「全てのケアラーが健康で文化的な生活を」北海道栗山町で“市町村初”の条例
「ケアラー支援に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、全てのケアラーが健康で文化的な生活を営むことができる社会の実現を目指す」
北海道夕張郡栗山町が新しく制定した条例「第1条(目的)」には、次のような言葉が掲げられています。同町は3月、誰もが安心して介護や看護ができる地域づくりを目指すため、ケアラー支援のための条例を制定しました。北海道新聞の記事によると、同様の条例は2020年3月に埼玉県議会が国内で初めて制定していますが、市町村では「全国で初めて」とのことです。
ケアラーとは、『こころやからだに不調のある人の「介護」「看護」「療育」「世話」「気づかい」など、ケアの必要な家族や近親者、友人、知人などを無償でケアする人(一般社団法人日本ケアラー連盟)』を差します。
先の見えない介護の中で、心身の健康や社会的孤立、離職、虐待といったさまざまな困難に直面する可能性があるケアラー。若年層のケアラーも増える中、社会的支援に向けた法整備もまだ進んでいない状況です。
栗山町はこのような状況が続くことで、ケアラー自らの人生や生活、健康が奪われるだけでなく、医療費・介護費用の増大、労働力不足といった社会経済活動に与える影響は大きいと予想し、支援を喫緊の課題としてきました。
同町のケアラー支援に関する取り組みは、社会福祉協議会との連携によって2010年から進められてきました。実態調査をはじめ、サポーター養成研修や相談サービス、支援専門員の配置などが10年にわたって実施されています。
今回、ケアラー支援の集大成として、また将来にわたり、誰もが安心して介護や看護ができる地域づくりを目指すため、条例を制定したそうです。
条例では、基本理念(第3条)や町の責務(第4条)、町民-事業者の役割(第5~6条)、関係機関の役割(第7条)などがまとめられています。
第8~9条によると、今後は「ケアラー支援推進計画」を策定し、基本方針や具体施策を定めるとのこと。具体施策には下記の4つが挙げられています。
(1)ケアラーの支援に係る包括的な情報提供及び相談・支援体制
(2)ケアラーの交流及び集いの場の設置
(3)ケアラーの支援を担う人材の育成
(4)ケアラーの支援の必要性や知識を深める広報及び啓発活動
また、推進計画の策定と各施策の評価、計画の見直しなどについて意見を聴くため、「栗山町ケアラー支援推進協議会」を設置。推進計画の計画期間は3年としており、各施策の評価を毎年度行うとしています。
その他、詳細については栗山町 Webサイトをご覧いただければと思います。
(画像出典:栗山町 Webサイト)
おきてがみは、人口減少時代における地域の「豊かさ」を探求するWebマガジンです。地域のグッドアクションを紹介する他、各地で活動する編集部のコラムなどを掲載しています。フォローいただけると嬉しいです!
いただいたご支援は、活動資金(取材の交通費、寄稿者への原稿料など)として活用させていただきます。