地球の歩き方

旅先では、あてどなく歩くことにしている。

目的地は定めずに、なんとなくつま先を向けた方へ歩み出す。

一歩、また一歩と異国の大地を踏みしめるたびに、吸い慣れぬ空気になじんでいくような気がする。
少し早まった呼吸と鼓動に歩調が重なったら、先へ先へと身体は運ばれていく。

日本の夏のような湿気こそないものの、9月のシンガポールは十分に暑かった。

気がつけばTシャツは汗でびっしょり、足の裏が少し痛い。
いつかも感じた暑さと痛み。
思わず立ち止まると、かつて同じように歩いた土地の残像が、陽炎か蜃気楼さながらゆらゆらと立ちのぼる。
身体の奥に刻み込まれていた心象風景が、目の前の光景に重なって透かし絵のように浮かび上がった。

次の旅先でも僕は歩くだろう。
この国の景色とも、きっと再会するために。

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かとう【サ行】中
「サ」ポートに「シ」ェアと「ス」キ…『「セ」ンスが爆発してますね』という「ソ」ウルフルなリアクションまでお褒めの"サシスセソ"ください!