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オリジナル小説

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主に短編小説。Twitterにあげたものをひとまとめにしたものやnoteにて公開したもの等。朗読に使用したり等は御自由にどうぞ。
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#オリジナル小説

『伸ばした手の先にあるもの』

『伸ばした手の先にあるもの』


ただひたすらに暗い、出口も見えない街灯も月明かりもない道を歩いている。私はひとり道なき道を進む。
この道は何処に繋がっているのか。
この道は何処に繋がっていくのか。
私には分からない。分からないからこそ、私は歩みを止めない。

「ねぇ、誰か。。。」

ただひたすらに暗い、出口も見えない街灯も月明かりもない道を歩き始めた頃は、誰か居ないものかと声を掛けていた。誰でもいい。私を見て、私に声を掛

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そらいろ

そらいろ

どんよりとした低い、
低い雲の隙間から明るい光が差し込み始める。
「これなら晴れるかも。」
私は手早くスケジュールを確認すると、
今日の日付を探す。
「うん、明日の昼までは大丈夫。」
出かける時にいつも持っていくお出かけセットを押し入れから引きずり出し、車に積み込むと私は家を飛び出した。

「この角度だとこっちか。」
私は町の地図を頭に描きながら、
光の差し込む方向からベストなポジションを探る。こ

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