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人事における3本の矢②

【続編】
①採用
②教育
③評価


採用に関しては、1つ前のノートで簡単ですが説明してあります。簡単と言うのは、そもそも人事は人事のスペシャリストがいて、どちらかと言うとマネジメントとして知っておくべきポイントを絞ったお話でした。
「教育」についても、ある程度ポイントを絞りたいのですが、意外とこの部分は現場での日常の教育というのが、かなり大きな比重を占める。なので、もしかしたらこのノートも長くなってしまうかもしれない。

①の採用で、良い人材採用したら、入社してからその人材をどのように育てるのか?というのが、いろいろな意味で重要になってくる。もしかしたら、マネジメントの仕事の中で1番重要なところかもしれない。なぜならば、『人を介して目標を達成する』と言うマネジメントの仕事だから、部下が優秀な人材であればあるほど目標達成に近づく訳である。

まずは入社したばかりの社員に対して行う、

New Employee Orientation


である。通常は人事が行うのだが、小さな飲食店などはほとんどやらないかもしれない。これにも人件費も労力も掛かる。ただホテルや、大きな企業ではその組織の経営理念や大切にしているバリュー、行動規範など、その組織で働くために重要なことを先に学ぶ。それを頭に入れた上で、現場に配属になる、と言うのが流れだ。やりながら覚えればいいじゃん、と思いがちだが、新入社員からすると第一印象を決める大切なところである。下手すると一日で辞めてしまう人もいるかもしれない。だからここは実際に手を抜けないところだ。大体の組織では、この仕事は人事部のトレーニング担当がやってくれる。マネージャーとして知っておかなければならないのは、その内容である。現場に配属になったスタッフが、昨日初日に教わった内容と現場との現実のギャップを極力小さいものにしなければならないからである。

whythe hotel in brooklyn NYC



トレーニングで重要なことをいくつかまとめておこう。

a) OJT (on the job training)
b) Training Check List
c) Technical Training
d) Knowledge Test
e) Succession Plan
f) Cross Training
g) Coaching
h) One on One
i) Training Material (SOP/ SOS/ 業務マニュアル)

細かく言えばもっとあるが、これだけのものを使いこなせれば充分戦える。

OJTは読んで字のごとく、仕事をしながら学ぶこと。その日に必要な仕事のやり方を学ぶ。b)トレーニングチェックリストを進めていくのもOJTである。初めの1-3ヶ月分のトレーニングチェックリストを作成して、トレーナーがトレーニーの習得スピードに沿って進めて行く。一般の業務をこなしながらのOJTはトレーナーにとっては負荷でもあるが、トレーニーが仕事ができるようになると、トレーニング中は2人でその業務をこなすことになるので、むしろ覚えるまでの辛抱。できるようになってくれれば、自分が楽になる。そんな考え方にさせてあげよう。注意しなければならないのは、新人にどんどん仕事を教えていくと自分が楽になるもので、現場やトレーナーの都合でトレーニングのペースを決めてしまう時。特にトレーナーは通常ある程度熟練者なので、人を教えているとなんだか偉くなった気分になる。なので、自分のトレーニングについて来れないトレーニーがいると、落ちこぼれを扱うような態度になりがちだ。ここで、超重要なのは、

トレーニングの主役は誰か?


と言うことである。
答えは、

トレーニー(教わる側)が常に主役にならなければならない。

なぜならば、

トレーニングは何のために行うのか?

と言うのを考えれば、よくわかるだろう。
トレーニングを行うのは、新人の人が仕事が早くできるようになり、自信をつけていち早く新たな環境に慣れる事にある。もしくは、ある程度の経験者に、次のステップに向かうために知識やスキルをつける事が目的だ。トレーニーがなるべく早く技術や知識を身につける為に効果的なトレーニングを行う必要がある。忘れてならないのは、我々の仕事のトレーニーと言うのは「人」であると言うこと。プログラミング(トレーニング)したらできる様になると思ったら大間違えである。それがトレーナーにとって至極シンプルな事でもだ。トレーニー(教わる人)は全員個性があり、全員違う個人で、横並びには絶対にできない。習得が早い子もいれば、遅い子もいる。優秀なトレーナーは、相手に合わせてペースや手法、テンションや話し方を変える。そして個人個人全員に対して、そのトレーニーに合ったやり方で仕事を教えることができる人である。

トレーニングを受ける側のスタッフも、トレーニングを受ける際の意識が非常に重要である。新人のスタッフも、いつまでも新人ではない。自分が先輩となり仕事を教えるときはすぐに来る。なので自分が仕事ができるようになる事は、自分が教えることができる様になる事。単に業務をこなせるだけではない。人に教えると言うことを意識し始めると、主体的になり質問してくる。なぜならば自分が疑問を持っていたら人に教えられないからである。聞かれて答えられないトレーナーほど頼りにならないトレーナーはいない。逆に言えば、何でも答えられるようになれば、トレーニーからの信頼は勝ち得たようなものである。なので教える際には、常に自分が次には教えなきゃいけない、と言うことを意識させながら仕事をさせることが大切だ。

先輩後輩

小さな組織ならば、マネージャーが全員の面倒を見ることができるだろう。ただ自分の部下が20人を超えてきた位から感じ始める。さすがに体1つ、命2つ、脳みそ1つでは20人の面倒は見切れない。さらに言えばマネージャーが365日働いているわけではないので、やはりチームで新人の面倒は見なければならない。日本の縦社会の良いところは唯一「先輩と後輩」の関係ではないだろうか。先輩の方が偉いとかそういう話ではなく、後輩の面倒を見ると言う文化である。この文化を、もう少し現代風にすると、年齢も性別も国籍も関係ない。仕事ができる人が、まだできない人を面倒を見ると言うこと。つよいものが弱いものをサポートすると言う構図である。もしかしたら若い子で非常に優秀で、年配の人より仕事ができる人材がいるかもしれない。その場合は仕事ができる若い子が新しく入ってきた年配のスタッフをサポートするのは当然。その逆も然りである。だから正直、年齢は関係ないのである。さっきも言ったが、勘違いしてならないのは、偉い偉くないと言う話ではないこと。チームメイトはみんな人として対等なのである。ただ単に、仕事ができる人が、まだ仕事ができない人に対してサポートするのは当然である。この考え方だ。
職場にこういうモラルがあると、マネージャーは非常に楽になる。先輩社員が新しく入ってきたスタッフをしっかりケアしてくれる。チームワークも醸成される。マネージャーはさらにその先の仕事ができるのである。この文化醸成は時間がかかるが、組織が大きくなればなるほど必要不可欠である

先ほど紹介した、トレーニングで重要な事に関しては、ポイントが多すぎるので、また今度少しずつ紹介していくこととしよう。

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