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56番・浦添線の歴史を調べてみた(後編)

琉球バス交通が運行する56番・浦添線は、沖縄県豊見城市の豊崎を起点とし、浦添市の西原または宜野湾市の真栄原を終点とするバス路線である。
かつては起点、終点共に現在とは異なっていた。

終点側は前編で紹介したので、今回は起点側である。

2006年2月に起点が那覇バスターミナルから我那覇に変更

起点側(那覇側)の最初の変更は2006年2月20日のことである。那覇バスターミナルから、南側に延長され、豊見城市の我那覇起点となった。

我那覇へ延長後の56番・浦添線
OpenStreetMap®を元に作成 ©OpenStreetMap contributors

この当時、那覇バスターミナル(3代目)の駐機場スペースが不足していたようで、その解消が目的であったようだ。解消のために、那覇バスターミナルを起点とし、短距離路線であった浦添市、宜野湾市を終点とする4路線(55番・牧港線、56番・浦添線、88番・宜野湾線、98番・琉大線)が、揃って我那覇まで延長されている。なお、起点の延長先として我那覇が選ばれたのは、これら4路線を管轄していた与根営業所の最寄りバス停が我那覇であったことが理由だと思われる。

我那覇バス停と与根営業所の位置関係
OpenStreetMap®を元に作成 ©OpenStreetMap contributors

2006年9月に起点が具志三丁目に変更

我那覇まで延長された約半年後の2006年9月1日には、起点が豊見城市我那覇から那覇市の具志三丁目へ起点が変更された。途中の経由地も宇栄原団地経由から航空隊経由へと変更されている。

具志三丁目起点へと変更されたのちの56番・浦添線
OpenStreetMap®を元に作成 ©OpenStreetMap contributors

新たな起点となった具志三丁目は、小禄バイパス上に新規に設置されたバス停である。同日に99番・天久新都心線も路線延長を実施し、起点を那覇空港から具志三丁目に変更しているほか、同年9月25日には、那覇バスの17番・石嶺線が具志営業所発着となると同時に小禄バイパス経由となった(起点は具志三丁目ではなく、具志営業所であった)。

具志三丁目を発着していたバス路線
OpenStreetMap®を元に作成 ©OpenStreetMap contributors

なお、この日より、56番・浦添線の運行は、琉球バスから、第一交通産業傘下の琉球バス交通に引き継がれている。琉球バス交通になったのちも、管轄こそ琉球バス交通の与根営業所のままであったが、折り返し場所としては、具志三丁目をさらに少し南に行ったところあり、琉球バス交通と同様に第一交通産業傘下である那覇バスの具志営業所が使用されたようである。

具志三丁目バス停と具志営業所、与根営業所の位置関係
OpenStreetMap®を元に作成 ©OpenStreetMap contributors

ちなみに、2006年2月に揃って我那覇まで延長された4路線のうち、具志三丁目発着に変更されたのは56番・浦添線だけであった。

2007年6月に起点が再び我那覇に変更

起点が具志三丁目となった約1年後の2007年6月25日には、再び起点が変更され、以前の我那覇発着となった。ただ、途中のルートは2006年2月当時の宇栄原団地経由とは異なり、那覇西高校経由となった。

我那覇起点へと変更されたのちの56番・浦添線
OpenStreetMap®を元に作成 ©OpenStreetMap contributors

那覇バスターミナル~我那覇間は、89番・糸満線と完全に同じルートへとなった。
変更の理由は不明であるが、新設区間であった小禄バイパス沿線からの利用状況が芳しくなかったのかもしれない。なお、同じく小禄バイパスへ乗り入れていた17番・石嶺線は2007年4月8日をもって、99番・天久新都心線は2008年10月7日をもって、小禄バイパスからは撤退している。

ちなみに、具志三丁目バス停の跡地は、現在でもバスベイとして残っている。結果として約2年間のみの使用であったが、バイパス上であり、後続車への影響を小さくする必要があったためだろうか。

2007年9月に起点が伊良波に変更

起点が我那覇となった約3か月後には再び起点が変更された。新たな起点は我那覇から1バス停だけ南に進んだ伊良波であった。

途中の経路は全く変わらず、延長約0.4kmだけ南に延びた。この時も、我那覇発着であった他3路線(55番・牧港線、88番・宜野湾線、98番・琉大線)はそのまま我那覇発着で、56番・浦添線だけが1バス停延長となった。

伊良波起点へと変更されたのちの56番・浦添線
OpenStreetMap®を元に作成 ©OpenStreetMap contributors

なお、この1区間だけのために方向幕を新調することは無かったようで、「我那覇」表示のモノがそのまま使用された。
この延長の目的は何だったのだろうか・・・。

2008年8月に起点が道の駅豊崎に変更

4回目の起点変更は2008年8月1日のことである。この日、与根営業所が閉鎖され、豊崎営業所が新設されたため、管轄営業所も豊崎営業所へと変更となり、起点も営業所に近いところに新設された。道の駅豊崎発着へと変更された。

道の駅豊崎起点へと変更されたのちの56番・浦添線
OpenStreetMap®を元に作成 ©OpenStreetMap contributors

営業所の移転に伴うということもあり、この時は、55番・牧港線、88番・宜野湾線、98番・琉大線も56番・浦添線同様に道の駅豊崎発着へと変更となっている。最初に起点が変更された2006年2月から約2年半の間に4回も起点が変更されたことになるが、この変更をもって落ち着くこととなった。

2021年1月に一部便の起点が豊崎美らSUNビーチ前に変更

2008年以降変更されることなかった起点は、2021年1月12日に一部便が1バス停西側に新設された豊崎美らSUNビーチ前発着に変更された。

豊崎美らSUNビーチ前起点へと変更されたのちの56番・浦添線
OpenStreetMap®を元に作成 ©OpenStreetMap contributors

豊崎美らSUNビーチ前からは、2010年7月より105番・豊見城市内一周線が発着しており、豊崎美らSUNビーチ前のバス停自体はかつてから存在していたが、約10年が経ってようやく、ほかの路線も発着するようになった。
ビーチへの利用者が増えたというよりは、2020年6月に、バス停の前にイーアス沖縄豊崎というショッピングモールが開業しており、需要が高まったせいかもしれない。

時刻表の分かりづらさはどうにかならないか

これは歴史とは関係なくの個人的な意見である。
下記の写真は、西原四丁目向けの安波茶バス停に貼られている時刻表の凡例部分である。

56番・浦添線の時刻表はかなり複雑
(2022年8月 安波茶バス停にて撮影)

この凡例を見て即座に判断するのはかなり難しいと思われる。加えて凡例には記載のない本線(無印)も存在している。
整理すると以下のようになる。

56番・浦添線の運行ルートの整理

突っ込みどころはかなり満載である。
・凡例無しの本線が、豊崎美らSUNビーチ前・真栄原発着ということが、この時刻表からはわからないのでは?
・西原四丁目折返しが「西」であれば、道の駅発着・西原四丁目は「道四」ではなく「道西」となるべきでは?
・西原向けの安波茶バス停の時点で、道の駅豊崎発着であるか豊崎美らSUNビーチ前発着であるかの情報は、なくてもよいのでは?
こういうところを改善するだけでも利便性は向上すると思われるのだが。


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