陳宝来沖縄台湾文庫note

当文庫は、那覇で出会った30〜60代の文化系男女3人がマイペースで運営しています。沖縄…

陳宝来沖縄台湾文庫note

当文庫は、那覇で出会った30〜60代の文化系男女3人がマイペースで運営しています。沖縄台湾コリア文庫。©︎陳宝来沖縄台湾文庫 2022

最近の記事

沖縄県が世界のウチナーンチュセンターを設置する

2024年1月31日、沖縄県が世界のウチナーンチュセンターを設置すると発表しました。私は「これは韓国でいうところの在外同胞庁のようなものなのかな」などと想像しながら注目しています。 韓国の場合、在外同胞庁は23年6月に発足したばかり。朝日新聞によると「外交省の部署や政府傘下の財団に分散していた業務を一元的に扱い、支援を強化する」取り組みとのことです。 中華民国(台湾)ではずいぶん前から「僑務委員会」という組織があるそうです。移民などさまざな形で越境した人びととその子孫が、

    • 牡丹社事件伝える

       台湾の屏東県(へいとうけん)牡丹(ぼたん)郷(きょう)役所は、2023年5月22日に石門古戦場で「牡丹社事件149周年記念活動」を実施した。来年の150年の節目に向けて、宮古島に帰島中に台湾南部に漂流した琉球人が殺害された事件をきっかけに台湾出兵した同事件の激戦地となった石門古戦場で、事件をテーマにした文化施設「石門古戦場故事館」と観光案内所の起工式を執り行った。  周春米(しゅうしゅんまい)屏東県知事は起工式の挨拶で次のように述べた。牡丹郷は台湾最南端の山岳原住民の町であ

      • 牡丹社事件150周年節目の年に向けて~台沖双方の理解が必要

         今年2024年は牡丹社事件(日本の台湾出兵)150周年の節目だ。ここ数年、地元・屏東県(へいとうけん)牡丹(ぼたん)郷(きょう)では同事件を原住民の視点から再検証するため、事件発生場所のエリアで、積極的に関連施設を建設・開館し、同事件への理解と認識を深める動きが活発化している。  牡丹郷役所は23年5月22日に、パイワン族と日本軍との戦いの激戦地となった石門古戦場で、同事件をテーマにした文化施設「石門古戦場故事館」と観光案内所の起工式を執り行った。周春米(しゅうしゅんまい)

        • 愛玉子(オーギョーチ)

           NHK朝ドラ「らんまん」第22週のサブタイトルは「オーギョーチ」。主人公・槙野万太郎は日本の植物学者・牧野富太郎がモデルだ。第109話では、日本統治時代の台湾へ植物調査に派遣された槙野が「台湾で愛玉子(オーギョーチ)に命を救われ、日本に持ち帰った」と話すシーンがあった。  台湾に行ったことがある方ならば、市街地の小吃(シャオチー)店や夜市の屋台で「愛玉」や「愛玉氷」という文字を見かけたことがあると思う。台湾で「愛玉」は、中国語読みの「アイユー」の名で親しまれ、暑い夏にはぴっ

        沖縄県が世界のウチナーンチュセンターを設置する

          文旦

           母からひ孫が文旦の果皮で作った帽子を被り、嬉しそうに笑っている写真がラインに送信されてきた。写真をみて、微笑ましく思った。  台湾で中秋節が近づくと、文旦が市場に出回る。お月様へ供える果物として欠かせないからである。文旦はザボン類に属し、洋梨のような形をして、甘酸多汁の漿果である。果皮が厚いため、子どもたちは剥いた果皮を兜のようにして、被って遊ぶ。台南麻豆(まとう)産が一番美味しいと有名だ。戦前、優良とされた文旦は日本の皇室に献納された。  中秋節に欠かせない文旦には「一家

          阿里山コーヒーを沖縄へ

           先日、那覇市内で開催された「嘉義(かぎ)プレミアムコーヒー交流会」に参加した時、台湾の嘉義県のコーヒー生産者に淹れたもらったペーパードリップコーヒーを堪能した。芳醇な香りが漂って、まろやかでフルーティーな味わいだった。ドリップコーヒーの個包装のデザインはユニークで癒される。  嘉義県は台湾の南部に位置し、北緯23.5度の北回帰線が通る。有名な観光地の阿里山(ありさん)は1年中雲と霧に包まれている。昼夜の寒暖差が大きい上、水はけもよいので、お茶の産地として有名だが、近年はコー

          阿里山コーヒーを沖縄へ

          パイワン族の遺骨4柱を返還

           2023年11月初旬、台湾の屏東県牡丹郷役場の関係者から、牡丹社事件で犠牲になった原住民・パイワン族の遺骨4柱が、英エディンバラ大学から台湾に返還された、とのニュースリリースが届いた。  遺骨は4日にロンドンを出発し、5日に台湾に到着。先住民族行政担当の中央省庁である原住民族委員会は「大きな歴史的意義を持ち、原住民族の移行期正義にとっても重要なマイルストーンとなった」と評価した。  牡丹社事件は、1871年に台湾南東部の八瑶(はちよう)湾に漂着した、宮古島からの乗組員54人

          パイワン族の遺骨4柱を返還

          台湾のジェンダー平等について

           なぜ、台湾はアジアの中でも突出したジェンダー先進国となることができたのか?   台湾は複雑を極める国際政治の世界で、かなり特異な地位にある。現在、台湾を主権国家として承認している国は13カ国しかない。国連や世界保健機関(WHO)などからも締め出されている。台湾海峡を挟んだ中国との関係は常に緊張を孕んでいる。そんな複雑な状況に74年間も置かされてきた。  1987年まで戒厳令が敷かれ、同性愛はタブーとされ、同性愛者であるということで逮捕される時代だった。戒厳令解除後の90年代

          台湾のジェンダー平等について

          俳句結社りいの創刊15周年記念・「りいの俳句賞受賞者競詠」句

          青といふ文字   この島に託すたつきや石蓴汁 つちふるたび古里遠し厨事 蝌蚪生る首里の古潭の小流れに 御清明はらからは皆眉太く うりずんや水田の祝詞畦伝ひ 草蝉や祠の小さき土帝君 摩文仁路へくれなゐあぐる花梯梧 若夏や青といふ文字動き出す 沖雲や山羊を放てる青岬 仏壇へ花月桃の香をこぼす 梅雨晴の空を見てゐる忌日かな 花伊集や里人に聞く家譜由来 紙魚太る夫の遺せし世界地図 風のよく通るアロハを貰ひけり 隣家より三線の音の涼しさよ (辺野喜 宝来

          俳句結社りいの創刊15周年記念・「りいの俳句賞受賞者競詠」句

          俳句結社「りいの創刊15周年記念俳句賞」大賞句

          秋桜   捨てられし長靴へ草青みけり やどかりの引きずつてゐる脱殻よ 鉢底に煙草隠せる四月馬鹿 病室に牧師の賛美梅雨夕焼 死に近き人の寝息や初蛍 満ちてゆく永別の日の夏の月 とうすみや誰にも会わぬ窓を開け 夏草に負けぬ命と引きにけり 地球儀の国の彩り大南風 諍ひの記憶摘めりさくらんぼ 黴臭き昭和の写真捨てちまふ 与那国の果の故郷や星涼し ていねいに簾を捲けり家売る日 ちぐはぐな椅子よ机よ秋の風 風入れて一人のたつき新豆腐 四畳半の窓によく鳴る秋

          俳句結社「りいの創刊15周年記念俳句賞」大賞句

          台湾の新名所7選

           2月中旬頃、丸3年ぶりに台北へ帰省した。コロナ禍のこの3年間、台湾ではあまり打撃がないように、幾つかの新名所がオープンした。この記事では7か所を紹介したい。 ① 台北市・台北表演芸術中心(北芸中心) 台北市士林夜市近くに位置し、22年8月にオープン。以後、人々の興味を惹き、多くの方が訪れている。北芸中心の外観は香港の太空館に非常に似ている。内部には回り道を設置しており、劇場の舞台裏や展望台とその他の建築空間を通り抜けることができる。随時、各種のアートパフォーマンスが開催さ

          山根清風俳人との出会い

           先日、7年ぶりに3泊4日の日程で石垣島を訪ねた。コロナ後、初めての離島旅だったが、石垣出身の同行者がいて、道中思わぬ出会いに恵まれた。  私は俳句を嗜んで10年余。滞在中、運よく島の情報誌で紹介している百歳俳人・山根清風女史と会うことが出来た。まさに俳縁というものだ。  山根俳人はこの年数え百歳であり、2月に第5冊目になる句集「笑百寿(しょうももじゅ)」を上梓した。俳歴30年余を持つベテラン俳人で、阿吽俳句会に所属。お互い結社は違うが、俳句に対する愛好は一緒だ。戦前は台湾に

          山根清風俳人との出会い

          牡丹社事件を伝える「故事館」と観光案内所の起工式~屏東県牡丹郷石門にて

           屏東県牡丹郷役所は、5月22日に石門古戦場で「牡丹社事件149周年記念活動」を実施した。来年は150年の節目のため、同事件激戦地となった石門古戦場で、事件をテーマにした文化施設「石門古戦場故事館」と観光案内所の起工式を執り行った。  周春米屏東県知事は起工式の挨拶で、牡丹郷は台湾最南端の山岳原住民の町であり、「恒春半島の裏庭」として知られている。この一帯は、原住民はもとより、平埔族、客家族、漢民族などが一緒に暮らしており、自然・歴史・文化・産業などが豊富で、多くの物語が残

          牡丹社事件を伝える「故事館」と観光案内所の起工式~屏東県牡丹郷石門にて

          「沖繩回歸日本」五十週年後的省思――來自沖繩的主張 ~沖繩對外問題研究會~

          譯自刊登在《世界》雜誌第966期(2023年2月,第140-150頁)的日文原文。 以下為沖繩對外問題研究會的聲明: ◆我們深切期望沖繩能成為連結亞太地區國家之間的「橋梁之島」,而不是成為日本有緊急事態時,防波堤的「邊境之島」。 ◆為了避免台海衝突的發生,中國、美國、日本,應竭盡所能以和平的方式創造台灣的未來。 ◆日本應尋求自身位在東亞的新角色,設法不要讓軍備競賽持續發展下去。 二〇二二年五月十五日,沖繩迎接美國將行政權歸還日本的五十週年紀念日。從媒體的民意調查中,

          「沖繩回歸日本」五十週年後的省思――來自沖繩的主張 ~沖繩對外問題研究會~

          令和の首里城復興

           首里城火災から3年が過ぎた。正殿の起工式が2022年11月3日・文化の日に執り行われた。  首里城は、琉球王国栄華のシンボルで、沖縄最大の城(グスク)である。14世紀頃に建造され、約450年間、代々の国王の居城として君臨。その歴史の中で、今回を含め、火災や沖縄戦で5回焼失した。沖縄戦で完全に破壊された後、1992年に正殿が復元され、首里城公園の公開が始まる。2000年12月、正殿地下の遺構の部分と4つの城跡と4つの関連遺産は「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界文化

          令和の首里城復興

          琉球おもろ流40周年記念花展雑感

          先日、開催された琉球おもろ流華道会(吉田紫峯家元)創立40周年「続 地・水・火・風・空」記念花展は、多くの華道愛好家が訪れ、盛会のうちに幕を閉じた。 家元との出会いは、1984年県費留学生で琉球大に留学した時で、家元が81年に琉球おもろ流創設して3年経つ頃だった。当時、家元は外国人留学生や研修生らにボランティアで生け花を教授していた。その恩恵を受け、家元の教室に一年弱在籍した。 留学を終えて帰国後、台沖双方の交流窓口である中琉文化経済協会(台北市所在)に勤めた。87年より

          琉球おもろ流40周年記念花展雑感