【一言書評】金子薫『双子は驢馬に跨って』

金子薫
『双子は驢馬に跨って』

おとぎ話とは本来どこか不条理だったのに、大人から子供へと語り継がれるうちに短い訓話になっていったのでは、などとも考えさせられるような味わい。冒険双子側のRPG的キャッチーさと軟禁親子側の(地図と囲碁による)壁画のモチーフを活かした占術(預言)的構造の二重奏グルーヴによって、深くは掘らない(掘ったように見せない)かわりに浅くも受け取らせない世界観。双子親子の近づいたと思ったらまた離れていく様子は、(円城塔作品の書評ではないが)そのまま読者と作品との距離感を暗に示していたりして。

「サ」ポートに「シ」ェアと「ス」キ…『「セ」ンスが爆発してますね』という「ソ」ウルフルなリアクションまでお褒めの"サシスセソ"ください!