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98番・琉大線の歴史を調べてみた

以前、那覇バスターミナルと琉球大学を首里経由で結ぶ97番・琉大線の歴史を整理したが、今回は同じ区間をバイパス経由で結ぶ98番・琉大線について調べてみた。


2つの琉大線

まず初めに、97番・琉大線と98番・琉大線について整理してみる。

運行ルートの比較

運行ルートは、繰り返しになるが97番・琉大線が首里経由(儀保経由)、98番がバイパス経由(国道330号経由)である。97番・琉大線の方は、琉大北口以外にも、琉大東口、琉大附属学校前、琉球大学病院前といった琉大関係施設があるバス停に停車する一方で、98番・琉大線の琉大関係のバス停は、終点の琉大北口駐車場のみである。
また後述するが、98番・琉大線は起点が那覇バスターミナルよりも南にある、豊見城市豊崎美らSUNビーチ前である。

97番・琉大線と98番・琉大線の比較
OpenStreetMap®を元に作成 ©OpenStreetMap contributors

所要時間の比較

那覇バスターミナル~琉大北口駐車場の所要時間は、
・97番・琉大線:約60分(運行キロ17.2km)
・98番・琉大線:約45分(運行キロ14.1km)
と約15分ほど98番・琉大線の方が早く着く。98番・琉大線の経路であるバイパスには、信号交差点がほぼないことが大きな要因であろう。

運賃の比較

運行キロは異なるが、沖縄本島の路線バスがほとんどの場合、乗車バス停と降車バス停が同じであれば運賃も同じになる仕組みであるため、那覇バスターミナル~琉大北口駐車場での運行キロは約3km異なるが、運賃は両社とも610円である。

運行本数の比較

2023年8月現在の運行本数は、
・97番・琉大線:平日32本/日・土曜休日19本/日
・98番・琉大線:平日28本/日・土曜休日20本/日
と平日は97番・琉大線の方が、土曜日休日は98番・琉大線の方が若干だが多く運行されている。

運行開始は1979年頃の模様

98番・琉大線の運行開始日に関する情報は見つけきれていないが、1977年3月14日時点のバス路線図$${^1}$$には記載がなく、1979年8月1日時点のバス路線一覧$${^2}$$には記載があることから、1977年4月~1979年7月に運行を開始したのは確実である。加えて、琉球大学が首里キャンパスから千原キャンパスへ移転を開始したのが1979年3月15日$${^3}$$のことなので、恐らく1979年3月以降の運行開始であろう。
ちなみに97番・琉大線の運行開始は1979年4月10日のことであるが、同日に運行を開始した可能性も考えられる。

かつては那覇バスターミナルが起点だった

運行開始当初は那覇バスターミナル起点であったが、3回の延長を経て、2023年8月時点の起点は豊崎美らSUNビーチ前となっている(一部は道の駅豊崎が起点)。
延長の歴史を地図に落としてみた。

起点の変遷
OpenStreetMap®を元に作成 ©OpenStreetMap contributors

1回目の延長は、2006年2月20日のことである。この際に那覇バスターミナル~我那覇の運行が開始された。変更された理由は56番・浦添線の記事でも書いたが、那覇バスターミナル(3代目)の駐機場スペースの解消のためだったようである。

2回目の延長は、2008年8月1日のことである。この際に我那覇~道の駅豊崎の運行が開始された。変更された理由は、那覇側の管轄営業所であった与根営業所が閉鎖され、道の駅豊崎近くに新設された豊崎営業所が管轄に代わったためである。

3回目の延長は、2021年1月12日のことである。一部便のみであるが、道の駅~豊崎美らSUNビーチ前の運行が開始された。バス停自体は2010年7月時点で存在していたが、バス停前への商業施設の開店等による需要を見込んだ延長だと思われる。

かつては我如古経由だった

2023年8月現在は、沖縄国際大学前を経由するルートであるが、運行開始当初である1980年時点のバス路線図$${^4}$$をみると、我如古経由となっており、沖縄国際大学前を経由しないルートであった。

沖縄国際大学周辺の運行ルート
OpenStreetMap®を元に作成 ©OpenStreetMap contributors

これは単純に、1980年当時は真栄原から沖縄国際大学への市道の一部が未供用だったためである。1984年11月当時の航空写真を以下に示す。

沖縄国際大学周辺 1984/11/09撮影
(国土地理院の空中写真【OK841X-C10B-7】を筆者が加工)

約6年後の1990年10月時点の航空写真を見ると、真栄原から沖縄国際大学への市道が開通しており、1993年11月時点のバス路線図$${^5}$$では、沖縄国際大学前経由になっていることから、1984年12月~1993年11月の間に我如古経由から沖縄国際大学前経由に変更されたようである。

沖縄国際大学周辺 1990/10/20撮影
(国土地理院の空中写真【OK901X-C24-7】を筆者が加工)

沖縄自動車道開通により琉大付近のルートも変更

大きな経路変更ではないが、琉大付近のルートも運行開始当初から少し変更されている。要因は1987年10月8日の沖縄自動車道の全線開通である。

左が1984年11月当時の航空写真、右が2023年8月現在の地図、また赤線が1984年当時の運行ルート、青線が1993年11月当時の運行ルートである。
1984年当時は沖縄自動車道が未開通であり、赤線で示した志真志住宅前~琉大北口は、かなり曲がりくねった道となっているが、沖縄自動車道の開通により青線で示した直線道路へと変化している。

【左】琉球大学北口周辺 1984/11/09撮影
(国土地理院の空中写真【OK841X-C10B-7】を筆者が加工)
【右】2023年8月現在の地図
OpenStreetMap®を元に作成 ©OpenStreetMap contributors

バス路線とは全く関係ない余談になるが、旧道の痕跡は幾つか残っており、不自然に道幅が広い箇所は、かつての曲がりくねったルートの湾曲部にあたる箇所である。

琉球大学北口周辺 2010/09/27撮影
(国土地理院の空中写真【COK20101-C8-17】を筆者が加工)

派生系統としておもろまち駅発着路線が新設

2003年8月10日の沖縄都市モノレール開通と同時に、98番・琉大線の起点をおもろまち駅前広場とした298番・琉大おもろまち線の運行が開始された。

98番・琉大線と298番・琉大おもろまち線の運行ルート
OpenStreetMap®を元に作成 ©OpenStreetMap contributors

2003年8月9日時点で、98番・琉大線は1日32本が運行されていたが、そのうち1日5本が298番・琉大おもろまち線に振り分けられた(98番・琉大線は、1日27本に減便)。
ただ利用状況は芳しくなかったようで、翌2004年3月1日のダイヤ改正で1日4本に微減(98番・琉大線は、1日28本に微増)、2008年8月1日のダイヤ改正で平日のみの運行となり、2009年1月16日をもって廃止されている。

脚注

  1. 運賃及び粁程表 昭和52年3月14日改定(1977年 沖縄県バス協会発行)

  2. 昭和53年度 業務概況(1979年 沖縄県陸運事務所発行)p.29

  3. 国立大学法人 琉球大学創立70周年記念誌 (2020年8月 国立大学法人琉球大学発行)p.23

  4. バスルートマップ沖縄(1980年 運輸経済研究センター発行)

  5. 運賃及び粁程表 平成5年11月1日改定(1993年11月 沖縄県バス協会発行)


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