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【読書感想】いわた書店一万円選書③横道世之介

いわた書店の一万円選書3,4冊目の感想です。

↓いわた書店さんのページ

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横道世之介 吉田修一 文春文庫

大学進学のため長崎から上京した横道世之介18歳。愛すべき押しの弱さと隠された芯の強さで、様々な出会いと笑いを引き寄せる。友の結婚に出産、学園祭のサンバ行進、お嬢様との連来、カメラとの出会い・・・・・・。誰の人生にも温かな光を灯す、青春小説の金字塔。第7回本屋大賞第3位に選ばれた、柴田錬三郎賞受賞作。

吉田修一『横道世之介』(2012年)文春文庫,裏表紙

おかえり横道世之介 吉田修一 中央文庫

バブル最後の売り手市場に乗り遅れ、バイトとパチンコで食いつなぐこの男。横道世之介、二十四歳。鮨職人を目指す女友達、大学時代からの親友、美しきヤンママとその息子らと共に、「人生のダメな時期」を笑顔で過ごしていく。青春小説の金字塔、ふたたび。『続横道世之介』を改題。
 〈巻末対談〉沖田修一(映画監督)×高良健吾

吉田修一『おかえり横道世之介』(2022年),中公文庫,裏表紙

実は横道世之介の映画が公開された年にロケ地となった大学に通っていたの在学中に自分が通っていたキャンパス内で試写会&トークイベントが行われていた。そういう情報には疎いので終わってから知ったように思うけれど、それがあっていつか読もうかな~映画見てみようかな~と頭の片隅に入っていた小説だ。

二冊とも面白く読んだ。それでもやっぱり一回目で話が十分終わっているシリーズものは第一作目が好きだなという気持ちが強いなあ。最初の本の好きなところは世之介が色んな人にとって通り過ぎる人、いつしか忘れてしまうような人としての扱いが濃かったところだ。今の世之介がどうなっているか知っている人はほとんど出てこない。こういう場面にいた、こういうかかわりのあった人をそんな風にあんまり思い出さなくなるのかなあ、付き合いがなくなっていくのかな、薄情だなあと思うこともなくはないけれど、人生が進んでいくにつれてそういう風になるもんかなとも思う。
基本的にのほほんとした感じで読んでいて今の世之介ってどうなってんだろうな~って思っていたら途中で名前を忘れてしまったけれど、ちょっといいなと思っていた女の人目線の話になったときに今の世之介について描かれて急にエッとびっくりする。でも確かに最初から今の世之介について知っていて読むよりこのタイミングのほうが良かったなと思う。ただの世之介をただの世之介としてみるじゃないけど、そういう感じで読めている方がいい。だって何ら特別?特殊?に感じないところが彼の魅力だと思うから。小説に出てくる多くの人にとってあまり頻繁に思い出しもしないくらいの存在だけれど、そういう人が人生の節目や落ち目に関わっていたということ、そしてそれが必要なピースだったという感じが良かったな。

おかえり横道世之介はもっと世之介と出てくる人たちの人生の交わりが濃くて、今の世之介についても知っている人ばかりだ。そういう点で一作目と全然違うなと感じた。あとヤンママとの出会いがちょっと怖いな。銀魂の銀さんかおめえは。

シリーズものは一作目が好きといいつつ、実はまだ『永遠と世之介』があると知って読もうか読むまいか。それとも映画を見ようか?吉高由里子の祥子ちゃんがみたいような。

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