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塾経営者が勉強が苦手になる過程を考えてみる。


『成績が上がらない』について改めて
私の言葉で整理をしてみよう。

何かの理論や情報を
集めるのではなく、
自分の今持っている経験
を活かして、まとめてみます。

勉強が嫌いになっている生徒のパターン


まず、どこでつまずくのかというと
小学校低学年の段階です。


当たり前ではありますが、
学校のカリキュラムと本人の学力が合っていない場合が
学習のつまずきを生みます。

たとえば、
10を超える繰り上げ、
繰り下げの計算。

10を超える数は
両手の指の数を超えるので、
両手を使っていた子どもたちは、
置いていかれることになります。

頭で考えるということは、
本人も出来ているか判断できず、
また先生もどう考えているのかわかりません。

先生としては、考え方を伝えるということが
最も難しいです。



子どもがどう考えているのか、
どう考えると良いかを修正することは、
時間がかかり、個別の指導時間が必要になります。

【できる】には違いがある。

さらに、考えてみましょう。

1.足し算
2.引き算
3.九九
4.掛け算
5.割り算

上記の計算の基礎である5つは、3年生までに終了します。

この時点で大きな差が
できていると私は考えています。

しかし、この時期の大切さを
知る機会が親御さんにはありません。

逆に、【できるかどうか】
という基準でいえば、
【みんなできる】のです。

10秒で【できる】
5分で【できる】
も同様に【できる】です。


そして、学校だと
螺旋階段式で学んでいくので、
クラスの先生にもよりますが、
全く計算をしない時期があります。


得意な生徒と苦手な生徒では、
そもそも【できるレベル】が違い、
【忘れるスピード】も違います。

【できるレベル】が低いほど、
忘れるスピードが速いです。

つまり、
計算が得意な生徒は、
どんどん得意になっていき、
計算が苦手な生徒は、
どんどん苦手になっていきます。

練習する機会を確保する


必要なことは、
計算する機会を確保すること。
課題は、計算する経験が不足していることです。


そして、厄介なことに、
学年が上がるにつれて、
学ぶレベルが上がっていき、
苦手な項目が増えていきます。

その苦手項目は、文章理解です。


算数の数の足し算、引き算、
掛け算、割り算の式を立てること。

国語でも文章に
書いてあることが理解できず、
質問で聞かれても、
答えるということができなくなります。

ここに共通することは、
文字によるコミュニケーションの経験不足です。


文字を通して、状況を想像することや
状況を理解することが難しい場合があります。

親御さんとは違う環境の影響

現在はスマホの普及で、
動画コンテンツが増えました。
結果として、音声と動画で情報を理解することが増え、
活字から情報を理解し、
頭の中に想像する機会が減っています。

勉強嫌いの多くの生徒が
数字への嫌悪感か、
文字に対する嫌悪感を持っています。

その嫌悪感を育みながら、
小学校時代を過ごすことになります。

成績の差が出始めるタイミングが、
4年生の3桁÷2桁か、
5年生の単位あたり量、分数の通分、約分です。

5.6年生で苦手が本格的に数値に表れ、
塾や勉強の習い事の検討がスタートします。

意識の違いが脳への定着率を変化させ、
成績の差を生む


生徒によりますが、苦手意識を持ち、
他の友だちよりテストができていなことがわかっていると、
勉強へ前向きに取り組むことが難しくなっている生徒がいます。

正直この苦手意識の緩和と
基礎力の向上に個人差はありますが、
半年以上はかかります。

しかし、親御様も共働きで、
忙しくなっていることもあり、
子どもの基礎力がどのくらいあるのか、
苦手意識の根本はなんなのかは
分析できていないこともあり、
成果がでないことに焦り、
子どもに対して、裏切られた気持ちになります。


その裏切られたという気持ちが、
子どもに対して向けられるとさらに
負のループがまわりまじめます。


苦手意識と向き合いながら、
勉強をスタートしているのに、
親御さんから認められないのです。

これがなかなかメンタル
を追い詰められます。

これまでの苦手放置期間を取り返すには、
時間が必要であり、
労力は得意な生徒より倍以上です

計算が得意であれば、すぐに進むことも
計算が苦手だとなかなか正解できず、進めません。

それほどに小学生の苦手はやっかいなのです。
しかし、中学生から勉強を本格的にスタートさせることを
考えている親御様のほうが一般的なので、仕方ありません。

文章理解の機会、
計算する機会の不足。

苦手なことにどう取り組めばいいのか
わからず、諦めてしまう。

まだ先のことが予測できず、
まぁいいかと放置してしまう。

子どもは、自分の行動を制御することが
脳の成長段階として難しいです。
スマホ、ゲームでの快楽に自分の自立心で
勉強に取り組むことが難しいです。


そんなことが表面化するのが、
中学校のテストです。

実は、小学生の積み重ねが中学生での差


今まで、テスト勉強を経験したことがない。
計算する機会が不足し、文章理解が不足していた。
中学校のテストが思っていたより難しいこと。

そんなことをはっきりと理解するタイミングです。

計算する機会は、ドリルで実施すれば、いいのですが、
文章理解には、根気がいります。
なぜなら、即効性があるものではないからです。

即効性がないから後回しにされるのです。
しかし、根幹であり、
高校入試の傾向としては、
文章量や情報量が増え、
理解する力が必要とされています。

中学校のテストの点数で考えると
さらなる力が必要になります。

勉強への意識差がさらなる成績の差を生む


計算力、文章理解力に加えて、

暗記力、
逆算力が必要になります。


暗記とは、歴史、理科、英単語のように
なにかとなにかを結びつけて、
自分で覚えて、何も見ずに
答えられるようになる力が必要です。

暗記は、脳が記憶できるかという
問題になります。

脳の記憶できる基準が
自分が必要と感じるかどうかというものなので、

勉強への苦手意識が強い生徒や
後ろ向きでやらされている意識が強い生徒は、

脳に残りづらく、
いくら勉強する時間を取っても
成績アップにはなりません。

勉強させられている時点で、
学習効率が悪くなってしまいます。

定期テストで必要になる逆算力


また、定期テストに必要な能力は、
逆算力になります。

【逆算力】は、テストで点数を取るために必要な勉強を理解した上で、テストまでの日数を計算して、最大限勉強時間を確保して勉強ができ、テストで得点を取ることです。

逆算力が高い生徒は、テスト1週間前から勉強をスタートすることが遅いことを理解しています。

勉強への苦手意識がある時点で、勉強に着手することが嫌なことなので、出遅れてしまいます。

それほど、小学生のときに出来上がっている苦手意識はやっかいです。

基礎的な部分のハンデがありながら、
勉強計画の実行力での差がさらなる開きを拡げます。

やはり、細かなスキルの話は個別ではありますが、
勉強への苦手意識が全ての問題の根幹に存在します

計算力が低いので、時間がかかる上に、ミスが多い。
文章理解ができないので、解説を見てもわからいし、
教科書で書いていることを理解できないのです。

そうなると、自分だけで勉強する集中を保つことがとても難しくなります。

しかし、宿題が出ている場合があるので、
答えを見て写すか、宿題をしないという決断をすることになります。

その作業を続けた結果、何がわかっていないかも
わかっていないという状況になります。


さぁそんなお子さんにできることはなんでしょうか。

人間は周りの影響を受けている


ここからは苦手意識について考えてみましょう。

今読んでいただいているあなたは勉強が好きですか?

私は勉強が好きです。

なぜかというと、知らないことを知ることが
楽しいからです。

理科や社会を知ることで、世界の見え方が変わるからです。

それは、私の祖父が社会が好きで、
歴史の話を聞かせてくれたり、
母が毎日新聞を読んでいたり、
父親が週末には資格勉強をしていたかもしれません。

もちろん、私の場合、家がそろばん教室だったので、計算する機会に恵まれました。

周りの人を変えたいのであれば、自分が変わる


周りの人を変化させたいと
あなたが感じているのであれば、
『変わりなさい!』というよりも
自分自身の行動を変化させることが
一番周りへの影響を与えることが科学的にわかっています。

子どもに本を読んでもらいたかったら、
本棚を買って、毎日本を読んでみる。

勉強をしてもらいたかったら、
自分も資格を取る勉強をしてみる。

最近では、『リビング学習』が注目されています。
ぜひテレビを消して、スマホを消して、
子どもと一緒に家計簿や勉強する時間を
持っていただけるとありがたいです。

忙しいことは重々承知です。
子どもは思っているよりも
お父さんとお母さんの行動を見ています。

もし、小学1年生の足し算から毎日一緒に
家で取り組めていたらどうなっていたでしょうか。

そんな後悔をしても仕方ありません。
子どもに寄り添って、
一緒に机で読書や勉強に
励んでみてはいかがでしょうか。

ぜひ一緒に勉強する時間を週に1.2回は、作ってみてください。



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