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使い途でお金を分類してわかること

銀行通帳は使っていなかった。ネットバンキングを使って毎月の残高をみるだけ。毎月の支出が収入を越えることはなく問題はない、お金の管理はしっかりやっているから、大丈夫だとおもっていた。大きな出費となる教育、旅行などは、計画的に定期預金にしていた。一生懸命働けばいいと安心していた。ところが、2008年の金融危機により収入が途絶えた。会社が事業を売却し、次のことを考える間も無く職を失った。なんとかなるだろうと、お気楽だった。だが徐々に重たい気持ちになり、行動を鈍らせていった。

新たに仕事を探しながら、何かできることはないかと、ファイナンシャルプランナーの勉強を始めた。だが当時は、集中力が続かない健康状態になっていた。経済が停滞し失業率は5%になった。不景気なニュースを眺めているだけだった。現実を直視する気にならなかった。お気楽だったのではなく、諦めていたのだと、当時を振り返るとわかる。

金融資産と負債のデータを打ち込む作業をやった。普通預金 XXX円、定期預金 XXX円、生命保険の解約返戻金 XXX円。自らのファイナンシャルプランニングのためにデータをExcelに打ち込む作業に集中することで、困難を克服できるかのように、気持ちを込めてキーボードを叩いた。無心に作業をすることで思考回路が動きはじめた。

会社は事業を閉鎖するにあたり、幸いにも残さらた社員への退職金は残していた。スクリーンに映ったExcelの数字とグラフを直視し、なんとか活路を開こうという気持ちを高めていくことができた。

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貯金だけで何ヵ月生活できるのか?Excelに式を入れてシミュレーションする。出費をきりつめれば1年は生活できる。家族が暮らす家の住宅ローン、教育、旅行などのための貯金は、定期預金にわけた。完成すると、体中に溜まっていた悩みが、数字とグラフとして吐き出され、心身ともに軽くなった。こうしてまた動き出した。

お金に関する目標として金額と期限を決めると集中力が生まれた。悩みをデータにすることで、コンサルタントとしての仕事として取り組めた。分析スキル、行動計画するスキルを活かせた。数字とグラフで問題を客観化でき、もやもやとした不安は雲散霧消した。仕事のため人に会うアポイントでスケジュールをうめていった。

危機意識は行動の原動力となる。現状を客観的に理解すると、このままではヤバイという気持ちになり行動ができる。突然の失業による不安からの脱出に、Excelを使ったお金の見える化は有効だ。

お金を4つに分類するという方法とは。(1)生活のための資金。日常生活につかう、毎月の収支をバランスさせる。(2)使用予定資金。住宅購入や子供の教育費、旅行など10年以内に遣う予定のあるお金。貯金などで準備する。(3)緊急資金。生活費の3か月分から1年分。1年分は生活資金があることがわかり安心できた。(4)余裕資金。10年以上つかう予定のないお金。(1)と(2)は確保した。(3)は毎月減ってゆく。ほかに予備はない。(4)は退職金で日本の優良企業の劣後社債を買った。金利は2%以上あった。優良企業の債券なのでリスクは低い。10年後までのことは不確かだが、いつでも売却して現金にできるので投資を決めた。

目的ごとにお金を分類すると、いつ、いくら金が必要なのかが明らかになり、お金の悩みと向き合うことができた。

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