句集「点睛」・山崎祐子第一句集鑑賞文
囀の下で束ねる青菜かな
立春大吉天秤棒の仔豚売れ
渡し舟闘鶏の籠まつさきに
鶏が西瓜の皮をよろこべり
背伸びして干す剣道着桐の花
砂糖かけ盆供の団子父と食ぶ
星飛べりナイフで削る干しチーズ
宵闇の膝立てて吸ふ長煙管
極月や土蔵に猿の頭蓋骨
平原に象哭き釣瓶落しかな
国境に塩のこぼるる淑気かな
女手の耕し天に至るまで
忌日来るしじみが鍋に音たてて
擦り切れし辞書を抱へて日焼の子
羊追ひ国境を越ゆ雲の峰
「点睛」句集には、祐子さんが海外を旅して詠んだ句がたくさん収められている。一句一句すべて平易な言葉で詠み、平明で読みやすい。そして、その土地の風土色があって読み応えがある。さすが民俗学者だという慧眼の持ち主で、感銘を受けた。異邦人の私にとっては、海外を詠む時の手引きに役立つと思った。
日常生活詠も親しみのある題材を詩情的に詠んで、その詠み方に魅せられた。
俳句は詩であり、文学であり、芸術であることを祐子俳句から学ぶことが出来た。感謝!
(辺野喜 宝来)
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