【読書感想】いわた書店一万円選書③横道世之介
いわた書店の一万円選書3,4冊目の感想です。
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横道世之介 吉田修一 文春文庫
おかえり横道世之介 吉田修一 中央文庫
実は横道世之介の映画が公開された年にロケ地となった大学に通っていたの在学中に自分が通っていたキャンパス内で試写会&トークイベントが行われていた。そういう情報には疎いので終わってから知ったように思うけれど、それがあっていつか読もうかな~映画見てみようかな~と頭の片隅に入っていた小説だ。
二冊とも面白く読んだ。それでもやっぱり一回目で話が十分終わっているシリーズものは第一作目が好きだなという気持ちが強いなあ。最初の本の好きなところは世之介が色んな人にとって通り過ぎる人、いつしか忘れてしまうような人としての扱いが濃かったところだ。今の世之介がどうなっているか知っている人はほとんど出てこない。こういう場面にいた、こういうかかわりのあった人をそんな風にあんまり思い出さなくなるのかなあ、付き合いがなくなっていくのかな、薄情だなあと思うこともなくはないけれど、人生が進んでいくにつれてそういう風になるもんかなとも思う。
基本的にのほほんとした感じで読んでいて今の世之介ってどうなってんだろうな~って思っていたら途中で名前を忘れてしまったけれど、ちょっといいなと思っていた女の人目線の話になったときに今の世之介について描かれて急にエッとびっくりする。でも確かに最初から今の世之介について知っていて読むよりこのタイミングのほうが良かったなと思う。ただの世之介をただの世之介としてみるじゃないけど、そういう感じで読めている方がいい。だって何ら特別?特殊?に感じないところが彼の魅力だと思うから。小説に出てくる多くの人にとってあまり頻繁に思い出しもしないくらいの存在だけれど、そういう人が人生の節目や落ち目に関わっていたということ、そしてそれが必要なピースだったという感じが良かったな。
おかえり横道世之介はもっと世之介と出てくる人たちの人生の交わりが濃くて、今の世之介についても知っている人ばかりだ。そういう点で一作目と全然違うなと感じた。あとヤンママとの出会いがちょっと怖いな。銀魂の銀さんかおめえは。
シリーズものは一作目が好きといいつつ、実はまだ『永遠と世之介』があると知って読もうか読むまいか。それとも映画を見ようか?吉高由里子の祥子ちゃんがみたいような。
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