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「書けない」と悩むなら、noteの前に手紙を書いてみたらどうでしょう?

よく「文章を書こうと思うけど書けない」という声を聞きます。

書きたいけど、書けない。
書こうと思うけど、書き始められない。

その気持ちはとても分かるし、僕もずっと感じています。

そんな人に提案したいのが、手紙を書くこと、です。

なぜ手紙なのか

誰でもいいんです。
誰か手紙を贈りたいと思う人をまず決めてみてください。

家族か友達か、それとも恋人か。はたまた会社の人か恩人か。誰か一人じゃなくてもいいと思います。家族全員だったり、部活のメンバー、会社のチームメンバーみんなに向けてでも。とにかく、誰に向けて書くかを決めてみましょう。

そうすると、自然と自分の立ち位置が決まります。
そして、書く内容が少しずつ定まっていくはずです。

家族に「いつもお世話になっております」なんて言わないだろうし、会社の先輩に「昨日はとても月が綺麗だったよ」なんて書かないだろうし。

場合によっては「自分」に向けて書いてもいいのかもしれません。
普段なかなか向き合えない「自分」に向けて。それも書く相手に十分なり得るはずです。

手紙は相手がいないと送れません。まずは、誰に贈るか、贈りたいかを考えてみてください。それを決めることは文章を書く時もとても大切なことです。

封筒と便箋を選ぶ

相手が決まったら、早速書きたいところですが、便箋が必要ですよね。
贈る相手にどんな手紙を贈りたいですか?

嬉しい手紙、報告の手紙、落ち着いた手紙。
贈る相手と伝えたい内容によって、便箋選びも変わるはずです。

便箋を選ぶと、それだけで書いている時の気分が少し変わります。明るい花々が描かれたものであれば、温かく優しい気持ちに。無地のものであれば、落ち着いた気持ちに。

同じように、封筒も選んでみてください。封筒は相手が手紙を受け取った時に最初に見るものです。つまり手紙全体の印象が決まるもの。
楽しい内容を書いていたとしても、封筒が暗く寂しげだったら、なんだか勿体無いですよね。

便箋とセットでもいいし、変えてみてもいい。相手が受け取って、封筒を開いて便箋を取り出したところまで想像する。そうすると、手紙を通して、相手にどのような気持ちを届けたいかが少し見えてくると思います。

ペンを選ぶ

ここまで用意して、書き始めたいところですが、書くためにはペンが必要です。ペンも適当に選んではいけません。適当なペンで書けば、文字も適当に、そして気持ちも適当になります。

パソコン仕事が多くて、文字を書く機会も少なくなっているかもしれません。普段、適当に転がっているペンや使いにくい会社の備品で済ませていませんか?

相手に気持ちを届けるのなら、それにふさわしいペンを用意しましょう。書きやすいペンでもいいし、何か自分にとって特別な大切なペンでもいい。

僕は手紙を書く時は、大切にしている万年筆で書いています。万年筆は慣れないし、字が下手くそになるけれど、それが自分らしいんじゃないかなと思います。
綺麗に書きたい時は書きやすいボールペンを使えばいいし、贈る相手によって筆やクレヨン、色鉛筆を選んでもいいと思うんです。

便箋同様、どんな気持ちでその手紙に向き合いたいかを考えて、道具を選ぶと良いと思います。

思ったことを順番に書けばいい

便箋、封筒、ペンが用意できたら、あとは書くだけです。ここまでで
・贈る相手
・どんな内容か
・届けたい気持ち
が道具選びによって、少し整理されているはずです。

いきなり書き始めるよりも、かなりハードルは下がっていると思います。

書き初めは、どうしましょうか。
「こんにちは」「元気ですか?」「お世話になります」「やっほー」
相手によって声のかけ方が違いますよね。きっと自然に導かれるんじゃないかと思います。

初めの挨拶を書いたら、あとは相手のことを考えて、思い浮かぶことを一つずつ書いていくだけです。

編集とか、構成とか、そういったものは気にしなくていいと思います。ただ思ったことを順番に。変に構成などを考えると、自分の気持ちや考えを我慢してしまいます。それはきっと手紙を書く上ではもったいないです。

丁寧に考えることは大切。でも、相手のご機嫌を伺ったり、「上手」に書こうとする必要はないと思います。回り回っても、話が逸れても、たまに字を間違えちゃっても、気持ちを込めて書いていれば、必ず伝わるはず。

用意した便箋の枚数の都合があるのなら、最後に伝えたい気持ちだけ、言葉にまとめておきましょう。
「ありがとう」「よろしくね」「また会おうね」
せっかくなら前向きな言葉がいいですよね。

自分の手で書く意味

どうしてメールやLINEではなく、手紙なのか。
それは、自分の感情を、自分の手で形にすることができるからです。

スマホやパソコンでメッセージを打つ時、そこには同じ文字は打ち込まれるかもしれないけれど、画面の向こう側に、規則正しい文字が並ぶことになります。

特にパソコンで文字を打つ時って「ありがとう」は「ARIGATOU」って入力するじゃないですか。本来の気持ちを本来とは違う作業を通して言葉を変換しているんですよね。

感覚でしかないけれど、スマホやパソコンの画面に文字を打つよりも、ペンを持って、手で、紙に書いた方が頭で考えていることをそのまま言葉にできると思います。

会社のメモや議事録と違って、手紙は想いを伝えるもの。情報でなく感情を伝えるものです。頭というより心で書く、という感じでしょうか。

自分の書きたい気持ちを少しずつ文字として言葉として形にしていく。今まで「書きたいけれど書けない」という気持ちが少しずつ解けていくと思います。

きっと書けるはず

きっと「書けない」状態って、頭で考え過ぎちゃって「なぜ書きたいのか」を見失っている状態なんですよね。「書きたい」という気持ちの中には「何かを伝えたい・共感して欲しい」が少なからずあって、それを思い出せれば書き始められるはず。

そして、それは全ての人たちに伝えたいというよりも、自分と同じ人たちだったり「特定の誰か」に向けたメッセージのはず。
これって、手紙を書く時に最初に考えた部分ですよね。

そして、その相手にどうやって伝えるかは、便箋や封筒を選ぶことと一緒です。封筒は、はじめに目に入るタイトルと同じ。便箋は、文章のトーンや語調です。

ペンを選んで用意することは、自分なりの覚悟のようなものでしょうか。下手くそでもいいから、書いてみよう、想いを綴ろうという覚悟。

そこまで用意できれば、あとは手紙と同じように一つずつ言葉を綴っていくだけです。いきなり1000文字、2000文字の文章が出来上がるわけじゃない。

一つの言葉が重なり合って、文章になります。
手紙を書くことで、その感触が少し思い出せるんじゃないでしょうか。

僕自身、ここまで書いたことを自分で振り返りながら、これから書くことと向き合おうと思います。

「書きたいけど、なかなか書けない」と悩む人へ、この手紙が届きますように。


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大久保忠尚

いただいたサポートは取材や今後の作品のために使いたいと思います。あと、フラペチーノが飲みたいです。