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76.三題噺「本末転倒、不平等、成長期」

 期末試験を終えた私と同クラちゃんと後輩ちゃんの3人は、同クラちゃんの招集によってファミレスに集まっていた。

 議題は試験のことでも学校のことでもない。
 鈍感で難聴スキルを持つ共通の思い人のことだ。

 後輩くんから女の子として見てもらい、意識してもらうにはどうしたらいいか話し合っていた。

「そもそも、この集まりは不毛じゃないですか? 私たちが仲良くして牽制しあってるうちに他人に取られるなんてことがあったら本末転倒ですよ。傷の舐め合いしてる暇があったらアピールしたほうがいいと思います。付き合えるのは1人なのに……」

 後輩ちゃんが小さく挙手して言った。

 それは確かにその通りだなぁ、と私は思う。

「それは違うと思うよ」

「同クラちゃんは何かいい案があるの?」

 解決策を持っているのか、同クラちゃんはふふふと笑った。

「恋愛に不平等があってはダメなの。みんな幸せになりたいなら……。ハーレムです! みんなで猛アタックなんです!」

 な、なるほど……?

 ちょっと、私の理解が追いつかない。
 とりあえずハーレムを主張する同クラちゃんの意見を聞いてみた。

 なるほど……。ハーレムもアリかな……?

「先輩、懐柔されてますよ」

「はっ……。ありがとう後輩ちゃん。いや、でもみんな仲良しハッピーエンドが一番だし……」

「結婚は1人しかできませんよ」

「そうなんだよねぇ……」

「私は2番目、3番目でも問題ありません」

「私はハーレムなんて嫌です。私だけを見てほしいです」

 同クラちゃんは恋愛観がなんかこう……すごい。
 後輩ちゃんがたぶん一般的なんだろうな。

「ちっちゃい体じゃ、ハーレムの素晴らしさは理解できないかな?」

 同クラちゃんが頭を撫でようとして、後輩ちゃんは手を払った。

「まだまだ成長期なんです! 身長はこれから伸びるんです〜! 胸とお尻の大きさは負けてますが、あなたよりスタイルいいですから」

 ふふんと後輩ちゃんは自慢げにのけぞってアピール。
 煽った方の同クラちゃんが返り討ちにあって「ぐぬぬ」と唸って分からされていた。

 みんな、大切なことを忘れている。

「一番大事なのは、後輩くん本人の思いじゃない?」

 あ、と同クラちゃんと後輩ちゃんは今気づいたように声をもらした。

 結論は出なかったけど、みんな夏休みに積極的に行動しようということになった。




作者です。
三題噺を書きました。
題目の選定は以下のサイトを使用させていただきました。
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