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No.584 シルバー川柳が目に染みる!

「あなたとは、思い出話ができないわ!」
ひと昔前に、実の妻が溜息交じりに言い放ったこの容赦ない一言は、衝撃的でした。しかし、私にとって「記憶」と「お金」は同義語です。なぜなら「無いものは、無い」からです。
 
1943年(昭和18年)第16回アカデミー作品賞受賞作のアメリカ映画「カサブランカ」(イングリッドバーグマンとハンフリーボガード共演)の中で、
女「昨日は、どこにいたの?」
男「そんな昔のことは覚えちゃいない」
女「今夜は?」
男「そんな先のことは、わからない」
と言うシビレルような台詞のやり取りがありました。
 
「サヨナラ、サヨナラ…」でお馴染みの映画評論家・淀川長治氏(1998年、89歳没)は、この「カサブランカ」を「男と女の洒落た会話の洪水」と評したと言われます。ところが、今の私は、歳をとるにつれて記憶を司る中枢が緩み始めており、まさに準主役級の「半フリー薄ガード」状態であります。シナプス君や~い!
妻「昨日、何食べたっけ?」
私「そんな昔の事は覚えちゃいない」
妻「今夜は何にしようか?」
私「そんな先のことは分からない」
 
口は災いの門です。カミさんの頭から湯気が?夕餉は、卵かけご飯かも…。
 
それにしても、
「食べたこと忘れぬように持つ楊枝」田村靖彦
「第7回シルバー川柳」(2007年)の秀句が、やけに目に染みます。