Web小説長文タイトルのつけ方・コツ
暑くなってきましたね。夏の概念は大好きです。暑さは苦手です。沖果南です。今月の記事ではWeb小説の長文タイトルのハウツー的なお話をしたいと思います。
この記事を読んでいる方は、「Web小説特有の長文タイトルつけるの、ちょっと苦手なんだよね」と悩んでいらっしゃる方がほとんどだと思います。長文タイトル、難しいですよね…。
そんな悩める方々も、この記事で「ああ、これならできそうかも」と思っていただけますと幸いベリーハッピーです。
Web小説に長文タイトルをつけるのは、なぁぜなぁぜ?
まず前置きとして、Web小説において長文タイトルをつけるメリットについてお話します。
「なろう系」といえば真っ先に思い浮かぶのが長文タイトルだと思います。小説家になろうでは10文字以上の長文タイトルを結構見かけます。
タイトルがなかばネタバレのないログライン(1行あらすじ)化している状態です。
▽ ログラインについてはこちら記事がとても参考になるので、ぜひ一読を!
では、なぜ最近のWeb小説には長文タイトルがつけられるのでしょうか?
こちらに関しては、様々な答えがあると思います。この質問への、私の答えは「中身がわからない小説って、読者さんにとっての読む動機があまりにすくなくないですか?」です。言い換えるならば、「どんな料理が出されるか分からないレストランには入りにくいよね…」みたいな。
ちょっとまどろっこしい例えをしちゃったので、もっと簡単な例で行くとこんな感じ。
これは極端な例ですが、「ものすごく忙しい人がパセリについて知りたくなった時、どっちのほうが手に取ってもらいやすい?」という例です。
左の本のタイトル「和蘭芹」はパセリと読むのですが、ちょっと内容が分かりづらいですよね。それに対し、右の「パセリについて」は本の内容が明確です。おそらく、だいたいの人は右の本を手に取るのではないでしょうか。忙しいならなおさらです。
この例から分かるように、人は内容が分かりづらいものに対して、「ちょっと手に取るのは億劫だな…」と感じる性質があります。(もちろん個人差はありますよ!)
さらに悪いことに、ウェブ小説は書店で並ぶ本と違って帯や表紙といった視覚的に内容を訴える情報が出しづらいという特徴があります。本屋さんにおいてある本と比べて、より内容がわかりにくいんですよね。その上、超大型小説プラットホーム「小説家になろう」であれば、新着、完結済みの表示はタイトル+小説家名のみの場合が多いので、タイトルで内容がすぐに判断できるほうが、初見の読者さんの興味を持ってもらいやすいという点で若干有利に働きやすいのです。
上記の理由で、Web小説は長文タイトルが多いんじゃないかしら、と私は考えています。
<実践>長文タイトルについて
前置きが長くなってしまいましたが、さっそく長文タイトルのつけ方の話に移りましょう。
Web小説の長文タイトルの理想形は、「おおっ、こういう感じかぁ。読んでみようかな~」「うーむ、こうくるか。内容が気になるなぁ」と思わせるものだと思います。つまり、タイトルから内容を妄想してもらって、「これは好みと合致する!」「これは面白そうだな!」と思ってもらえば優勝ってことです。
読者さんに妄想してもらうために必要な情報は、主に三つ。
「どういうジャンルなのか」「(恋愛小説であれば)ヒロインとヒーローの属性・関係性」「物語の顛末はどうなるのか」
おおまかにはこんな感じですね。
しかし、短文でそれだけの情報を詰めるのは至難の業。だからこそ、作品のどこが売りなのかをまずキーワードを整理し、物語の推しどころを理解する必要があります。
物語の素因数分解をしよう
タイトルをつける前に、まずは物語の素因数分解を行いましょう。
まず下記の情報をざっと書き出してみます。深く考えず、単語のみさっさと書いてください。
また、右側の欄については、特にタイトルをつける際に必要ないのですが、書いておくと思考が整理されますので、追記しておきました。
こちらを駆使して、三パターンの長文タイトル作成例を述べていきます。
「主人公+ヒーローが○○」型
まずは図解の左側の「主人公の属性とヒーローの属性」を使い、「どんな二人が、どんな結末を迎えるのか」という短文を作ってみましょう。
キャラクターの属性というのはなかなかに読者さんにとって訴求力があります。日本語はハイコンテクストな文章です。ですので、主人公やヒーローのキャラクターの属性を利用して、「こういう感じの話になるのね!」と読者さんに類推してもらい、興味を持ってもらうやり方です。
<例>
スパダリの俺が「おもしれー女」に気づけば夢中な件
「おもしれー女」という言葉から連想されるのは、俺様キャラ。そんな俺様ヒーローがいつの間にか天然ヒロインに振り回されている内容なんだな、と想像できます。
濁世の聖女は復讐を誓った男に執着される
大人しそうで清純そうな「聖女」と、暴力的な「復讐」という相反するような言葉を並べるのがポイント。
苦労人聖女とヒーローとのすれ違いの末、ハッピーエンド(?)を迎えそうだな、とわかるタイトルです。
「キーとなる台詞」型
次は真ん中の「印象的なセリフは?」という欄の言葉を使ってみましょう。恐らく作家さんによっては「このセリフが書きたいからこの作品を書いた」という台詞があると思います。その台詞、そのままタイトルになるかもしれません!
<例>
ご主人様、離婚しませんか?
ご主人様、という言葉で「あっ、なるほど格差婚モノかぁ」とわかりますね。格差婚モノ、何度読んでもいいですよね。
惚れ薬を飲んだからって貴方には惚れません!
「はいはい、惚れないわけないじゃろがい!」というツッコミ待ちタイトルです。
「とにかく単語のインパクト勝負」型
次にキーとなるアイテムや事象を使って、一言だけインパクトの強い言葉を使うやり方です。人間インパクトがある単語は一度目はスルーしても、何度も目にするとなんとなく気になるものです。
ただ、インパクトのある単語をいれた分ちょっと内容が意味不明になる時もあるので、適宜副題で補ってあげるのも手なのかなと思います。
<例>
「台パンで世界征服」
多分この作品の略称は「台パン」になることでしょう。内容がまったく読めないのですが、なんだかインパクトはありますよね。ちなみに、私はこのタイトルを唐突に想いついたはいいものの、内容が思いつかず放置しました。内容がないよu……
<番外編>このタイトルで良いのか迷ったら
また、「このタイトルどうかな?」と思ったら、なろうRawiさんに相談してみるのもおすすめです。そのタイトルが読者さんにとって訴求力があるかどうかをAIで判定してくれます。こちらもチェックしてみてくださいね。
終わりに
ということで、ゴチャゴチャ書きましたが、要は「自分の物語の推しどころを知って、好きなパターンの短文にまとめよう!」という話です。また、長文タイトルをつける力を鍛えることで、物語への解像度やターゲット層の選定なども、より明確になるのではないかなと思います。
言葉の手触り等も確認しつつ、色々試行錯誤してみてくださいね!
おしまい
★あわせて読んでね★
成人向けの小説を書いてます。寡作ですが、楽しんでもらえたらうれしいです。
R-18なので未成年はクリックしちゃダメですよ!
ツイッターもやってます。
沖 果南𓅫 (@1ridemeshi9) / Twitter
日々のことや小説のこと、興味のあることをつらつらと語っています。
興味があったらフォローしてね♡