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満月の日。わたしのサウナ日記



昨日の夜9じ過ぎ。
どうしてもサウナにいきたい気分で「今から行くけど、行く?」と旦那に一応聞く。土日の栄湯は混んでることが多いから断られるとは思ったけど、案の定断られたのでひとりで自転車を走らせ、笹塚の「栄湯(さかえゆ)」に向かった。



自販機の中でも特に安い機械を知っている。
そこでスポーツドリンクを購入し、気合は十分。
栄湯につくと、男湯のサウナは受付をいったん中止しているとの看板。
やっぱり。断ってよかったね、と内心思いながら受付をすると、女性は今サウナ利用は3名だけですよ〜と嬉しいお言葉。
これはゆっくりできそうだと女湯ののれんをくぐった。



わたしはここのサウナが、銭湯が大好きだ。
ホームみたいな場所で、いつでもあたたかく迎え入れてくれている気がする。

女性は比較的いつでも入りやすい一方で、男性からの支持はとくに厚いようで、いつ訪れても混雑の様子。耳栓を持っていったら、なんとかイケた!とこの間いってたほどで、水風呂に入りたい時に入れないといっていたから、自分が男性だったらここをあえて選ばないかもしれない。



栄湯のサウナは80度ちょっとの暑すぎない、程よい室温のコンフォートサウナ。心地よく入るなら4人くらいが定員だろうと感じる、小さな木の古屋のようなこじんまりとした雰囲気が、かなり落ち着く空間になっている。


1セット目はサ室にひとり入っていただけだったので、まずは2段あるうちの下の段でウォーミングアップを。
栄湯のサウナはさきに言った通りそれほど暑くないので、下段だとゆっくり気持ちよく15分ほどは余裕で入っていられる。
人数に余裕があったので体勢を変えたり、ストレッチしたり、好きなポーズでじんわり汗をかくのを楽しんだ。


15分ほど経過した後、汗を流して水風呂へ。
この瞬間がさいっっっっこうに気持ちいい。このためにサウナに入っているような、この瞬間を楽しむために入っているのかもしれない。
20度くらいの水風呂は、ボコボコと体をつつかれるようなバイブラでより冷えているような感覚。最高だ。


思う存分水風呂を楽しんだ後は、すぐ近くの大理石のような小さなベンチに腰掛けととのうことができる。サ室にいる時は考えているようで、気づくと今なに考えてたっけ?ってことがかなり多くて、だからこそ「なにも考えない時間」を与えてくれるのがサウナの良さだと、最近気づいた。
考え疲れや気疲れを癒してくれるというか、「まあ、いったん何も考えずリセットしなよ」と言ってくれているような。



だからこそ、ベンチで休んでいる時にふと普段思いを巡らせることのないことや本心が出たりすることがよくある。


今回は、薄くなってきたやけどの傷を見ながら、こんなことを思った。
大学時代にしていた渋谷ヒカリエの飲食店でのアルバイト。わたしはキッチンで焼き場を担当していた。
コンロの下には大きなオーブンが備え付けられ、その日はいつものようにたくさんのオーダーが入る忙しい日だった。

わたしがオーブンから料理を取り出そうとしたとき、後ろで調理をしていた男性社員が後ろになぜか下がって来てしまい、わたしの腕はオーブンに挟まれる状態に。あまりの熱さと痛さに声をあげ、すぐさま腕を救出。涙目になりながらあらゆる方法で必死で冷やした。


心配だった。火傷した右腕はすごく目立つ位置。挟まれたので腕の上部と、裏の両方に傷を負った。
その日もうすぐラストオーダーくらいの時間だったが、救急で病院で診てもらった。当時同じキッチンのアルバイトをしていた現在の旦那も、シフトには入っていなかったものの、病院に一緒について来てくれた。


なんとか処置を受け、恐ろしいほどの痛みに耐えながら過ごす日々を過ごした。
かろうじてキッチンにまた立つことは出来たけれど、なんだかその男性社員とはあまり喋る気にはならなくて、ぎこちない距離で仕事をすることになりそのまま就職となり、その職場を卒業した。
あとで聞いた話だが、少し不器用なところがある男性社員はその一件があったあとすごく気にしていたらしい。


ベンチに座りながら薄くなってきたやけどの跡をみながら、あのとき彼ははどんな気持ちだったのかな。となんだか気になった。
わたしは傷が残ることを当時すごく気にしていたから、けがを負わせてしまった側になるひとの気持ちまでは正直考えていなかったと思うから、今になってなんだか気になったのだ。
とくに答えはない。今も元気かな〜とそんなことを思いながら再びサウナへ入る準備をしていた。



サウナは3セット、しっかりと汗をかいた。
お風呂も満喫して、栄湯で2時間近く滞在した。


そうえいえば、銭湯に行くといろいろな人がいるな、とつくづく思うのだけれど、お風呂でたと思ったら水風呂で急に顔をバシャバシャと洗い始める人や(あまりに洗うから、そのあと水風呂入ることを考えるとなんかちょっと複雑な気持ちになった...)、永遠に身体を洗っているおばあちゃん(あれ?まだ洗ってる...?)、ビリーアイリッシュばりの素敵な髪色をした女の子がいたり(可愛かった)、サ室で何かを唱えていたり。
銭湯はそのひとの性格が出る場所とも思うから、人間観察が楽しい。



外の冷えた空気にポカポカの身体。
ハロウィンの土曜日は満月がとても綺麗で、あたたまった身体が冷えないよう自転車を家まで走らせた。

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