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おこめちっくタイランド⑤

ホームステイ先のママはとてもホスピタリティあふれる人で、私たちをあちこちに連れて行ってくれたり、美味しい料理を作ってくれたり、そしてよくビールを買ってくれた。
ビールは苦手だと言うとSPY(すごく甘いワインみたいなお酒)を買ってくれて、飲んだ翌日はママ昨夜はありがとうなんて言ってビール好きの日本人ママさんもお礼にビールを買ってきたりして、飲めないくせに飲む日が続き、はて私は何をしにタイに来たのだろうと思いながらもまぁいっかマイペンライマイペンライという空気に流されていた。
タイランドおそるべし。

飲めないけどもみんなが楽しそうな場の雰囲気は好きなので、そんな日々もそれなりに楽しかったのだけど、昼間はほとんどしゃべらないのにお酒が入るとやたらアピールしてくるママの弟と、それを酒の肴に周りに冷やかされるのが頭痛の種だった。(二日酔いもつらかった)
Noとは言っていたもののやっぱり大家さんの身内だし、嫌でも顔を合わせるし、多少気を遣ってしまってあんまり強くは出られなかった。

けれどそれはある日突然終わりを告げる。
神様は私を見捨てていなかった。
メバーン(お手伝い)さんが辞めてしまって、代わりにトゥさんの奥さんが毎日お掃除に来るようになった途端、彼の好き好きアピールはおもしろいほどにピタッッと止んだ。
例え彼女がいなくても夜お酒を飲んでも何も言ってこなくなった。奥さんと私と居合わせた時の顔がまた噴飯もので、これが恐妻家っていうのかなとしみじみ思ったのと同時に、奥さん平穏をありがとうと心の中でお礼を言った。ついでに私こんな旦那絶対やだなと思ったのも胸の内に秘めておいた。

ずいぶん後のことになるけれど、大家さんの娘さんの婚約式で久しぶりに居合わせた時、ベロベロに酔っぱらった彼が私に「綺麗だ」と声をかけてきたので、タイ語で「大っっ嫌い」と答えてやった。


つづく。

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