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飲食店の新しい価値を探しながら、唯一無二のビジネスを育てる

2021年は、「はじまりのトマトソース」誕生から1周年であり、オホーツクトマト食堂「たまごのじかん」開店から20年の節目でもあります。後編は、節目を迎えた店舗経営と、オンラインショップ経営とレストラン経営の両刀をもつビジネスモデル、それらの展望について店長三浦が語ります。
※「はじまりのトマトソース」の振り返りと展望について聞いた前編はこちら

コロナ禍で飲食店の価値を再考する日々

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飲食店の価値って、なんなんだろう。ずっとそれを考えてきた。飲食店の価値は、ただ食を提供することだけではないと思っていて、考え抜いて出した答えが社交の場を提供することだった。この答えにたどりついて、ゆるやかなコミュニティの中心になるような店を育てていこうと思った矢先の、コロナショック。これはやっぱり、大きな出来事だったよね。

その場で出会った人と語り合ったり、人がたくさんいるところで歌を歌ったりすることが危険だと言われる時代。短期間ならまだしも、一年以上もこの習慣が続いていると、やっぱり人々の価値観も変わってくるでしょ。仮にアフターコロナと呼ばれる時代がやってきたとしても、社交の場としての飲食店は、きっと恐怖や緊張感をもたらしてしまうんじゃないだろうか。

そういう想像をしてしまうと、やっぱり最初の問いに戻ってしまうよね。飲食店の価値って、なんなんだろう。そこに対しての答えは、正直まだ考えている最中かな。

ただね、社交の場を届けたいという願いから打った施策で、あるうれしいことが起こったんだ。「はじまりのトマトソース」をご購入いただいた方に、特典としてオホーツクトマト食堂「たまごのじかん」の割引券をつけていたんだけれど、その割引券をもってわざわざ関西や四国から来てくれたお客さんがいたのさ。

本来やりたかったことはまさにそういうことだったから、北見まで足を運んでくれたことが、とてもうれしかった。トマトから人の輪がつながっていく。そういう流れが自然に楽しめる時代がまた来ればいいな、とは思っている。それがいつになるかわからないけれど、やっぱりそういう価値を届ける場所でありたいんだな。

トマト一種でどこまでできる?僕にしかできないビジネス

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いま、僕はこのオホーツクトマト食堂「たまごのじかん」でオムライスやパスタを提供しているのと、そこで使われるトマトソースをご自宅でも楽しめる「はじまりのトマトソース」をオンライン販売しているのと、ふたつの事業を同時に進めている。

ビジネスという観点で話せば、もっとうまくやろうと思えばいくらでもやり方はあったはずなのさ。それをあえて、トマトという作物からいったいどんなことができるだろうって探求し続けている。こんなことって、俺にしかできないんじゃないかな(笑)。

なんでこんなことしてるかといえば、そうじゃないとおもしろくないから。だって、いまやグローバル化が進んで、どんな食材だって手に入れられてしまう。その気になれば世界中のレシピが北見で作れる。そんな時代に効率的で合理的な答えばかり選んでいたら、みんな同じになっちゃうでしょ。

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どこに行っても同じものが手に入る状況って、豊かなのかなって考えることがあってさ。制約があるからこそ、その制約を越えようと考えることがおもしろいし、ほんとうの豊かさに近づけるんじゃないかって思うわけさ。

実はね、まだオンライン販売するには生産量が少ない試作品や新商品を、オホーツクトマト食堂「たまごのじかん」の店頭で購入できるんだ。いつかこの店をトマト関連商品のアンテナショップに育てたいっていう構想があって、少しずつ店舗にも商品を並べる準備を始めてるのさ。

やがてお客さんがここを訪ねてくることで旅が生まれたり、あるいはトマトを主人公にした絵本を出版したり……。どんな形になるかはまだわからないけれど、トマトから生まれる僕なりの事業をこれからも育てていきたい。たくさんの回り道があるだろうけれど、それが楽しいんだよね。

完全予約制の店舗経営で捻出した時間から、新しいアイデアを

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「たまごのじかん」を完全予約制に切り替えて運営し始めたのは、昨年春から。もちろんコロナ禍の感染予防対策という理由もあるけれど、それ以上に僕が時間を有効活用したいという思いがもともとあったんだ。

前日までに予約したお客さんだけに料理を提供するようになってから予定が組みやすくなって、空いた時間で「はじまりのトマトソース」のことを進められているから、予約制にしてよかったと思っている。

もちろん経営の観点で見たら、難しさはある。お客さんの来店のハードルを上げた分、課題は増えた。今後の展開としては、料理提供は予約制だけれど、奥さんに店番を頼んで、商品はいつでも購入できる形にしてもいいかな、とは考えている。そうそう、つい最近店頭販売のためのディスプレイワゴンもDIYで作ったよ。


なかなか「全国から北見に来て」と言える情勢ではないけれど、こういう閉塞的な時代だからこそ、楽しいことやワクワクすることを皆さんに届けたいという思いが根底にあるのさ。ただ僕はね、発信しながら走るのが苦手なタイプだから、こまめに経過をお伝えするのが難しくてね。今後はSNSも積極的に使いながら、皆さんに楽しげなことを届けていけたらな、と考えている。文章を書くよりも話すほうが楽だから、ライブ配信なんかもできればいいな。

最後に。「はじまりのトマトソース」やオホーツクトマト食堂「たまごのじかん」で提供するメニューには、地域の方々のたくさんの協力が詰まっています。要となるトマトの生産は「とむての森」の方々の協力があってこそ実現したことだし、パスタの製麺や商品の冷凍化の工程などにも、地域の事業者さんが関わってくれている。そうして生まれた味に僕は自信をもっているし、全国の方々に届けたい。

オンライン販売も予約制の店舗経営も、まだまだ課題が山積みだけれど、これからも応援してもらえるとうれしいです。そしてこれを読んでいる方々と、いつか「たまごのじかん」でお会いしたいです。……いや、僕が全国に出張して会いに行くのもありだね(笑)。

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トマト1種で商品や事業を展開すること、人々とのゆるやかなコミュニティを作るために店舗を活かすこと。こうしたこだわりは、すべて店長三浦だからこそたどり着いた答えです。何より本人が苦難も含めてビジネスを楽しみ、そのワクワクを人々に届けたいという思いから動いていることが、商品や店舗の魅力につながっているのかもしれません。

「はじまりのトマトソース」は発売2年め、そしてオホーツクトマト食堂「たまごのじかん」は21年めを歩み始めます。これからの商品や店舗の成長を、どうぞご期待ください。

―INFORMATION-
オホーツクトマト食堂公式サイト
「はじまりのトマトソース」オンラインショップ
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取材/執筆 宿木雪樹
デジタルマーケティングプロデュース ふぉろかる合同会社


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