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1/22 【官僚の働き方改革】

【要点】

・与野党が、国会業務における官僚の「質問取り」の対面自粛で合意した。

・そもそも「質問取り」とは何か。以下の画像(引用は上記の記事から)からわかる通り、官僚が国会で質問する議員に、事前に質問を受けること、そのために待機することを意味する。国会で質問される閣僚は、官僚が質問通告を受け、質問に対する回答を作ったのちに、国会でそれを答えることになっている。

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しかし、この質問取りには非効率的な点が以前から指摘されていた。官僚は議員が質問をつくるまで遅くまで議員会館で待機することが多かったからだ。また、近年では改善されつつあるもの、質問の締め切りである「質疑2日前の正午」を過ぎてから質問を出す議員もいた。

・今回指摘されている問題点は大きく2点ある。1つ目は、「質問取り」が官僚の長時間労働の温床になっていたこと。上記の非効率性や議員に振り回される状況は、国会業務における官僚の残業の慣習を生んでいた。以下のグラフからわかるように、その長さも過労死ラインをこえる異常さだ。

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(引用は上記の記事から)

もう一つは、このような慣習がコロナ禍でも改善されなかったことだ。コロナ禍でも、議員は「対面」での質問取りを重視した。感染拡大下においても、しかも国民を代表する国会議員が、このような意識であったことは問題だ。

この事態に対して、政党側からも改善の動きがみられている。国民民主党の玉木雄一郎代表は18日、質問通告を原則として書面か遠隔にするよう党所属議員に要請した。

霞が関の働き方改革はこれからも続いていくとともに、長時間労働の温床となる国会業務・国会のありかたも変化していくだろう。

【感想】

・改めて、官僚の長時間労働ぶりは異常だ。そして何よりコロナ禍でも進まなかった業務のオンライン化やテレワーク。民間が変化を求められていた状況で、国の中枢である霞が関の在り方も変わるべきではなかったのだろうか?

また、テレワークしていても、上記のような国会業務では対面でしないといけないという点で、テレワークしていても結局議員会館に赴かなければならないこともあったそうだ。

経済官庁に勤務する課長補佐は「前回の緊急事態宣言下でも議員への対応をオンラインで済ませたことは一度もない」と語る。手掛ける政策を実現するには議員に理解してもらう必要がある。「お願いする側の官僚から『オンラインで』とは言えない」と話す。
「在宅勤務中でも、質問取りで議員に呼ばれれば自宅と議員会館を往復する」という職員もいる。出勤簿と実態がかけ離れては意味がない。
(引用:以下の記事)

・官僚側の意識を変えるべきだという意見もわかる。しかし、何よりの問題は、議員と官僚の関係が完全な主従関係になっていることではないか。そのような場合、議員と官僚の関係性を見直すべきである。

特に議員側は、自らの党利のみを考えるゆえに、質問通告の期限を破ったり、曖昧な質問を投げかけたりすることをやめるべきである。官僚の非効率的な残業を生むだけだ。

・また、議員側の意識を変えるためには国民の理解も必要となってくる。税金が給料である官僚にとって、いわば国民は彼らの雇用主だ。非効率的な労働に自らの税金が利用されていることに問題意識をもつ必要がある。

そして国民側から改善の要請があれば、議員側もそれを意識せざるを得ない。以前の10万円一律給付などの政策は、SNSなどによる国民の意見から生まれた。国民側の声が可視化され強くなっている今、官僚の働き方改革にも目を向けてほしいところだ。

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