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危険な時に気づいたこと

商店街の歩道を降りて道を反対側に渡ろうとしたとき、危うく轢かれそうになって冷や汗をかいた。長い緩やかな下り坂を自転車がスピードを上げて近づいていた。キキキーー急ブレーキをかけ、滑って倒れそうになったお兄さん「バカヤロー。危ないじゃねーかー」。

視界には入っていたはずだが、気づかなかった。10年前の出来事だ。その瞬間に目が覚めた。轢かれて打ち所が悪ければ、死んでいたかもしれない。ボーとしていることに無自覚だった。このままではまずい、お金の問題に取り組むと決めた。何が原因なのか、瞬時に思いついた問題だった。

はたから見れば明らかな問題を、当事者にもかかわらず、認識していない場合がある。新たな仕事をはじめた2008年からの3年間がそうだった。金融危機にともなう沈んだ空気を吹き飛ばし、新たな仕事を始めていた。心機一転したつもりだったが、心はここにあらず。本当はお金のことが悩みだった。平静を装っていたが、不自然な行動もあったと思う。思考が空回りして、決断ができずにいた。人生の節目となった時期である。

使い途でお金を分類してわかることに書いた、家計問題をシンプルに解決するためには、「論理的に決断ができること」という前提がある。

論理的に正しいことを実行するには、さらに心身のバランスを保つことが必要となる。考えがまとまらず十分な睡眠がとれないと、心身のバランスは崩れる。頭ではわかっているが、気持ちの整理がつかないまま行動すると最悪の結果が待っている。アクティブに行動しているつもりが、行動しないのと同じか、何もしないほうがましな結果になる。

家計の悩みが深刻なときに、冷静さを失い、ありえない方法で解決しようとするような場合。例えば、投資経験のない人が、まとまった額の投機をしてしまうケース。株式市場ではコンピューターが、数学的な論理だけで決定して、人に代わり高速売買をしている。人間にできないスピードを強みにしている世界だ。勇気を出して、初めて信用取引で株の売買をするケース、他にも銀行で勧められるままに金融商品を購入するなど。順序立てて物事を捉えて考えてから、行動することは、心身の健康を害している人にとって困難なことだ。

家計の問題を解決するには、論理の対極にある心理をよくわかっておくことが必要だ。お金の問題をデータにして分析する論理思考と、平常心で現在の状況を理解できる心身の健康が大切だ。

ノウハウはできるだけシンプルに書いているが、実際やってみると気づくことがある。人それぞれの納得できるやり方、その人だけの物語があるはずである。一歩づつ着実に進めばいい。


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