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ママの口癖




大阪にいた頃、
下町のスナックで働いていた事がある


ママは長崎生まれのド肝っ玉母ちゃん。

瀬川瑛子の長崎の夜はむらさきが十八番。

声が酒でガスガスにやけていたが、
それもまた素敵だった。


お酒はいつもグラスビール。

ママはそのビールに必ず氷を入れていた。
仕事柄ではなく、
ただ単にいつでも冷えたビールを飲んでいたいのだという。

これがきっかけで、
私もビールに必ず氷を入れるようになった。



お店は22時に開き、26時には閉店する。

ママが朝市場に仕入れに行くためだ。

仕入れたてのセゴシの浅漬けは
お通し界No. 1だと思う。












そんなママの口癖は

帰って屁こいて寝るでー。

だ。













あぁ。好きだ。















ある日の22時前。
いつものように仕事に行くがドアが開かない。

鍵の在処は知っていたが、
いつもはママが居たので少し心配になってきた。

身体を壊したのかも知れない。

何かがあったのだと思うと
心の中がソワソワした。














プルルルルルルル。





 









携帯の画面は

○○スナック ママ




























あー。okiか!

すまん、

イマ、カクヘンヤネン。

行かれへんわ。
店、先開けといて〜。


ブツッ。


ツゥーッツゥーッツゥー…






























声も聞き取れない程
ゴォーゴォーいっていた

家が燃えているのかと思った。





































この頃は"カクヘン"の意味をまだ知らなかった。

?のまま店を開けた。


暫くして、
店に入ってきたママの第一声で
全てを理解する事ができた。




























あかーーーーーーーーーん






































その日は早めに店を閉めた。















帰って屁こいて寝るでー。

oki

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