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魔法同盟から学ぶフォントの大事さ

グラフィックデザイナーのおこめです。
2019年7月2日にリリースされた拡張現実(AR)を使用し、ハリーポッターの世界を題材としたリアルワールドゲーム「魔法同盟」を遊んでみて、改めてフォントの大事さについて体感したので書きたいと思います。

1.魔法同盟の簡単な説明

非常に簡単に言うと「ポケモンGO」のシステムをベースにしたハリーポッターのゲームです。
開発元もNianticが入っており(ポケモンGOを作っている会社)位置情報系はまるっとそのままポケモンGOおよび同社のINGRESSと同じです。

同じシステムを使用しているので比べてみるとこんな感じです。

マップの形がほぼ同じで面白いですよね。
デザインでこうも印象が変わるのかというのは普段あまり比較することがないので気付かされる点がたくさんあります。

ゲーム性も似た部分はありますが、ハリーポッターの世界観に合わせてアイテムの調合や自分だけの杖を作れたり、自分の職業(劇中に出てくる職業の中から選べる)を決めてステータスを振り分けたりなど新しい要素もあり、今のところとても楽しく遊んでいます。

2.没入感が足りない

とても楽しく遊んでいるのですが、これだけ世界的にポケモンGOが流行っている中で、後発として出すゲームとして最大の武器にしてポイントである「ハリーポッターの世界で遊べる没入感」がどうにも足りない。
いくつか理由があるなと思い洗い出してみました。

1. 日本語ローカライズの不自由さ
2. チュートリアルの不親切さ
3. ビジュアルの洋ゲー感


この3点が特に気になり、ユーザーが世界に浸ることを阻害しているように感じます。
気になる部分もいろいろ語りたいのですが、今回はフォントの話に絞りたいので割愛。

3.フォントが変わるとこんなに変わる

まず、ゲームの開発として基準となる言語で開発したあと各国にローカライズをしていくかと思うのですが、その土地のフォントを設定するかどうかはゲームによってまちまちです。
魔法同盟に関しては日本語に関してはすべて同じフォントに統一されています。
どうにもこれが「ローカライズした感」「情報の優先度の分かりづらさ」などの洋ゲーによくある分かりづらさを助長しているように感じ、思い切って試しに言語を英語に切り替えてみました。

するとどうでしょう…!雰囲気がガラッとかわりました。
切り替えてみてわかったのですが、英語だとフォントが2種類使われています。この特徴ある2種のフォントの組み合わせにより魔法のオールド感や新聞っぽさ(どちらもウィザーディングワールドには欠かせないですね)などが驚くほどプラスされています。

文字のジャンプ率やアキもおそらく英語標準の関係でどうしてもずれてしまう日本語(改行がちゃんと意識されているのでローカライズの中では良い分類だということも理解しております。)
それでもやはり英語はかっちりと組みもキレイでちゃんとデザインされてる感があります。

4.まとめ

楽しみながらもどこか世界観へ入り込む気持ちは忘れ、ゲームシステムを純粋に楽しもうと言い聞かせながら遊んでいたのですが、言語を英語にした瞬間に「なんだこの…ハリポタ感!!」と驚くほど世界に近づいた感覚があり、普段仕事で何気なく意識しているフォント選定やジャンプ率、レイアウトがいかにユーザー体験に影響しているのかを身をもって経験しました。

そういえばハースストーンが日本語に対応したときも喜んで切り替えてみたもののどうにも慣れなくて英語に戻してしまったのは利便性だけではなく、そういった世界観が失われるのをなんとなしに肌で感じたからかもしれない…といまさら思い返えすなどよいきっかけにもなりました。

画像だけでは感動が伝わりづらいと思うので、ぜひ遊んで体感してみてください!

ゲーム関係のデザインを長らく仕事にしてからこそ思うこの「ユーザーの感覚」を忘れないでいたいものです。

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