【小説】三千万の物書きあとがき

たとえば。もやしは好きなことを書き散らかしています。
表現することが楽しくて、さらに誰かの反応がもらえれば嬉しくなるのは当然です。
誰かの心が動かせた事実さえあれば反応の内容は賛否両論何でも構いません。
もちろん、中身を読んでから、って注釈は付きますけれどね。

では、同じ行為とはいえ自分の時間を削り、他人が望む物語りを仕事として請け負った場合、妥当な報酬は?
完全受注生産で、シリアルナンバーどころか世界に間違いなく一つしか存在しないオリジナル。
必要な素材はほとんどなくとも、絵画だと思えば高級車くらいの金額がしてもおかしくないと思いませんか?
この【三千万の物書き】は、そんな思いからスタートしたお話なのです。

しかし当然のことながら、いきなり「望む話を書いてやるから金寄越せ」では話が広がりません。
というかそれはもうただのお仕事小説。
描くとなれば主人公は依頼者か、もしくはそうした企画を始めた作家か。
はたまたただの企画から事業へと昇華させた起業家か。
第三者として声を上げる編集者なんて立ち位置もありそうです……うん、それはそれで意外と面白いかもしれませんね。

ともあれ、この時のもやしは『色々やってみよう』と頑張っていました。
補足説明を多く書くために蛇足感があったので、文字数を減らす努力を。
ファンタジーばかり書いていたので別ジャンルにも。
そう、以前上げた【いつも傍に居てくれる君へ】と同じ動機ですね。
どちらも現代設定であまり書いたことのないジャンルで、試行錯誤の跡が見えますね。

それにしても読み返してみると文章の粗は見えますが、そこまで悪くありませんね。
あれ、となると全然成長してない可能性……?!


おっと、話題が逸れてしまいましたね。話を戻します。
このお話は

1:依頼を受けて小説を書く
2:時代背景は現代
3:ちょっとファンタジー

以上の三要素で「貴方の望む設定を書き(実現し)ましょう」という核が完成しました。
つまり簡単に言えば『劇的に環境を変えられる』ということですね。

この環境には様々なものが含まれます。
個人的なものなら何かの才能を得たり、生まれる時代や家族(家系)、性格だって変えられます。
人との関係性や故人を亡くさなかったり、生き返らせたり、逆に死に追い込んだり。

もっと大きなことならば、証明された物理法則をなくしたり、新たに何かを発見した未来でも構いません。
太陽がある必要はないし、月が二つあってもいい。剣と魔法と科学技術が交わる近未来ファンタジーを願うのもありです。
だからこれは依頼主が認識するすべての環境と関係性を自由に書き換えることができる、個人の妄想力が試されます。


ですが、そんな妄想力を各自が爆発させてしまえば、いくつ世界があっても耐えられません。
互いの願望がぶつかり合わない保証はありませんからね。どうせ書ききれませんし。
そ、こ、で! 制限を設けることにしました。

それが現代人が警戒する『信用』と、共通認識を持ちやすい『金銭』です。

ネットに掲載された一文だけで信用に足りるでしょうか? 無理です。
たとえ確実に具現化できると言われても……いいえ、むしろ詳細が語られようとも、根拠を示してさえ誇大広告と切り捨てられるでしょう。
実際に『そんな美味い話があるかよ』って思いますからね。

それでもみんな大好き『今だけ無料』なんてことでもあれば、興味本位で近付く者は居るかもしれません。
しかし、この怪しさ爆発の世界改変サービスを受けるのに支払いが必要ならば野次馬たちも淘汰されます。

その額は小市民にとっては大金で軽々に支払えず、大富豪にとっては好奇心以外の決め手に欠ける。
普通は詐欺を警戒して絶対に手を出さない……しかし同時に現状に絶望している人にとって、縋るに値する『金額保証』でもある額。
そんなちょうどいい金額が三千万円かな、と考えて設定しました。
別に五千万でも一億でもよかったんですけどね。


さて、ここまで語ってから一つ質問です。


Q.貴方が理想とする環境が現実に降りてきたとして、ずっと幸せに暮らせるでしょうか?


もやしの答えは作中に置いてきました。是非とも読んで見つけてみてください。
共感を得られればいいなぁ。

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