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三浦が「店長三浦」になるまでの話

こんにちは、店長の三浦です。今日は「はじまりのトマトソース」が生まれるずっと前の話。「はじまりの店長三浦」の話をします。ほんとうはね、お酒でも飲みながら話したい内容だったんだけどさ……。家族に悩みを抱えているひとたちにこの話が届いて、少しでも現状を変えるきっかけになるならと願って、昔話をするよ。

親父に理解されない、生きている実感が欲しかった青春時代

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子どものころは……そうだな、やりたいことにつっこむ、すなおな子だったと思う。泥だらけのため池に頭からつっこんで大ケガしたりしてさ。あと、親から「出てけ!」って言われたらそのまま家を出ていく子だった。交通費もあてもないのに、ただひたすら歩いたっけ。

中学から高校時代にかけて、いわゆる青春を楽しめた記憶は少ないな。ずっともやもやしていてね。「どういう死を迎えるために生きるか」ばかり考えた。周りが彼女を作っただのなんだの、騒いでいるときにさ。

それから格闘技が好きだったな。空手の体験に行ってぼこぼこにされたとき、「気持ちいい」っていうかな……爽快な気持ちになったことは、やけに覚えてる。別に、痛めつけられるのが好きだったわけじゃないさ。ただ、生きていることを実感できたっていうかさ。

あの頃の自分は、精神的におかしかったな。あんなにまでして、何と闘っていたのか。

振り返れば、親父からの抑圧と闘っていたんだと思う。子どものころ、俺はずっと死んだように生きていた。親父に反論することができず、抑え込まれて。それこそ、農業とビジネスを楽しんでいた祖父のように生きたいという夢も、親父の反対があってずいぶんと遠くに感じたさ。

生きたいように生きたい。俺の邪魔をするやつは何がなんでも倒してやる。燃え上がるようなエネルギーが生まれるはじまりは、親父との関係だったのさ。

荒れた心に届いた「親孝行」の再定義

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もやもやとした葛藤は、社会人になってからも続いてね。農協で働いていたころ、酔って会社の先輩を殴っちゃったことがあってさ。嫁に強く感情をぶつけてしまうこともあった。

このままじゃダメだという危機感が爆発して、脱サラ、料理の勉強、店舗開店と大転換をしたわけだけれど、店を開店するときも親父は大反対。聞く耳持たずだった。実家を使って店を開くことをめぐって、たいへんな騒動もあったよ。

ところでうちの親父はね、親孝行をさせない親父でさ。例えば、なんかプレゼントとか用意しても、それを喜んで受け取ってくれないのさ。「こんなもん要らねえ」って。「勉強して稼いでりゃいいんだよ」って返されてしまう。

だから俺はね、ずっと「親に何もできていない」って思ってきた。心の片隅で「俺はダメな人間なんじゃないか」って、不安だった。

この悩みを解決するきっかけをくれたのは、お坊さんの本との出会い。必ずしも何かを与えることが親孝行の本質ではないという話が書いてあったんだ。「未熟な親を正しい道に導いてあげるのが、親孝行だ」って。

その言葉に背中を押されて、俺は親父と正面から向き合おうと思った。これ以上親を憎んでいる状態は自分自身も嫌だったし、「その考え方、だめじゃない?」と問うことは、親孝行だと思えたから

親父との長期戦、すべては子どものため

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親父とのたび重なる争いの原点は、思想の違いだった。親父は金が一番大切っていう人でね。家族のことは後回し、とにかく金。もちろん、生きるために金は大事だよ。でもさ、たとえ金があって立派な家があったとしても、その中で暮らす家族が幸せじゃないなら、意味がない。俺はそう思う。

だから、家族があってこその幸せだろう、金はその次だろうって、親父に伝えはじめた。俺の言葉だけじゃ届かないから、子どもたちにも協力してもらって、手紙をしたためたりしてさ。家族を巻き込んでありとあらゆる方法で気持ちを伝えて、議論して、最後には親父に謝らせたよ。

なんでそこまでしたかって、俺のためっていうより、子どもたちのためなんだ。子どもたちには、いいおじいちゃんのもとに生まれてきたって、思ってほしかった。はっきり言って、大嫌いな親父とそこまで向き合えたのは、子どものおかげさ。

俺にとって親父は親で、子どもたちにとって祖父で。家族の血は切れないもので、過去の過ちもいろんな形で孫子に受け継がれていくと思う。

スピリチュアルに聞こえるかもしれないけれど、因果応報って言葉もあるでしょ。だから、子どもたちが幸せに生きるために、俺はちゃんと親父への葛藤や親父の過ちを断ち切らなきゃって思ったのさ。

自分を大切にする方法は、子に継いでいくものだろう

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2年前、親父は亡くなったよ。

親との間に問題を抱えた人は、たくさんいると思う。俺はとことん向き合ってあらゆることを試したけれど、誰もが同じ方法で解決できるわけじゃないだろうね。

ただ、親との絶望的な関係性を乗り越えて、いま夢を追っかけて人生を楽しんでいる俺みたいな人もいるってことが、少しでも伝わればいいな。親との関係性に悩む人たちは、それぞれが自分のタイミングや方法で、向き合っていけばいいと思う。

話は飛ぶけれど、大人が子どもにいう「自分を大切にしなさい」って言葉、嫌いでさ。

わかってねえなあって思う。自分を大切にする方法は、大人がその子を大切にすることで初めて理解できるんだよ。だから、「自分を大切にしなさい」っていう大人は、まずその子を大切にしてほしい。

答えなんてないけれど、子どもと向き合って精一杯大切にすることが、家族で受け継がれていくあらゆる問題を少しずつ解決していくのかもしれない。
ずいぶんと昔の話をしてしまったけれど、いま、育てることに熱中し続け、「はじまりのトマトソース」を作ることに夢中な店長三浦がなぜ生まれたのか、少しだけでも伝わったらうれしい。

―INFORMATION-
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取材・文 宿木雪樹
デジタルマーケティングプロデュース ふぉろかる合同会社

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