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story 報復

完全に夏の暑さも過ぎ去った10月。
いつも通り昼過ぎに目が覚める。目が覚めたらすぐにメールをチェックして今夜の仕事の返事を岩上さんにするのが最近のルーティンだ。    俺に振られる仕事は荷物の受け渡しが基本だ。中身が何かは知らないし知らない方が良いだろう。短時間でもほぼ2日に1回は仕事をするから金がどんどん貯まる。ほとんど酒と服、遊びに金使ってる。

                    
春日部の喧嘩の一件から1週間が経とうとした頃、俺のmixiや前略プロフィールにバンバン知らないやつからメッセージきてる。笑 間違いなく春日部のぶっ飛ばしたやつのツレからだ。ここ2、3日は地元の駅前に春日部の奴らが15、6人で毎晩の様に溜まってる。               俺を探してるのは間違いないからフルシカトして駅には近付かない様にしてたけどとうとう地元の先輩から連絡が入ってしまう。しかも夜10時。
「おい、龍二。駅前、ヤンキー溜まってんぞ。なにやってんだお前。舐められてんじゃねーか?」この人は尾島先輩と仲の良い人でクラウンに乗ってる先輩。都内のドンキに万引きしに一緒に行ったことがある。               「お疲れ様です。話してきます。」行きたくねーなー。。間違いなく囲まれんじゃん。     なにがあってもいいようにジャージに着替えて時計とピアスは外していくことにした。ポケットには警棒を忍ばせて歩いて駅に向かう。     駅に到着するとこの日も20人弱くらいのいかにもヤンキーな奴らがいる。ロータリーにはグロリア、クラウン、マジェスタと単車が並んでる。ヤンキーの少ない俺の地元ではなかなか見慣れない駅前の景色になってる。マジで最悪だ。間違いなく袋叩きの末路が想像つく。         「テメーら俺の地元勝手に来てなに粋がってんだ?あっ?俺が白里の中島っつーんだよ」と啖呵を切ると一瞬で囲まれた。笑         こないだぶっ飛ばしたやつが頭に包帯巻いて近付いてきて「オメー1人できたんか。探したぞこの野郎。仕返しに来てやったんだよ」とこんなに大人数連れてきやがった。           「なにお前。1人じゃ喧嘩できないの?ここじゃ目立つから場所移そうぜ。案内するから車乗せろよ」と伝えて包帯巻いたやつが運転するグロリアに乗り込んだ。後部座席には2人乗ってる。この状況でどうするか考えながら俺は駅から少し離れた川沿いの道を案内する事にした。向かう途中にすかさず警棒を取り出した俺は後部座席の2人組をいきなり警棒でぶっ叩いた。頭からみるみる血が流れてきて運転席の包帯男は完全にビビってる。「さっさと向かえよ!」と怒鳴りつけてダッシュボードを蹴り飛ばしてやった。 後部座席の2人は痛がっていたが念の為もう1発ずつぶっ叩いた。 

ようやく到着して車が停車した瞬間1発裏拳で顔面に入れてから耳を掴んで車から引き摺り下ろして警棒で2発ぶん殴った。グロリアに乗った3人はこれでノックダウン。             

その光景をみたリーダーっぽい坊主頭の剃り込み入れたヤツが「おいおいお前随分派手にやってくれんじゃん。1人で来ていい根性してんなほんと」と笑ってる。俺の勢いに相手も何人かは後退りしてるのがわかる。             「テメーらなんて俺1人で充分なんだよ」と言って残り10数人に突っ込んでいった。       負けるのは分かってる。でもここで俺が根性見せないと一生ナメられるし、これから毎日地元に来られても困る。ケジメを付ける為の喧嘩。   警棒を振り回してまた2、3人はぶっ叩いたけどすぐに掴まれて多分30秒もしない内に警棒を奪われて袋叩きにされた。 逆に俺が警棒で頭をぶっ叩かれてうずくまったところをひたすら蹴っ飛ばされてる。立ち上がろうとしてもまた殴られて起き上がりたくても起き上がれない。もみくちゃ状態だ。しばらく殴る蹴るの暴行を10数人に受けて攻撃が一旦止まる。              ハア。ハア。と相手側も息を切らしてる。立ち上がろうとしてもすぐに殴られて立ち上がれないからひたすら耐えるしかない。   

ポツポツ。ポツポツ。ザー。ザー。ザー。突然の雨。「よーし。もういいだろう。帰るぞ」リーダーの一声で連中が車に向かって戻っていく。  こんな惨めなままじゃ終われない。俺は力を振り絞り立ち上がって戻っていく連中を払い退けてリーダーに向かって蹴りを入れた。すぐに倒れたリーダーのシャツを掴んで顔面にパンチ。    「まだ終わってねーだろ!オラァっ!」と啖呵を切った。またすぐに後ろから髪の毛を掴まれて別のやつに殴られて転げてしまう。立ち上がろうとしたら顔面にサッカーボールキック食らってまた転げる。リーダーが立ち上がってきて警棒で何発もぶん殴られた。              手足に力入らないしもう立ち上がれそうにない。警棒で殴られる時に頭を庇おうと手でガードしたら手が折れてしまったみたい。        また10発くらい殴る蹴るの暴行を受けて攻撃が終わる。土砂降りの雨に打たれながら立ち去っていく奴らの背中を見てる。「やっと終わった。。」と俺は安堵の溜め息を吐いた。        連中の車と単車が次々と走り去っていくけど黒の15マジェスタだけはなかなか発車しない。   「早く帰れっ!」と思ってると運転席からリーダーのやつが降りてきてこっちに向かって歩いてくる。「おいおい。まだやられんの?」と内心ビビってるが精一杯の強がりでメンチを切った。  すると「大丈夫か?」と手を差し伸べてくれたが多分折れてて手を出せない。状況を察したのか肩を貸してくれて雨を凌げる橋の下まで連れてってくれた。予想外な行動に俺は呆気に取られた。 「どーゆーつもりだよテメー」と俺が言うと「オメー、マジで気合い入ってんな😆」とクシャッとした笑顔で話しかけてきた。続けて「俺らさ、これからは仲良くしねーか?春日部の上原っつーんだ。よろしく」と挨拶してきた。タバコを俺の口に持ってきて火をつけてくれた。      「ふっ。なんだそりゃ。青春ごっこか」なんて言いながら俺もパンパンに腫れ上がった顔で自然と笑ってる。

その場で1本タバコを吸ってそいつのマジェスタの助手席に乗せてもらいなぜか送ってもらうことに。歩くのもやっとだったから正直かなり助かる。リンチをしたお詫びだと言って駅前のセブンで俺の愛煙してるパーラメントのカートンを買ってくれる気持ち良いやつだった。状況はいまいち掴めないけどなぜかそんなに悪い気もしない。携帯番号をお互い交換して家に降ろしてもらった。起こさないように寝静まった自宅にそろ〜っと入り風呂入った。左手が痛すぎてシャワー持てないし風呂も一苦労だ。

多分だけど肋骨はまた折れてんな。今回は手首ももしかしたら。。明日病院行こう。      翌朝、近所の病院に行くと肋骨がまた2本骨折。予想通り左手首も骨折してて左手は包帯ぐるぐる巻きにされてしまった。顔がアザだらけだから喧嘩?って聞かれたけど階段から落ちたと伝えた。医者が相手でも負けたなんて口が裂けても言いたくない。笑                 とりあえずしばらくは安静にするしかないか。。


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