うちなーぐちの店名なんて意味?
鹿児島県の奄美郡から沖縄県にかけて、似たような言語で話す方言を琉球諸語(琉球方言)と呼称されている、別名「うちなーぐち」。厳密に言えば「うちなー」は「沖縄」なので奄美は別で云々…という話は置いといて。
国連教育科文化期間ことユネスコは、琉球方言を消滅危機言語として保護・活性化するよう推進しているそう。アイヌ語も同じく対象だそうですが、具体的な目標などはなく、アイヌ・琉球各自で頑張って活性化してくださいという感じのよう。このことから県やNPO法人などは消滅を防ぐために、しまくとぅば(島の言葉)普及のためさまざまな活動を行なっています。
とはいえ県内で見かける方言店名のなんたるかを知らない県民の多いこと。(※あ、私もです)というわけで詳しく調べてみました。知ってたら明日からドヤ顔できるかも。
・ホテル
【ユインチホテル南城】
寄満(ユインチ)。
寄満とは首里城正殿の裏辺りにあった建物の名前。
国王やその家族の食事を用意していた台所・キッチンのような場所で、貿易が活発だった当時の琉球は、国内外の品々が集まる寄満を「豊穣の寄り満つる所」という解釈もしていたそう。
同じ名前の場所が斎場御嶽内にもあります。
【カフー リゾート フチャク コンド・ホテル】
果報(カフー)=幸せ・良い報せ。
フチャクは地名の「冨着」。
関係ないけど、原田マハ 著「カフーを待ちわびて」に出てくる架空の島「与那喜島」のモデルは伊是名島なんだとか。読了後のほっこり感がたまらないのでオススメ。
【カヌチャリゾート】
川の下の浜(カヌシチャヌハマ)。
ホテルの川下にカヌチャ浜があるので名前の由来となっているそうです。
・飲食店
【大家(うふやー)】
本家(ムートゥヤー)。
公式HPによると、「安里家」という一族の本家というような意味合い。同じ苗字が多かった昔の沖縄では、地名やアダ名・職業にちなんだ屋号(名称)で呼ぶことが一般的でした。
【例】
ヤーヌナーはイリーヒジャグヮーです。
=家の名前は西比嘉小です。
グヮー(小)は分家という意味で、この場合は、村の西側にある比嘉家の分家ですよー。といった意味になります。
中にはガッパヤー(頭がとがった形)とか、ほぼ悪口では?という屋号もあったとか。
私の祖父の屋号は「タル(樽)」で、苗字は屋宜(ヤギ)。そして祖母の名前はカメだったので、樽のヤギのカメさん。といった名前になる。
これで本当に通じるのかと言うと、若いころ地元で名札をつけてバイトをしていたときのこと。
知らないおじさんに「あんた屋号わかるね?」と聞かれて「樽です」と答えたら「あ〜◯◯(住んでる地名)のね〜」と身元判別されました。屋号すげえ。
【すーまぬめぇ】
こちらも同じく屋号が由来で「潮間(しおま)の前」という意味だそう。
【しむじょう】
同じく屋号。新垣家の屋号「下門(しもじょう)」という意味だそう。
【沖縄の台所 ぱいかじ】
南風(パイカジ)。
パイカジは八重山地方(石垣島辺り)の方言で、沖縄本島では南風を「フェーカジ」と言う。南からの暖かい風。
フェー(南)カジ(風)
関係ないけど、南風原という苗字が沖縄本島南部や石垣島などに多いそう。沖縄本島南部の南風原町(はえばる)も方言名では「フェー(南)バル(原)」。
あれ、「風」の漢字どっか行ったぞ…。
【ゆうなんぎい】
オオハマボウ(ユウナギー)。
海岸の樹々が生えている場所を「ユナ」、「ユウナ」と呼んでいましたが、そのユウナに生える木ということで「ユウナの木」という名称になったそう。花弁が5枚の綺麗な花を咲かせます。
【ちぬまん】
テングハギ(チヌマン)。
天狗のように頭から突き出たツノが特徴の海水魚。以上です。
・その他
【美ら海水族館】
清らか・綺麗(チュラ)。
ちゅら=清らか。というのが正解らしいので、「美」という漢字に当て字するとはけしからん!って思っている人もいるとか、いないとか…。
個人的には印象的で沖縄らしいなと思うので、最初に「美ら」を考えた人はすごいな〜と感心しています。怒らないでー。
【わしたショップ】
私たち(ワシタ)。
オリオンビールから発売されている「WATTA(ワッタ)」=(ワッター)も同じ意味ですが、ワッターの方が砕けた感じの使い方。
由来を知ると面白い
由来を知るとどれも素敵な名前だということが分かり、暖かさが伝わってきました。
店名だけでなく商品名や地名にもよく聞くうちなーぐちがたくさんあるので、途切れてしまわないように意味を知って伝えていけると良いなぁと思いました。あと、屋号はすごい。
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