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お年玉ではなく鉛玉!?〜メキシコの正月

 私はかれこれ3年ほど、日本でお正月を迎えていない。
2016年からそれぞれメキシコ、アルゼンチン、中国でお正月を迎えてきた。
2020年のお正月はトルコで迎えるはずなので、やはりまた異国でお祝いすることになる。

 私は2016年の夏、27歳の時にアラスカから自転車世界一周をスタートさせた。
この世界一周は同時に、私にとってははじめての海外旅行であり、特に最初の一年程はすべての事が新鮮で、刺激的だった。

 はじめて入るウォルマート、はじめて食べるダンキンドーナッツ、はじめて見るグリズリー…すべてが新鮮だった。

 そして、やはりはじめて迎える異国でのお正月もまた新鮮…というか強烈に印象に残っている。
はじめての異国での正月は、冒頭でも記したようにメキシコで迎えた。

 2016年の年末、私はメキシコの大西洋沿岸にある、小さなリゾート地にいた。
カナダ人の友人が毎年、越冬する時にはこのリゾートにある別荘で過ごすとのことで、クリスマスの数日前から彼の家に転がり込んでいたのだ。

 クリスマスを迎えた後は、世間は一気に大晦日、そして新年を迎えるお祭りムードになる。これは日本も海外も大して変わりはない。
 みんなが祝賀ムードに浮かれ、新年を今かいまかと待ち構えてワクワクしている。

 私も、はじめて迎える異国のお正月に、とてもワクワクしていた。
どんな美味いものを食べるのか?やっぱり花火でドンぱち祝うのか!?メキシコだからテキーラ一気飲みとかするのか!!??

 そんな浮かれモードの私に、私を泊めてくれているカナダ人・デイブがピシリと言った。


 「正月のカウントダウンの前後一時間は、絶対に家から出たらあかんで」


  色んな妄想を巡らせてすっかり上機嫌だった私を、すっかり冷めさせるデイブの外出NG宣告。

 いやいやあり得へん、せっかくのはじめての海外でのお正月やん。俺右手にタコス、左手にテキーラ持って、頭にあれ。メキシコ人がよく被ってる帽子。何あれ、ソンブレロって言うんや。それ被ってカウントダウンすんねんって。

 そう力説する私に対して、デイブがふん…とため息を付いたあと、こう言った。


「あのな、鉛玉が空から降ってくるねん


  ちょっと何言ってるか分かんない。
あー分かった!日本でいう餅まきな!日本ではお正月に神社とかで神輿とか高いとこから餅巻いて、参拝客に振る舞うねん。拾うと一年縁起ええねんで。メキシコでは鉛玉なんや、確かにキラキラしてそうで縁起よさそうやもんなぁ。さすが海外のお正月は違うなぁ、おもろいなぁ。

デイブは子どもに難しいことを説明するかのように、困ったような表情を作って、こう言った。


「メキシコ人な、お正月になると同時に空に鉄砲撃つねん


 ちょっと何言ってるか分かんない。(真顔)


「もう何年もメキシコでお正月を迎えてるけど、俺も最初はびっくりしたよ。
何でかは分からへんけど、メキシコ人はみんなお正月になった瞬間、空に鉄砲撃ちよるねん。
ほんでな、朝になって外とかに出てみるとな、鉄砲の弾を仰山見つけるねん。
そやから、お正月のカウントダウン前後一時間くらいは、絶対に家から出たらあかん。
もし出たら…」


…出たら?


お前は死ぬ


 これが私のはじめての異国でのお正月だった。
カウントダウン前後に鳴り響くパーン!パパパパーン!という乾いた音は、今もしっかりと耳に残っている。

 今となると、ちょっと笑える話であり、年末が近付くといつもこのメキシコでのお正月を思い出して一人クスッとしている。

 今年のお正月はトルコで迎えるだろう。
またこの時のような、面白いお正月に出会える時はくるだろうか。

みなさま、よいお年を。

ブログもやっております。
こちらでは日々の旅行記を書いておりますので、ぜひこちらもよろしくお願いします。
http://okino-worldcycling.com


 


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1988年生まれの自転車旅行者 【2016年世界一周スタート】 北南米縦断→北欧最北端・ノールカップ到達→ユーラシア大陸横断中 58,000キロを走行(※2019年12月現在) スポンサー企業/ (株)モチヅキ・mont-bell・山本工学

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