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たったひとりの弟
弟とは年子で、いつも、友達のような、ライバルのような関係で育っていた。
小学校まではよく喧嘩もしていたし、
もっと小さい頃は、殴り合い、引っ掻きあいの喧嘩もしていたようで、髪の毛にガムをつけられたこともあった。
大人になってからは、そんな大きな喧嘩もなく、でも、買い物に一緒に行くなんていう、仲睦まじい感じでもなく、付かず離れずのような関係になっていった。
そんな弟に驚かされたのは、私の結婚式。
彼は、最初から最後まで号泣していた。
何が彼をそんなに感動させたのか、心を揺さぶったのかは、分からない。
幸せになってよかったとか、そういう涙じゃないのだろう。
けど、確かに私と彼の間には、長く過ごしてきた時間があって、心の奥とかには絆のようなものがあったのかな。
私はなんとなく照れ臭くて、笑っていたけど、心から弟が誇らしかった。
そんな風に泣いてくれる弟がいて、本当に嬉しかった。
そんな弟が誕生日を迎える。
いつも私の息子とたくさん遊んでくれている、感謝の気持ちをどうやって表そうかな。
照れ臭いから、息子に渡してもらおう。
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