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【フリー台本】秘密のハロウィンパーティ(男1 女1不問1)

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【概要】

ハロウィンシナリオ企画、『ハロモン』向けに書いたシナリオです。
詳しくは以下𝕏のポストをご参照ください

あらすじ

かつてはおとぎ話の中や怪談の中にしかいないと思われていた彼らは、ある年のハロウィンの夜、突如としてその街を乗っ取った。
 日陰に、闇に潜んでいたハロウィンの怪物たちは現実に存在する生物として扱われ、数を増やし、「人」としての権利を勝ち取っていく。
 そして現在。この国では当たり前に街を歩いているのは人間ばかりではなくなった。クラスメイトにも職場の同僚にも、人狼をはじめとした獣人や透明人間、鬼や半魚など様々な種のヒトが二人、三人はいるのが当然だ。
 互いに争う混沌の時代もあったが、今の時代は目立った事件もなく、平和なものである。
 ──表向きは。
(※残酷描写注意)

情報

声劇台本 三人用
編成   男性1人 女性1人 不問1人
上演時間 約10分

<>内はト書き。

男性、女性が登場する台本になっていますが、男女が逆になっても、同性でやってもOK

登場人物

男性(男性)
 人間の男性

女性(女性)
 人間ではない女性。関西弁。
(関西弁を標準語に変えてもOK)

店員(不問)
 会員制バーのバーテンダー。吸血鬼


【本文】

語り
  かつてはおとぎ話の中や怪談の中にしかいないと思われていた彼らは、
  ある年のハロウィンの夜、突如とつじょとしてその街を乗っ取った。
  日陰ひかげに、やみひそんでいたハロウィンの怪物たちは、現実に存在する生物として扱われ、
  数を増やし、「人」としての権利を勝ち取っていく。
  そして現在。この国では当たり前に街を歩いているのは人間ばかりではなくなった。
  クラスメイトにも職場の同僚どうりょうにも、獣人じゅうじん透明人間とうめいにんげん、鬼や半魚はんぎょなど様々な種のヒトが二人、
  三人はいるのが当然だ。
  たがいにあらそ混沌こんとんの時代もあったが、今の時代は目立った事件もなく、平和なものである。
  ──表向おもてむきは。


   ‹居酒屋、大学生たちが飲み会をしている›

女性  や、飲んどる?

男性  へ? ……あ、まあ、ぼちぼち

女性  せっかく他大学交流飲みやのに、自分、誰ともからまんやん

男性  ながめてるのが好きなだけだよ

女性  変わっとんなぁ。飲み会は話してなんぼやろ

男性  今、君と話せたよ。

女性  自分、人間?

男性  え? うん、そうだけど

女性  ぶしつけにごめんな! 人間の友達が欲しかってん。話しかけてみて正解やったわ!

男性  あー、その言い方ってことは、じゃあ君は人間以外?

女性  ふふふ、ヒミツー

男性  えぇ……僕には聞いといて教えてくれないんだ

女性  仲良くなった人にしか言わんて決めてるんよ。
    だから、知りたかったらもうちょい仲良くなろ!
    というわけで、まずは……二人で抜けちゃう?

男性  ぐいぐい来るね……

女性  チャンスはものにせんともったいないやん

男性  じゃあ、もうちょっとここで仲良くなれたらね

女性  慎重派しんちょうはやなぁ。おっけ、いいよ。

男性  今、何飲んでんの?

女性  オレンジジュース

男性  え? それ、見たまんまオレンジジュース? カシスオレンジとかでもなく?

女性  カシオレやったらこの色ちゃうやん。私は、100%のオレンジが好きなの

男性  それ、果汁100%じゃないと思うけどなー

女性  ええ、でもメニューには書いとったで?

男性  トイレ行った時ちらっと、カウンターに並んでるジュースのパッケージ見えたんだよ。

女性  ちらっと見て何パーかわかるもん?

男性  オレンジの断面が描いてなかったから、100じゃない

女性  どゆこと?
男性  みずみずしくて美味おいしそうな、果実の断面の絵や写真が
    ジュースのパッケージに描いてあることあるだろ?
    あれ、100パーじゃないとやっちゃいけないんだよ

女性  へー。知らんかった。でも100パーだけどわざわざ断面の絵、
    描いてないだけかもしれんやん

男性  まあ……そうならちゃんと成分表示の数字を読むしか、知りようがないね。

女性  で、そろそろ私ら、仲良ようなれた?

男性  まだちょっとしか話してないけど

女性  ふふふ、次行きたいとこ、決まっとんねん。はやく行きたいなぁって

男性  じゃあ、そろそろ君の種族教えてくれる?

女性  それはもうちょっとヒミツ。行った先で教えてあげる


   ‹間›


男性  ここ……って……。
    普通に入れるところ?

女性  本来は無理かも。
    そやけど……じゃーん!
    今夜はここに、招待状しょうたいじょうがありまーす。

男性  一見いちげんさんおことわりな会員制のあやしいバーの招待状を持ってるのもおどろきだけど、
    それ、一緒に行く人僕でよかったの?

女性  もちろん! あ、お金の心配もせんでええよ。私が勝手に連れてきたんやし


   ‹間›
   ‹バーの店内›

店員  いらっしゃいませ。カウンターにどうぞ
    お飲み物は何になさいますか?

女性  私はオレンジジュースで、あなたは?

男性  じゃあ……なにか軽めで

店員  かしこまりました

女性  思っとったより、いっぱいお客さんおんねんな!

店員  そうですね。様々なかたにおしいただいております。
    特に本日は、ハロウィンパーティが開催かいさいされるので、よりたくさんの方が……。
    お客様のように招待状を持って、初めていらした方も多くいらっしゃいますよ。

女性  あっちは人狼じんろう、ハーピー、フェアリー、それから……
    あ、バーテンダーさんは何なん?

店員  吸血鬼きゅうけつきです

女性  へぇ! どおりで! 色白いろじろ美人びじんさんやもんな

店員  ありがとうございます。
   ‹グラスを置く›
    お待たせしました。どうぞごゆっくり

男性  そういえば、君の種族そろそろ聞いてもいい?

女性  ふふふ、聞いちゃう? 聞いても逃げない?

男性  もちろん逃げないよ

女性  グール。食人種しょくじんしゅやで

男性  ……ふぅん。グールって初めて会ったよ
女性  へえ。引かへんねや。人間に私の種がバレるとだいたい距離置かれるんやけどなぁ。
    取っていやせぇへんのに。

男性  普段の食事はどうしてるの?

女性  普通に人間が食べる料理も食べるけどあんまり栄養にならんから、
    グールや他の人喰ひとくしゅ向けのフードがおもやな。
    食料ドナー登録しとるご遺体いたいから作られたもんや。冷凍肉ですら、たまのご馳走ちそうやで。

男性  こっそり人間をおそったりはしないんだ

女性  ひいじいちゃん世代は人間襲っとったらしいけど、
    だんだん共存きょうぞん共栄きょうえいってことで人間襲ったらあかん法律ができたりして
    やらんくなったらしいね。
    ね、吸血鬼さんも、人間襲ってったりせんよな?

店員  はい、そうですね。
    吸血鬼向けには、医療用いりょうようとしての使用期限が過ぎた輸血ゆけつ血液けつえき
    それの加工品が出回でまわっています

女性  そういうのって美味しくはないよなぁ

男性  そうなの? テレビのCMとか見てるとすごく美味しそうなものみたいに見えるよ?

女性  私、人間の新鮮な生肉って食べたことないねん。
    そやから本当のところ、どっちが美味しいかなんて知らんのやけど……
    けど、このバーに足をみ入れると……
    「それを知る前の元の生活には戻れない」らしいで?

男性  ん? どういうこと?

店員  お客様、そろそろお時間です。奥の、秘密のお部屋へご案内いたします。

女性  行ってらっしゃーい! 人間くん! 仲良くなれてほんまよかったわ!


   ‹間›
   ‹特別室内›

男性  ひょっとして、僕、食料として連れてこられた……ってこと?

店員  ふふふ。では、お客様。まず靴の泥を落として髪をけずっていただき、
    お肌にクリームを塗ってから香水を振りかけてですね……

男性  それ、食べられる流れじゃん

店員  冗談ですって。

男性  今夜は本当にお客さんが多いね。こっちの部屋のほうも。

店員  嗜好家しこうかのみなさまは今夜を心待ちにしていたのでしょう。
    ハロウィンパーティですからね。
    さて、メインをお待ちの間、なにかがりますか?

男性  じゃあ「吸血鬼の切りたてユッケ」

店員  えぇ〜。私が接客せっきゃくしている時に、それたのみます?

男性  それがいいんじゃない

店員  まったく、あなたって人は。
    数分で復活ふっかつするとはいえ、あしを切り落とす時は痛いんですからね!

男性  嫌ならメニューにせなきゃいいのに

店員  その代わり、歩合制ぶあいせいで私に回ってくる食料の質が良くなるんですよ。
    一度味わってしまったら戻れるものじゃないんです。
    オーナーにいいように使われてるようで、くやしいですけどね

男性  いつも良くしてもらってるから、お返しに、次来た時は僕の血を提供ていきょうするよ。

店員  それは楽しみです。
    では少々お待ちください。調理してまいりますので。

   ‹間›


店員  大変お待たせいたしました。「吸血鬼の切りたてユッケ」です。

男性  吸血鬼の心臓ハツも食べてみたいなぁ

店員  お願いですから、脚で満足しといてくださいよ。
    さすがの私も死んでしまうじゃないですか。

男性  冗談だって。君がいなくなっちゃうのは寂しいよ。

店員  冗談であってほしいですね。
    それから、食前のお飲み物としてこちら、どうぞ。

男性  あ、これ、さっきのグールちゃんのジュース?
    もうパッキングできたんだ。さすが、この店は仕事が早いね。
    ふふふ、パッケージ見る感じ、ちゃんと100%だ

店員  他の部位はもう少々お待ちくださいませ

男性  あぁ楽しみだなぁ。グールの肉を食べるのは初めてなんだ。
    しかも今夜は、バーに招待されたヒト……人狼も、ハーピーも、フェアリーも……
    全部味わえるんでしょ?
    高い会費を払ってるかいがあるってもんだよね。

店員  本当、人間というのは私どもなんかよりもよっぽど悪食あくじきですよ。
    さっきまで生きていたハロウィンの怪物たちを珍味ちんみにしようだなんて。
    どっちが怪物なのか、わかりませんね。

おしまい


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(ランチタイム以上)

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