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アラサー、若さとは何かを考える

「ハタチ過ぎたらジェットコースターだよ。」

そう言われてから7年経ってしまった。
誰の言葉だか分からないけど、そのよく分からない比喩がじわじわと効いてくるようになった気がする。今年で28歳になる私は、正真正銘アラサーだ。


見えない何かが運んでくる不安

「20代後半、一番いい時だね」「若いからなんでもできるね」といわれる。事実、20代前半のような無邪気さはないけれど、若いのだと思う。しかし、毎日漠然とした不安を抱いている。私だけではないだろう。なぜなのか?
20代後半にはいってから、SNSで入籍しましたという報告を見ない月はないんじゃないかと思う。友達の中には好きなことで成功して、お金を稼いでいる子もいる。よっぽど閉鎖された地域でない限り、「結婚して、子供を産んで、それでいいじゃない」なんて言う人たちはもはや親世代ですら口にする人は少ない。だからと言って「バリバリ仕事して、お金を稼いでそれで十分!」と心から言えるわけでもない。じゃあ私にはなにがあるんだろう?と自問し続けてしまう。アラサーは毎日、見えない何かと闘っている。


私は若いから、という呪い

シンガーソングライター・星野源さんと女優・新垣結衣さんが結婚した。社会現象を巻き起こしたドラマで共演した2人で「逃げ恥婚」と称され、アプローチはどちらからとか、同じマンションに住んでいたとか、ネットニュースは大騒ぎだった。ドラマのロケ地である旅館には予約が殺到したそうだ。コロナ下での明るいニュースは貴重なのでとてもハッピーな気分になると同時に、日本中に祝福された夫婦にあやかりたいと思う人もまた数知れないのだと知る。

この「逃げ恥」の、アラフィフであるゆりちゃんの言葉を思い出す。

自分の若さに価値を見いだしているのね。

今あなたが、価値がないと切り捨てたものは、
この先あなたが向かって行く未来でもあるのよ。

自分がバカにしていたものに自分がなる。
それってつらいんじゃないかな?

自分に呪いをかけないで。
(一部抜粋)


この言葉は突如現れた20代に向けられた言葉だ。その20代の子は、ゆりちゃんに対してしばしば、「17も年下の相手に」とか、「私はおねいさんの半分の歳です」など自らの若さをアピールする。しかしその行為自体が、自分の価値=年齢だと決めつけてしまっているのだ。

若いから綺麗でとか、若いから可能性があってなど、主語に「若い」という言葉がくるのは言い換えるとそれ以外に自分の価値を見出せていないと言うことだ。単純に歳をとることと、年齢を重ねることは全くもって別物だ。まさにそのことをを感じさせられる言葉だった。


「若さ」には何の価値もない

若いと言う言葉を辞書で調べてみる。

1.
成長・発達の過程で、前途が長い段階だ。
2.
順序を示す数値が小さい。
 「―番号」

今回の意味合いはもちろん前者の方である。つまり若いと言うことは生まれてから時間がたっていないことの他に経験が足りない、分別がない、しっかりした考えを持っていない、というところだ。

若さにはかけがえのない価値があるというのは、誰もが信じて疑わない事実として人々に定着してしまったデマゴギーだという。

現代の日本に限って言うなら、若さそのものには何の価値もない、と僕は断言できる。だからといって、若者は何も絶望することはない。いやむしろ、若さに値打ちなどないからこそ、人生は生きるに値するものなのだ、と気づけばいいのだ。
ー押井守「 凡人として生きるということ」

多くの若者は若さこそ最大の武器であると思うが、それを否定されると何も残らない。しかし、何もないからこそ可能性はあると言える。

だから、ぼくが若者に言えるのは、「今の自分は何者でもないし、平凡な人間なのだ」とまずは気づくことが重要だということだ。
(中略)
漠然とした幻想ではなく、本当に自分がやりたいことを見据え、そのために今自分がやるべきことは何かを見定めることから、やり直すべきなのだ。
ー押井守「 凡人として生きるということ」

若さは自分の価値ではない。しかし年齢=自分の価値でもない。「自分自身の今」を把握できていないことが漠然とした不安につながっていると言えるだろう。


年齢の呪縛を解く

SNSがある日常があたりまえとなった今、人に全く左右されないメンタルを持つことはあまりにも難しい。だからこそ自分にとってのスペシャルなものを持つべきだ。人に何と言われようと崩れないというような。それがあればきっと、いくつになっても自分を見失わなわずにいられるだろう。そのためにある決断をしたので、これはまた別の機会に書きたいと思う。


ここまで、自分の見解を書いてしまったが多めに見て欲しい。私自身、まだ若さという呪縛に囚われたままなのだから。


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