください。

幻の科学ショーの内容と膨大な試行錯誤のごく一部の記録

僕と雨宮が『実験場』と呼んでいた稽古場

科学ショーはテーマソングが流れる中、無言で進行します。

○光る棒人間
闇の中、光る棒人間が現れ、踊る。
蛍光スティック(ケミカルライト)を黒い服に人型に貼り付けます。
こんなの。

テスト動画。

この日は稽古場にJーROCKの若手社員のTちゃんがおりました。Tちゃんは科学ショーをとても楽しんでくれました。この時めちゃめちゃ楽しんでくれた棒人間を、本番中は日々、死にそうな顔で作っておりました。。Tちゃんありがとう。

○風船ジャンプ
風船をテープで貼り付け大きな輪っかを作り、ブロアー(舞台監督さんのもの)で下から風を送ると、風船の輪が回転しながら宙に浮きます。その輪を皆でジャンプでくぐる。

風船も安定させるのが意外と大変でした。最初ガムテープを輪っかにして貼り付けたら、テープのたわみで風船がグニャグニャと曲がり安定せず。貼り付け方法やら、風船の個数、空気の入れ具合、飛べる高さに安定させる方法など、かなり試行錯誤しました。テープがしっかり粘着するのに一日かかり、二日も経つと風船が萎んでまたグニャグニャする。何度か使うと風船にねじれが出てくる。公演の時は毎日本番終了後に翌日分を作って帰っておりました。(スタッフが全員帰って劇場の人に締め出されそうになった日もありました)あと作ってからの移動がめちゃくちゃ大変なのと、単純に作るのに時間がかかる。

翔平が瓶を持って来てくれた日。いちいちリアクションしてくれるのでうれしくなってできてるもの一通り見せた。この時点でわたくし、風船のコントロールが異常にうまくなっています。(人が飛ぶと風圧で風船が乱れるというのは、最後まで解決できませんでした。。)

巨大空気砲
言わずも知れた、です。(材料は段ボールとガムテープ。スモークは照明さんが持ち込み)

○手作りプロジェクターでオイルタイマーの光を投影
【段ボール・スマホ拡大鏡・懐中電灯(取り立てて必要ではないが尾米で買い取り)】で作ったプロジェクターの中にオイルタイマー(液体の砂時計のようなもので、油の中に色のついた水が入っており、さかさまにすると着色された水玉が下に落ちるというもの)を入れ、水玉の光を舞台に投影する。

オイルタイマー amazonで2000円ほど。

これが一番大変でした。本当に実現できないかもしれない、というところまで追い込まれました。

以下、試行錯誤の記録の一部。

光源・オイルタイマー・投影対象の距離が難しく、投影対象とオイルタイマーの距離が遠いと色が出ず、近いと大きく映らない。光源を変えてみたり色々試しましたがどうにもうまくいかず。

プロジェクターの仕組みを調べたりしているうちに、手作りプロジェクターの動画を発見!しかも材料は段ボールとガムテープにレンズは100均の虫眼鏡!(動画ではスマホの画面をそのまま投影してました)さっそく試作!

きれい!!でも小さい!!

この時小屋入り10日前。

もうどうしていいかわからず、テクニカルのグループLINEにも動画を投げました。

超巨大虫眼鏡があればいいのか?でもそんなもの絶対高い。

尾米で所有してるプロジェクターのレンズをはずして使うか?

取れない。

プロジェクターの前にオイルタイマー置いたらどうなるんだ?

同日の動画。

色々別の問題が。

やはり、強い光源と、大きな集光レンズ。これがあればなんとかなりそう。

でも、レンズも光も全然わからないし、入手できない。

ということで、いつも尾米の照明をやってくれている矢野に電話。

「今から機材持って稽古場行くよ」

持つべきものは矢野ーーーー!!

矢野がソースフォーなる機材を持って稽古場に来てくれました。
(この時のタクシー代は僕の自腹です。小屋入り10日前。背に腹は代えられませんでした)

これは割ときれいに出ました。

でもかなり大がかり。科学ショーは曲に合わせて演者だけで物の出しはけ含めて次々に展開するのと、やはり高校生でも製作可能な手作り感は欲しい。

ひとまず、「できない」は回避できたので、これをキープしてもうひと踏ん張り。

毎日帰宅するとオイルタイマーの投影手段を考えていました。

ん?なんか、本用のでっかいルーペみたいなんあった気がする。とamazonで調べてみると、1000円前後でありました。いけるか?むりか?でもこれでいけたら!

早速雨宮に電話。
雨宮も「スマホ拡大鏡っていうのがあって、いける気がするんですけど」ここでやっとスマホ拡大鏡にたどり着きます。
「今買えば明日稽古場に届きます!」
「買ってくれー!」(これに関しては、もう本当にK氏に確認しておりません。)

翌日稽古終わりに早速試すと、「い、いける―!しかもきれい!」レンズ・オイルタイマー・光源の細かな調整などはまだまだ必要でしたが、手作りプロジェクターはなんとか目途がつきました。

○人間花火
円形に切った黒布に真ん中まで切れ目を入れる。蛍光スティック・蛍光テープなどを貼り付けて花火のように飾り、物陰からジャンプして空中でばっと両手を外側から振り上げることで、打ち上げ花火のようにみせる。

制作途中のもの

実験。基本人がいないので、僕がやって雨宮が撮影。
科学というか、仮装大賞みたいになってきましたが。
ストーリー上、打ち上げ花火はやらせてやりたかったのです。

○フライングバタフライ
ヒロインのモトコがカンちゃんからプレゼントされた本を開くと、本の中から大量のフライングバタフライ(針金と紙、ゴムで作った蝶々)が飛び出す。

こんなのです。

これは雨宮がかなりがんばってましたが、最終的には既製品を購入しました。ただ、既製品も「飛ばない」などのレビューがあったので、購入は躊躇していました。本番では既製品のゴムを換えるなど、雨宮が色々調整したものを使っていました。本番、特に終盤での開いた本から羽ばたく蝶々たちは、見事なものだったと思います。映像がないのが残念。

○シャボン玉
黄色いプラスチックのチェーンをシャボン玉液につけ、虹を描くようにふるとチェーンの輪一つ一つから大量のシャボン玉がでる。

これはシャボン玉液を考えねばなりませんでした。チェーンでシャボン玉を作るには粘度が必要ですが、割れないシャボン玉はいつまでも漂い続け、袖幕や客席を汚しかねず、恐ろしい弁償問題に。シャボン玉ができ、ある程度は漂い、なおかつ袖や客席までは飛ばないように。舞台監督さんとかなり思案しました。

K氏もなんとかシャボン玉が実現できるようにと、劇場と交渉してくれました。

担当キャストもかなり神経をつかったと思います。

フライングバタフライが本から飛び出すとともにシャボン玉。皆がシャボン玉を眺めながら暗転。というような内容。

また、劇の途中、
「皆で科学実験のようなことをしはじめる」
というシーンがあったので、そこでは

○どん兵衛の空き容器に下からドライヤーを当てて宙に浮かせる。

○カンちゃんが試作中のフライングバタフライを飛ばす。

○ポリ袋気球
薄手のポリ袋の口を真ん中数センチ残してテープで貼り、口からドライヤーで熱風をため、手を放すとゆっくりと宙に浮きあがります。

0.012mm以下のポリ袋が必要。セロテープも薄いものでないと上がりませんでした。
最終的にはシーラーを用いました。

というのをやりました。

科学ショーは経済的・技術的に高校生に実現可能なもので、視覚的に楽しめるもの、を念頭につくりました。(演出意図とは別に予算面にも僕なりに精一杯配慮したつもりです)

以上幻の科学ショーの内容と膨大な試行錯誤のごく一部の記録でした。

お付き合いいただきありがとうございました。

尾米タケル


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